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『VRMMOの極悪テラリウム運営 ~可愛いスライムですが、効率化のためにトップ配信者たちを肥料にしていく~』  作者: リリリリス
第2章:神の遊戯編

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第58話:【第二部・開幕】基本プレイ無料の『養殖宇宙』に無課金勇者が誕生。さっそくチュートリアル明けの『ペイウォール(課金の壁)』にぶつかっています

「おのれ、邪悪なる創造主(CEO)め……! 息を吸うのにも、走るのにも『DPディメンション・ポイント』を要求するこの狂った世界を、俺が必ず終わらせてやる!」


テラリウム・ホールディングスがゼロから創り出した完全養殖宇宙、その『第3惑星』。

緑豊かな辺境の村で、一人の少年が天に向かって剣を掲げ、力強く叫んだ。彼の名前はアレン。AIオメガの演算によって「反骨精神(主人公適性)Sランク」と判定され、意図的に勇者としてデザインされた記念すべき新規顧客・第一号である。


「船長! 見てください、あの勇者の素晴らしいモチベーション! 『打倒・運営』という明確な目標があるおかげで、村の雑用クエストをこなすスピードが通常の村人の3倍です!」


新たに建設された『メタバース本社・星雲ラウンジ』の巨大モニター越しに、アルドがポップコーン(星屑製)を頬張りながら爆笑している。


「ええ、素晴らしい滑り出しですね。……やはり、世界に『明確な理不尽(敵)』を用意してあげることは、最高の顧客満足度に繋がります」


私はスライムの体で、無重力プールの中で優雅にプルプルと漂っていた。

私たちが創ったこの宇宙は、基本物理法則がすべて『従量課金制』になっている。しかし、最初から搾取しすぎるとユーザー(生命体)はゲームを投げてしまう(死滅してしまう)。

そこで我が社が導入したのが、現代ビジネスの基本である『フリーミアム(基本プレイ無料)モデル』だ。


---


【新宇宙:基本プレイ無料フリーミアム戦略】


1. チュートリアル村の無償提供(担当:アルド):

勇者が育つ「辺境の村」の半径5キロ圏内のみ、呼吸や歩行にかかるDP消費を『ゼロ(無料)』に設定。

まずは「世界は美しい」「冒険は楽しい」という成功体験を脳に刷り込む。



2. 経験値のサブスクリプション化(担当:バレル):

村の周辺に湧く最弱モンスター(スライム型ドローン)を倒すと、気持ちのいいファンファーレと共にレベルが上がる。

ただし、レベルが上がれば上がるほど、基礎代謝として消費されるDP(維持費)が増加する仕組み。



3. 見えないペイウォールの設置(担当:AIオメガ):

チュートリアルエリアから一歩でも外に出ようとすると、システムが介入し『課金』を要求する。




---


「よし、村長から受けたお使いもすべて終わった! レベルも5になったし、いよいよこの村を出て、世界を救う旅に出るぞ!」


モニターの中のアレンが、幼馴染のヒロインに見送られながら、村の出口へと力強く足を踏み出した。

その瞬間。


ガァァンッ!!


「いっ!? な、なんだ!? 何も見えないのに、壁にぶつかったぞ!?」


鼻を強く打ったアレンの目の前に、突如として空中に輝く『ホログラム・ウィンドウ』がポップアップした。

そこには、無機質なAIオメガの音声と共に、絶望的なメッセージが記されていた。


『警告。これより先は【ワールドマップ(有料エリア)】となります。基本プレイ無料チュートリアル版のプレイ範囲はここまでです。冒険を続けるには【冒険者スターターパス(月額5,000DP)】をご購入ください』


「はぁぁ!? つ、月額5,000DPだと!? スライムを1匹倒して手に入るのが1DPだぞ!? 5000匹も倒さなきゃならないのか!?」


アレンが絶叫する。

しかも彼が怒りで激しく動くたびに、「※過度な感情表現により0.5DPが消費されました」という極小の通知が視界の隅に出続けている。


「……あら、なんだか可哀想になってきたわね。無課金ユーザーには厳しい世界仕様だわ」

ゼータが、自慢の魔剣の手入れをしながら同情(のふりをした嘲笑)を浮かべた。


「ふふ、ご安心を。我が社は無課金ユーザーにも優しい設計を心掛けています。……アルド君、例の『救済措置』を出してあげなさい」


「はい、船長! ただいま!」


アレンが絶望して地面に膝をついていると、再びホログラム・ウィンドウがピコーン!と鳴った。


『【無課金の方へ朗報!】DPが足りないあなたに。今なら、1日3回まで【動画広告】を見ることで、スターターパスが当たるかもしれない『無料ガチャチケット』をプレゼント!』


「ど、動画広告……? ガチャ……?」


アレンが震える指で『はい』を押した瞬間。

村の空全体が巨大なスクリーンへと変貌し、アルドが満面のスマイルで宣伝する『テラリウム・海底神殿店(別次元)』の30秒CMが大音量で再生され始めた。


『――夏だ! 海だ! 水圧100倍だ! 圧倒的な絶望をあなたに! テラリウム海底神殿店、今なら入場料半額!』


スキップ不可能な30秒間、アレンはただ空を見上げて「俺は……俺は何を見せられているんだ……?」と呆然と立ち尽くすしかない。

しかも、30秒見終わって回した無料ガチャから出てきたのは『スターターパス』ではなく、ただの『回復薬(小)の欠片×1』だった(排出率0.01%)。


「う、うわあああああああ!! 狂ってる! この世界の神は完全に狂っているぅぅぅ!!」


アレンは涙を流しながら、再び村の周りの草原へと駆け出し、1DPのために最弱のスライムを血走った目で狩り始めた。


チャリン! チャリン! チャリン!


『※動画広告再生ボーナス・DP獲得』


「……素晴らしい。無課金ユーザーは『時間(広告視聴)』で支払い、重課金ユーザーは『金(DP)』で支払う。どちらに転んでも、我が社の利益になる完璧なエコシステムです」


私はスライムの体をプルプルと震わせ、極上のワイン(新宇宙の果実搾りたて)を飲み干した。


「さあ皆様! 第二部の幕開けです! あの無課金勇者が、どれだけの理不尽に耐え、どうやって我が社の『課金の壁』を越えてくるのか。高みの見物と洒落込みましょう!」


テラリウム・ホールディングスが創り出した『基本プレイ無料の宇宙』。

そこでは今日も、数億の命が「広告スキップ」と「ガチャの爆死」に涙しながら、元・神のスライムの口座へ無限の利益(DP)を献上し続けているのである。

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