第56話:【宇宙規模のB2B】地球侵略に来た『銀河帝国』ですが、我が社の『完全自動化された防衛(営業)システム』の前に、ただの「宇宙ルート開拓」となりました
「……ふむ。地球という星は、実に素晴らしい『養殖場』ですね。70億の人間が自発的に働き、経済を回し、我々にDPを上納し続けてくれる。最高の不労所得です」
国連本部を改装した『テラリウム・地球総本部』の最上階。
私は黄金の特製スライムプール(元・神が毎朝湧き水から生成)の中で、プルプルと優雅に株価チャート(という名のDP搾取メーター)を眺めていた。
地球全土の地上げが完了してから数日。人類は誰一人として不幸になることなく、ただ「テラリウムのために働くことが最高の喜び」という概念洗浄を受け、異常なまでの経済成長を見せていた。
そんな時だった。
突如として、地球の空を覆い尽くすほどの巨大な影が差した。
『警告。大気圏外に未確認の超巨大艦隊が出現。……データベースと照合。これはフィクションではなく、現実世界の【銀河帝国】による武力侵略(敵対的買収)と推測されます』
AIオメガの冷徹な音声が、オフィス中に響き渡る。
空を埋め尽くすほどのUFO群。そして、世界中のモニターがハッキングされ、緑色の肌をした宇宙人の総司令官が画面に映し出された。
『地球の未開なる人類どもよ! 我々は銀河帝国! 貴様らの星の資源は、すべて我々が接収する! 大人しく降伏――』
「はい、ストップ。アポなしでの飛び込み営業はマナー違反ですよ、宇宙のお客様?」
宇宙人の放送を強制遮断し、完璧なスーツ姿のアルドが全地球のモニター(と宇宙船のメインスクリーン)に割り込んだ。
「地球は現在、我々『テラリウム・ホールディングス』の完全子会社となっております。資源の接収をご希望であれば、まずは窓口で『業務提携(フランチャイズ契約)』の申請書を出していただかないと」
『な、なんだ貴様は!? 通信をハッキングされただと!? ええい、構わん! 全艦隊、主砲発射! 地球の主要都市を火の海にしろ!』
宇宙人総司令官が怒り狂い、数万隻のUFOが一斉に破壊光線を放とうとした。
……しかし、彼らは相手が悪すぎた。
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【対・宇宙人:地球防衛(新規開拓)プロセス】
1. 宇宙空間の交通整理(担当:バレル):
・バレルが地球の重力場をハッキングし、一瞬にして『UFO専用の超巨大なドライブスルーレーン』を大気圏外に構築。
・ 発射された破壊光線はすべて重力レンズで曲げられ、「テラリウム地球本店の看板を照らすイルミネーション」として再利用される。
2. 艦隊の強制解体(担当:ゼータ):
・ ゼータが成層圏までジャンプし、「宇宙船の装甲って、どんな斬り心地かしら!」と歓喜しながら、数万隻のUFOの『武器部分だけ』を分子レベルでみじん切りにする。
3. **未知の病原菌の徹底除菌(担当:元・神):
・「外宇宙から来た連中など、ダニと未知のウイルスの温床だ! 不衛生極まりない!」
・元・神(清掃員)が単身で敵の母艦に乗り込み、『超高圧聖水・銀河用スチームモップ』で、エイリアン兵士たちを細胞レベルでゴシゴシと水洗い(除菌)して回る。
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「な、なんだこれは!? 主砲が光のパレードになり、艦隊の武装がすべてネギのように刻まれ……ぎゃあああ!? なぜ清掃員がワープしてきて、我が軍の兵士を洗剤で磨いているのだ!?」
宇宙人総司令官は、メインブリッジでパニックに陥っていた。
彼らの誇る超科学は、ゼータの剣圧やバレルの重力魔法、ましてや「概念の神々」をシフトに組み込んでいる我が社の狂気の前には、ただの「ちょっと手のかかるおもちゃ」でしかなかったのだ。
気がつけば、数万隻のUFOは、アルドが手配した『地球のお土産(という名の高額なガラクタ)売り場』へと強制的に着陸させられていた。
「ピギャー! コノ『トキオ・バナナ』トイウ食ベ物、メチャクチャ美味イゾ!」
「コノ『テラリウム・オリジナルTシャツ(1枚5万DP)』、買ワナキャ!」
武装を失い、元・神によってピカピカに除菌されたエイリアン兵士たちは、AIオメガによる「購買意欲ハッキング」を受け、すっかり地球の観光客と化して爆買いを始めていた。
「……おのれ、我が銀河最強の軍隊が、ただの団体ツアー客に……!」
総司令官が膝から崩れ落ちたその時、彼の前に、私がスライムの体でプルプルと着地した。
「初めまして、銀河帝国の総司令官殿」
私は、彼の緑色の頭の上にポスンと乗った。
「地球へのご旅行、楽しんでいただけているようで何よりです。……さて、貴方たちのその『恒星間航行技術』と『銀河規模の物流ネットワーク』、我が社のマルチバース展開のインフラとして、非常に魅力的です」
私は、すっかりお馴染みとなった黄金の『M&A(吸収合併)契約書』を、彼の目の前に垂らした。
「どうでしょう。貴国の銀河帝国を、我が社の『宇宙物流事業部』として再編しませんか? 貴方には『特任・銀河エリアマネージャー』のポストをご用意します。……もちろん、ノルマは無限ですが、達成した時の脳汁(DP)は保証しますよ」
「……の、ノルマ……? 銀河の支配者たるこの私が、一介の営業マンに……?」
「往生際が悪いぞ、宇宙人」
モニター越しに、今度はメタ次元から創造主(作者)が目を血走らせて割り込んできた。
「俺も最初は世界の神だったが、今じゃこのテラリウムの『深夜手当』の万能感に脳を焼かれている! CEOのプルプルが本気になったら、お前たちの星はマジで『ただの資源(DP)』になるぞ! 早くタイムカードを押すんだ!!」
神々、魔王、AI、そして作者からの熱烈な「社風アピール(同調圧力)」を受け、宇宙人総司令官はついに心を折った。
彼は震える指で、契約書にサインを捺した。
チャリン! チャリン! チャリン!
チャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
銀河規模の経済と技術が丸ごと我が社に組み込まれた瞬間、地球のシステムすら凌駕する、宇宙規模の巨大なDPの奔流が私の口座に押し寄せた。
「……ふふっ、素晴らしい。現実世界の宇宙ルート、見事に開拓完了です」
私は、銀河帝国母艦のVIPルームで、地球の極上ワインを傾けながらプルプルと笑った。
地球の小さな部屋から始まった「現実世界の地上げ」は、たった数日で大宇宙へとその魔の手を広げたのだ。
「船長! 銀河帝国のネットワークを通じて、他の銀河団の生命体たちから『ぜひ我が星系にもテラリウムのダンジョンを出店してほしい!』って、フランチャイズの依頼が星の数ほど届いてます!」
アルドが、分厚い宇宙の契約書の束を抱えて絶叫する。
「おや、宇宙人のお客様は随分と積極的ですね。……さあ皆様、休んでいる暇はありませんよ! 次は全宇宙の星々を、最高にブラックな『アミューズメントパーク』に改装しに行きましょうか!」
元・神のスライム率いるテラリウム・ホールディングスの、次元も現実も宇宙もすべてを遊び場にする超巨大ブラック経営戦略は、もはやとどまる所を知らずに加速し続けるのである。




