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『VRMMOの極悪テラリウム運営 ~可愛いスライムですが、効率化のためにトップ配信者たちを肥料にしていく~』  作者: リリリリス
第2章:神の遊戯編

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第48話:【天空城の地上げ】雲の上の『天空の支配者』に、地上最強の『地上げ屋(スライム)』が不動産交渉を仕掛けます

「船長、次の買収候補地である『天空城』ですが……どうやら現地の主である天空竜エルダー・ドラゴンが、我が社の買収提案書を『トカゲの餌にもならん』と焼き払ったそうです」


アルドが、真っ黒に焦げた提案書の残骸を掲げながら、困ったように肩をすくめた。 現在、我がテラリウム・ホールディングスは、1号店(旧魔王城)、2号店(死霊の森)、3号店(海底神殿)を大成功させ、新次元のレジャー産業を独占しつつあった。


次なるドメインとして目をつけたのが、雲海の上に浮かぶ伝説の『天空城』だったのだが、どうやら現オーナーは随分とプライドが高いらしい。


「……なるほど。トカゲの餌ですか。随分と不遜なトカゲですね」


私はスライムの体でプルプルと笑った。 話し合いで解決できないなら、経営者としては『別のカード』を切るまでだ。


「バレル様。天空城の高度と、その浮遊機関のエネルギー組成の解析を」


『ああ、既に終わっている。高度は地上8000メートル、古代の浮遊魔術結晶で浮いているな。……だが、私の重力魔法を逆位相でぶち込めば、いつでも『地上(沼地)物件』に引きずり下ろせるぞ。ふふ、地下げ(物理)だな』


バレルが、睡眠不足で目を血走らせながら不敵に笑う。 経営会議は一瞬でまとまった。断固として、地上げを決行する。


【天空不動産・強制地上げ計画】


1. 物理的地下げ(担当:バレル):

* 天空城の浮遊魔力を重力反転で相殺し、強制的に我が社の「沼地1号店」の真上(高度50メートル)まで降下させる。

2. 空中権の接収(担当:アルド、ガルザ):

* 「地上に影を落としたことによる日照権侵害」および「未認可の空中建造物設置」の罪状で、現地ギルド(特別顧問マルス)名義の差し押さえ令状を執行。

3. 高高度リノベーション(担当:元・神、ゼータ):

* 雲のせいで湿気った城内を、元・神の「高圧温風乾燥」で一気に滅菌。ゼータが窓枠をすべて叩き割り、絶景を売りにした『スカイ・リゾート・ダンジョン(4号店)』へ改装。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!


ある日、新次元の空が激しく鳴動した。 雲の向こうから、全長数キロメートルに及ぶ巨大な白亜の城が、目に見えるスピードで自由落下してきたのだ。


「な、何事が起きたというのだー!? 我が神聖なる天空城が、なぜ地上の泥臭い沼地に向かって落ちていくのだ!?」


天空城の玉座の間で、巨大な翼を持つ純白の竜――天空竜シルフィードが狼狽していた。 どれだけ魔力を込めても、浮遊機関が「異常な重力」に捕らえられてびくともしない。


ドォォォォン!!!


城が完全に停止したのは、旧魔王城のすぐ真上、手が届きそうな高度だった。 静まり返る玉座の間。その重厚な扉を蹴り破って、私たちの「地上げ部隊」が突入する。


「おのれ生身の羽虫どもめ! 我を誰だと思っている、天空の支配者――」


「うるさい。雲のせいで、城のいたるところに結露が発生しているぞ」


シルフィードが咆哮を上げるより早く、元・神(清掃員)が「超巨大結露吸水ワイパー」を構えて突進した。


「神聖な城を騙る割に、換気設備が三流だ! カビ臭くてスライム船長の健康に悪い! 今すぐ全フロアを200度の温風で乾燥させる!」


「ぎゃあああ!? 熱い、熱い! 我が美しい鱗が乾燥してパサパサになるぅぅ!!」


元・神の放つ、神聖な熱風(浄化の炎)に焼かれ、巨竜がのたうち回る。


すかさずゼータが、城の壁を魔剣で美しくくり抜き始めた。


「船長、この城、壁が厚すぎて景色が全然見えないわ。全部『全面ガラス張り風』にくり抜いて、空中展望フロアにしちゃうね!」


ズババババババァン!!!


天空城の外壁が、信じられない精度で次々と切り飛ばされ、瞬く間に「開放感あふれる最新テラス風」のデザインへ変貌していく。


「……ひ、非道すぎる……。これが地上の地上げ屋のやり方か……」


あまりのスピード感に、シルフィードは翼を震わせて涙を流した。

そこへ、スーツ姿のアルドと、すっかり先輩社員の風格を漂わせたインターンのガルザ(元・魔王)が、契約書を持って歩み寄る。


「やあ、シルフィード君。君のその『風を操る能力』、実はエアコンの電気代を削減するのに最高のエコ技術なんだ。我が社の『4号店・エグゼクティブ・店長』として、地上を見下ろしながら、やって来る冒険者を気流の罠で翻弄する仕事をしないかい?」


「断る……! 我ら竜族が、人間の小銭稼ぎに手を貸すなど――」


「おい、トカゲ」


ガルザが、冷え切った目でシルフィードを見下ろした。


「往生際が悪いぞ。俺も元は魔王だったが、今じゃこの『テラリウム』の深夜手当の美味さに脳を焼かれている。CEOスライムにこれ以上プルプルされたら、お前の城はマジで『ただの瓦礫(DP)』になるぞ。大人しくサインしろ」


元・魔王のリアルな脅迫に、天空竜は完全に心を折られた。 シルフィードは震える爪で、そっと契約書に血判を捺した。


数日後。 『テラリウム・スカイリゾート店』が華々しくオープンした。


地上50メートルに浮かぶその城は、現地の貴族や大富豪の冒険者たちをターゲットにした「超高級プレミアム・ダンジョン」として機能していた。 全面ガラス張りの絶景テラスを進むと、シルフィード店長が放つ「超高級ダイソン並みの強風トラップ」によって、冒険者たちが優雅に空へ吹っ飛ばされ、身ぐるみ剥がれて1号店の沼地へと安全にパラシュート落下していくシステムだ。


チャリン! チャリン! チャリン! 高額な「ファストパス(優先入場券)」の売上により、プラチナ級のDPが狂ったように私の口座へ振り込まれていく。


「……ふふっ、これです。この、富裕層から効率よく毟り取るビジネスモデル。やはり手作業での地上げは最高ですね」


私は1号店の特製スライムプール(元・神が24時間体制で水質管理)の中で、プルプルと至高の悦びに浸った。 現地の伝説の竜さえも、今や我が社のクリーンな電力源(兼店長)だ。


「船長! 天空城の売上が、あまりに高すぎて現地の『中央帝国』の皇帝が『我が国の経済がテラリウムに吸い尽くされる!』って、大軍を率いて国境線まで進軍してきてます!」


アルドが、めちゃくちゃ嬉しそうな笑顔で最新の戦況報告を持ってきた。


「おや、今度は国家規模の『新規大口顧客』ですか。……皆様、盛大におもてなし(搾取)の準備をしましょうか!」


元・神のスライム率いるテラリウム・ホールディングスは、ついに一国の軍隊さえも「優良な資源」として迎え撃つべく、その凶悪な経営戦略をさらに加速させるのだった。

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