第37話:【ダンジョン・ドーム】全銀河規模の『大抽選会』開催。外れは即・資源化、当たりは『ダンジョンの運営権』という名の罠
「船長、冒険者が増えすぎて、もはやただの洞窟では収まりきりません。……この際、ダンジョンそのものを『競技場』に拡張するのはどうでしょう?」
バレルが、銀河中の冒険者を一箇所に集めるための設計図を提示した。
これまでの「地道に罠に嵌める」スタイルから、銀河規模の「ショー」へと進化させる算段だ。
「……面白い。では、銀河中の冒険者を熱狂させるための『大抽選会』を企画しましょう。賞品は……そうですね、『私のダンジョンの特別運営権』にしましょうか」
『運営権だと? それはまた、ずいぶんと太っ腹な……』
アルドがワインを吹き出しそうになる。
だが、これは私の「究極の省エネ戦略」だ。
【作戦:運営権という名の強制労働】
・運営権の正体:
・当選者には「ダンジョンの管理官」という肩書きと、それに伴う「膨大な事務作業(という名のデータ抽出・罠の保守)」という仕事を丸投げする。
・外れ枠の活用:
・外れた者たちは、会場の観客席(という名の発電・データ収集エリア)に配置。彼らの熱狂そのものを、ダンジョンの電力に変換する。
・勝利条件の操作:
・最終的な「当選者」は、私が予め選別した『最も効率よく罠を処理できる逸材』に固定。
要するに、無料の有能なスタッフを募集するシステムだ。
『さあ、皆さん! 運命の瞬間です!』
アルドの煽りと共に、巨大なエネルギーが宇宙を満たす。
ダンジョン・ドームに集まった数百万の冒険者たちが、自分の番号が呼ばれるのを今か今かと待ちわびている。
「……ゼータ様、準備は?」
「ええ、完璧よ。抽選箱の中身は、すべて私の切断した『資源の欠片』で作った偽造チップ。誰も当たりを引けない仕組みになっているわ」
ゼータがニヤリと笑う。
抽選箱はバレルの魔法で、特定のエネルギー反応を持つ者(つまり、我々が欲しい人材)だけが「当たり」を引くよう調整されていた。
パカッ。
「……当たった! 当たったぞ! 俺が当選だ!」
選ばれたのは、かつてのライバル組織の元・幹部だった男だ。
彼は自分が「当選した」と思い込み、運営者席へと駆け寄る。その背後には、彼を祝福する数百万の観客……という名の「エネルギー源」たち。
『おめでとうございます、当選者様。では早速、こちらの管理端末にて、ダンジョンの全区画のメンテナンス業務を引き継いでください』
男は、突然の業務量に目を白黒させる。
だが、周囲の観客の喝采と、アルドの「君こそが次世代の管理者だ!」という鼓舞に、断る選択肢を失う。
チャリン、チャリン、チャリン!!!
彼が管理端末を叩くたびに、ダンジョンの運営効率が上がり、私の口座に莫大なDPが流れ込む。
私は、その光景をスタジアムのVIP席で、極上の酒を飲みながら眺めた。
「……素晴らしい。自分で動かなくても、勝手に組織が最適化されていく。……これぞ、管理者の極みですね」
神だった頃は、全知全能の力で世界を強制していた。
だが今は、彼らの「欲望」と「誇り」を少しだけくすぐるだけで、世界は私の思い通りに回転する。
「さあ、次の『抽選会』はどの星域で開催しましょうか? 宇宙という市場は、まだまだ私の『テラリウム』を欲しているようです」
スライムの体で、私は愉快そうにプルプルと震えた。
私の箱庭は、もはや星系をも飲み込み、銀河の果てまでその支配(という名の楽しい経営)を広げ続けているのである。




