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『VRMMOの極悪テラリウム運営 ~可愛いスライムですが、効率化のためにトップ配信者たちを肥料にしていく~』  作者: リリリリス
第1章:箱庭の管理人編

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第11話:アイテム狂の錬金術師が来ました。無料の『薬品提供およびミキサーの動力源』としてのご活躍、誠に感謝いたします

「皆様、ごきげんよう。本日はダンジョン運営における最大の悩み、『ゴミ処理リサイクル問題』についてお話しさせてください」


私はプルプルと体を揺らしながら、画面越しに深くため息をついた。

管理モニターに映し出されているのは、前回予告した『第13区画:大回転の廃棄処理槽』である。


すり鉢状になった巨大な円形の部屋の底には、これまでの攻略者たちが壊した武器の破片や、使い物にならなくなった罠の残骸などの「粗大ゴミ」が山のように積まれていた。


「これらの廃棄物をシステム上でDPダンジョンポイントに還元するには、特殊な『溶解液』でドロドロに溶かした上で、巨大なミキサーで高速回転させ、遠心分離にかける必要があります。……しかし、その溶解液の薬品代と、ミキサーを回すための電気代(魔力)が、現在の財政を激しく圧迫しているのです」


『また金(DP)の話してる』

『主、いつになったら黒字安定するんだよw』

『こんなデカいミキサー回したら、そりゃ赤字にもなるわ』


「ああ、どこかに無料で、強力な溶解液をバラ撒きつつ、ついでにミキサーをブン回してくれる都合の良い『全自動ゴミ処理業者』などいないものか……」


私がスライムの体をぺしゃんこにしてぼやいた、まさにその時だった。

ダンジョンの侵入者アラートが、ガラスの割れるようなけたたましい音を響かせた。


モニターを切り替えると、第13区画の入り口に、大量の試験管やフラスコ、そしてパンパンに膨れ上がったマジックバッグを身につけた男が現れた。


エセルガルド・オンラインにおいて、アイテムの力だけで全てを粉砕するトップクラフター、『暴薬の錬金術師バレル』である。


『バレルきたあああ!』

札束アイテムで殴る男!』

『魔法や剣なんて時代遅れ! 資本主義こそ最強!!』


バレルの配信枠は、彼の「湯水のように高額アイテムを使い捨てる」という成金プレイスタイルを愛するリスナーたちで盛り上がっていた。


バレルはすり鉢状の底に溜まったゴミの山を見下ろし、ニヤァッと下品な笑みを浮かべた。


『……ひははっ! なんだこのゴミ山は! 魔法使いも剣士も、こんなガラクタ部屋で死んだのか? 貧乏くせえダンジョンだな!』


彼はマジックバッグから、どぎつい蛍光色に光るポーション瓶を何本も取り出した。


『視聴者ども、よく見とけ! 真の強さってのはな、己の体を鍛えることじゃねえ。「金に物を言わせて、最高火力のアイテムを無限に投げ続けること」だ! 俺の爆薬で、このゴミ部屋ごと吹き飛ばしてやるよ!』


彼にシステムからの『オーディエンス・バフ(アイテム使用時のクールタイム・ゼロ&効果範囲極大アップ)』が付与される。


『そらそらそらぁっ!! 《メルトダウン・アシッド》に《インフェルノ・ボム》の特大サービスだ!!』


バレルが狂ったように両手を振り回すと、劇薬の入ったフラスコや超高火力の爆弾が、秒間数十発というとんでもないペースでゴミ山に向かって投げ込まれた。


ドガァァァァァンッ!! ジュゥゥゥゥゥッ!!!


猛烈な爆発と、金属すら一瞬で溶かす極悪な酸のシャワーが、第13区画に降り注ぐ。


『うおおおおお! バレル最高!』

『画面が爆発と劇薬で何も見えねえww』

『圧倒的物量! これぞ錬金術(物理)!』


バレルの配信枠が「最強の火力」に沸き立つ中。

私の配信枠もまた、狂喜乱舞に包まれていた。


「す、素晴らしい……っ!! なんという完璧な溶解液の調合でしょう!!」


私はモニターの前で、喜びのあまり体をトランポリンのように跳ねさせた。


「皆様、ご覧ください! バレル様が自腹で持ち込んでくださった最高級のアシッドのおかげで、処理に困っていた粗大ゴミたちが、まるで綿飴のようにドロドロに溶けていきます! これほどの薬品を自腹で買ったら、何百万DPかかったことか……!!」


『主が大歓喜してるww』

『業者頼んだらクソ高い薬品処理を、無給でやってくれる錬金術師』

『バレル、お前は錬金術師じゃない。ただの「清掃業者(薬品担当)」だ』


バレルは自身の火力に酔いしれ、さらに爆弾の投擲ペースを上げていく。

だが。


「……ふふっ」


私は、ゴミ山が完全にドロドロの液体スラリーになったことを確認し、スライムの体を震わせて笑った。


「皆様。ゴミが溶けきったということは、いよいよ『遠心分離』の時間です。この第13区画のすり鉢状の壁面には、特殊な『爆風推進モーター』が仕込まれておりまして」


私が解説を始めたのと同時に、画面の中のバレルが異変に気づいた。


『……ん? なんか、部屋全体が回ってないか……?』


「はい。バレル様が投げ続けている《インフェルノ・ボム》の強力な爆風を、壁面のモーターがすべて『回転エネルギー』へと変換しているのです。つまり、バレル様が爆弾を投げれば投げるほど、この部屋は巨大な『ミキサー(遠心分離機)』として加速していきます」 


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!


すり鉢状の第13区画全体が、遊園地の絶叫マシンのような猛烈な勢いで回転し始めた。


バレルの放った爆発エネルギーを完璧に推進力に変え、部屋の回転数はあっという間に「毎分1000回転」という、工業用ミキサー並みの速度に達する。


『な、なんだァ!? 床が、壁が回って……うおぉぉぉぉぉっ!?!?』


猛烈な遠心力(G)が発生し、部屋の中央にいたバレルは、為す術もなくすり鉢の「壁」へと叩きつけられ、そのまま強烈なGで壁にへばりついた状態になった。


『ぐ、がぁぁぁっ……!? 体が、重い……っ!! 動けねぇ!!』


バレルは壁に磔にされながらも、必死にマジックバッグから新たな爆弾を取り出そうとした。


『く、ふざけんな……! もっとデカい爆弾で、モーターごと破壊してやる……っ!!』


「ああ、それはおすすめしません。なぜなら――」

バレルが意地で取り出した特大のフラスコ。

しかし、彼の手から離れた瞬間、そのフラスコは【強烈な遠心力】によって前方に飛ぶことなく、そのまま「真横(バレルの顔面)」に向かって凄まじい速度で押し付けられた。


パリンッ!!!

ジュワァァァァァァァァッ!!!!


『あぎゃあああああああああああっ!?!?』


自身が持ち込んだ最高火力の溶解液と爆弾が、遠心力によってすべて「自身の顔面と体」に逆流し、直撃する。


バレルがバフの力でアイテムを出せば出すほど、すべてが遠心力で自分にへばりつき、自らをドロドロに溶かしていくという、完璧な「全自動・自家発電ミキサー」の完成である。


『自分で自分を溶かしてるww』

『工業用ミキサーに放り込まれた錬金術師』

『金に物を言わせた結果、自分のアイテムに押し潰される男』

『バレルの配信画面、ぐるぐる回ってて酔いそうw』


『たす……アァァァァァァァッ!!!』


最後は、遠心分離機の中でバレルと粗大ゴミが完璧に撹拌かくはんされ、美しい純度100%の「リサイクル用・魔力液体」へと変貌を遂げた。


バレルが完全に溶け去り(ログアウトし)、爆弾の供給が止まると、部屋の回転もゆっくりと停止した。


すり鉢の底には、澄み切った高純度のDP結晶液だけが残されている。


「ふぅ……。バレル様、完璧な『薬品の提供』と『ミキサーの動力源』、誠にありがとうございました」


私は画面越しに、深く深くお辞儀をした。

もちろん、底に溜まったDP結晶液は、床下に仕込まれた『自動搬送パイプ』へと吸い込まれ、チャリンチャリンと私の口座へ直接変換されていく。


「おかげさまで、当ダンジョンのゴミ処理問題は完全に解決し、見事なリサイクル資源が完成いたしました。いやはや、一流の錬金術師は、産業廃棄物処理業者としても超一流ですね」


チャリン、チャリン、チャリン!!!


莫大なDPと、ピカピカになった第13区画。

私はプルプルと心地よい弾力を味わいながら、宣言した。


「さて、皆様。ゴミ処理問題も無事に解決し、資金も潤沢です。……次は、第14区画の『受付および入退館ゲート(セキュリティ管理)』にでも着手しましょうか。引き続き、当ダンジョンのエコな運営をよろしくお願いいたしますね」


今日もまた、エセルガルドの平和と、私の完璧なテラリウムは保たれたのである。

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