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転生時に貰ったギフトで異世界をのんびり旅します  作者: きさらぎみな


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第020話 コンビニエンスストア

 薄暗かった道は、今の時間には数メートル先がかろうじて見える程度まで暗くなっていた。

 光源を求めて空を見上げると、そこには日本で見ていたよりも大きな姿をした、この世界の月が浮かんでいる。

 満月に近い明るさのおかげで、なんとか前方の確認ができているようだ。

 俺は足早にこの貧民街と思われるエリアを駆け抜けた。


 冒険者ギルド近くまでなんとか戻ると、道幅や建物の間隔が広くなり、安心できるほどに視界が良くなった。

 明かりの灯る家も途中途中にあったおかげで、俺は無事に宿に辿り着くことができた。


 中に入ると受付には誰もいなかったため、食堂に行き女性に声をかけた。


「すみません、今戻りました」

「ああ、あんたかい、ちょっと受付で待ってて頂戴」

「はい」


 受付に戻り数分待っていると女性が鍵を持って現れた。


「またせたね、はい部屋の鍵だよ」

「ありがとうございます。あの、宿泊の延長をしたいのですが」

「ああ、大丈夫だよ、歓迎するよ」

「それなら5日延長お願いできますか?」

「はいよ」


 俺は鞄から銀貨1枚と小銀貨5枚を取り出し、渡した。


「確かに。夕飯はどうするんだい?」

「今日は食べて来たので大丈夫です」

「そうかい、それじゃあゆっくりしてくれよ」

「ありがとうございました」


 お礼を言い、借りている部屋に戻る。

 鍵をしっかりと閉めたことを確認し、ベッドに腰掛けた。


 少しだけぼーっとした後に、気合を入れて立ち上がる。


「よしっ!」


 声が少し漏れたが、気にせずに俺は〈コンビニエンスストア〉の入り口を開いた。

 入り口から見える建物は、建物の右側部分の一部が手前に出っ張っており、俺のイメージするコンビニとは違っていた。

 しかし、それ以外はちょっと大きなコンビニと言われたら納得できる外観だった。


 期待と不安を胸に異空間への入り口をくぐり、コンビニの建物へと向かう。

 コンビニの扉の横にはいつものカードリーダーらしきものが設置されている。

 それにプレートをあてると、コンビニの利用方法が頭に流れ込んでくる。


 頭の中の情報をまとめてみると、やはり特殊なお店のようだ。

 商品や棚の文字は神聖文字で書かれ、誰にでも理解ができる。

 販売されている商品は、決済を完了しない限り開封できない。

 商品購入時は、必ず買い物かごに入れてレジカウンターに置かなければならない。

 消費・使用期限がある商品は、期限を過ぎると消滅する。

 賞味期限などはないが、開封前と開封後で消費・使用期限が変化する。

 商品に触れると、誤飲などを防ぐために、ペット用、化粧品、調味料、酒類、のような大まかな分類がわかる。

 自動販売機と同じで、味などの情報は入ってこないし、缶やペットボトルなどの再利用ができる容器は同条件で消滅する。

 この世界では15歳で成人と認められるため、このコンビニでも15歳以上であれば酒やタバコが購入できる


 ある程度の整理ができたので、実際に店内を確認するために中に入る。

 見慣れたコンビニより通路幅がとても広く、その分店全体も広い。

 店内には音楽が流れ、デジタルサイネージには商品のCMが流れている。

 入り口入って右には郵便ポスト、左にはゴミ箱がある。

 ごみは自動で分別されるため、ゴミ箱にはまとめて捨てて良い。

 店内に入って左へ進むとイートインスペースがあり、外が見える壁際の一人用席の他にも4人掛けのテーブルが2つ設置されている。

 外の景色は、手入れの行き届いた庭であるが、外にいた時にあの庭を見た記憶はない。



 そして、イートインスペースの奥には『コンビニロッカー』があった。

 端末にプレートをかざして既定の料金を支払うと、受け取り票の紙が印刷され、指定の扉が解錠される。

 荷物を入れて扉を閉めると自動でロックがかかるが、最初に解錠してから5分以内であればプレートをかざして再び開ける事ができる。

 荷物は端末に受け取り票のバーコードを読み込ませ、指定の扉を解錠して受け取る。

 バーコードによる解錠と同時に、受け取り票は無効となり、10分経過すると扉は自動的に閉まり施錠される。

 荷物の保管期間は8日間。

 この期間を過ぎると受け取り票は失効となり、荷物は制限エリアにある遺失物用ロッカーに移動する。

 遺失物用ロッカーの内部は時間が停止し、品物の状態は維持されるが、取り出すには高額の追加料金が必要になる。



 入り口入って右にある『郵便ポスト』では知人に手紙を送れる。

 販売されているレターセットを使った手紙に購入した切手を貼り、ポストに入れると即座に相手の目の前に送り届けてくれる。

 封筒の中には紙類しか入れることはできない。

 ある程度の住所と宛名が書いてあり、届ける相手のイメージがしっかりしていれば手紙は送れるようだ。

 送るのに失敗した場合は、自身の目の前に届く。


 店内に入って右、ポストの先に進むと雑誌コーナーがあり、そこを通り過ぎると正面と右、それぞれにまっすぐ伸びる通路がある。

 正面の奥に伸びる通路沿いには、日本のコンビニと同様にトイレの入り口があった。

 そして日本のコンビニではまず見ない右折する通路には、右側に『ATM』が5台、左側に『マルチコピー機』が3台並んでいる。

 各端末は広々と仕切られ、それぞれがプライベート空間のようになっていた。



 ここに設置されている『ATM』では、この世界の通貨の入出金が可能で、プレートで預金残高が確認ができる。

 ただし、送金などの他の機能はない。

 残高があれば、コンビニでの支払いは残高からの引き落としで可能になるが、代金の1割が手数料として加算される。

 支払い時は1ポイントが1銅貨として計算されるため、10ポイントの商品は、銅貨11枚での支払いとなる。

 また、ATMやマルチコピー機の使用中は中の様子が見えなくなる結界に覆われる。



 そして『マルチコピー機』のある場所には資料などを置くためか棚が設置されている。

 マルチコピー機には本来さまざまな機能があるはずだが、今現在で使える機能はコピー機能だけ。

 今後使える機能が増えるかどうかは不明。

 複写や複製などのスキルがどれだけ普及しているかわからないが、それでもコピー機はこの世界では革命になるだろう。

 少なくとも羊皮紙や木板ではない、綺麗に揃った紙が使えるというだけでも大変なことである。


 トイレは普通に綺麗なトイレ、男性用、女性用、多目的用と洗面台がある。



 そしてカウンターで、手紙のように『手荷物配達』を利用して、荷物を相手の目の前に直接届くように発送することもできる。

 販売されている専用ダンボールを購入し、住所や宛名を記入し、レジにて料金を支払うと荷物が瞬時に送り届けられる。

 販売されているダンボールは最大でB4サイズ、厚みは8センチメートルなので大きいものは送れない。

 自身で用意した箱や、変形した専用ダンボールなどでは送ることはできない。



 無人であり、盗難の心配もないためか、レジ周り商品はカウンターの中でなく、外からでも手に取ることができるように配置されている。

 電子レンジやポットなどは購入した商品に対してのみ利用できるようだ。



 一通りを見て回ったので、後は普通に利用することにした。

 まずは、夕食で出たごみを捨てさせてもらい、トイレを借りる。

 雑誌コーナーを見てみたが、並んでいるのは料理本や車雑誌、漫画など、この世界で活用でき、正確な地球の情報が入ってこないジャンルだけが並ぶようだ。

 地図や観光本、新聞などもなかった。


 そしてATMコーナーに行き、画面手前にある魔法陣にプレートをかざし「預金」を選択する。

 一括投入口が開いたので、小金貨1枚と小銀貨25枚を投入すると、投入口にはいくらでも入るようだった。

 画面にある完了ボタンを押すと投入口は閉じ、預け入れ完了のメッセージが表示された。

 プレートを確認すると、備考欄に預金残高が追加されていた。

 初期設定は非表示状態だったので、その辺も考慮されているようだ。



 あとは明日以降の為に普通に商品を購入しておこうと思う。

 ずっと欲しかった靴下をとりあえず1足。

 Tシャツとボクサーパンツを1着ずつ、これでごわごわが緩和される。

 ハンカチ1枚とフェイスタオルを1枚、最初に貰った布は吸水性が悪いのだ。

 臭いにはあまり効果はないだろうけど、飛散しているものを防ぐためにマスクを1袋。

 暗い中帰ってきた反省を生かして、懐中電灯と別売りの電池。

 腕時計が売っていたので購入を決め、店内の時計と見比べると時間はあっていたので、調整の必要はないだろう。

 話し合いの説明用に、ウィスキーのミニボトルを2本と日本酒の手ごろなサイズを1本とワインのミニボトルを1本。

 20個入りの紙コップも一応買っておこう。

 消費期限の説明や、俺が普通に食べるかもしれないから、缶詰を肉系と魚系、デザート系を3つずつで9種類。

 フルーツ飴も個包装タイプを1袋買っておくか。

 割り箸も一応買っておこう。



 見せるものや欲しかったものを買ったらカゴが重くなってきた。

 またいつでも来ることができるし、一旦ここまでにしておこう。

 カウンターに買い物かごを乗せるとレジに金額が表示される。

 レジの魔法陣にプレートをタッチすると、ATMに預金したからか、画面に「ポイント払い」と「預金払い」のボタンが表示された。

 ボタンの下にはそれぞれで必要な金額が表示され、預金払いの方は1割増しの合計で表示されている。

 割り増しは嫌なのでポイント払いを選択すると、カゴは消え、購入したものは取っ手付きビニール袋に丁寧に収められた状態になった。

 ビニール袋を掴むと、この袋は中身が空になるか、1日経過すると消滅するようだ。


 買い物も終わったので袋を持ち、部屋に戻る。

 懐中電灯に電池をいれ、ランタンにして室内を照らす。

 部屋と全身に〈研磨洗浄〉をかけ、Tシャツとパンツを着替えた。

 そして念願の靴下を履き、この機会にローラーシューズを再召喚しておく。

 他の購入した荷物は鞄にしまい、持ち上げてみると、酒類と缶詰でそこそこ重い。

 俺は酒を飲まないから、小さいタイプで数勝負にしたのが原因だな。


 とりあえず重さは別としてこれで荷物の整理は大丈夫だろう。

 コンビニの確認もできたが、予想と違って商品より設備の方がやばそうな気もしたが……。


 最後に〈トランクルーム〉に行き、借りているルームに最初に身に着けていた下着を預ける。

 さらにボロ布と綺麗な布は1枚ずつ残し、火打石もライターが購入できるようになったので預けておく。


 トランクルームから戻れば、今日はこれで終わりだ。

 部屋が明るくなったが、特にすることもない。

 明日はこの世界の人々に合わせて早起きができるように、もう寝ることにしよう。



 おやすみなさい。

【ポータル】〈コンビニエンスストア〉

 滞在可能時間は2時間

 コンビニロッカー:45x60x35(センチメートル)、30ポイント

 郵便:切手代5ポイント

 コピー:白黒5枚1ポイント、カラー2枚1ポイント

 手荷物配達:最大39x28x8(センチメートル)、25ポイント

※手紙や荷物の届け先はグリュイ内限定

※買い物合計 144ポイント


2日目終了

 現在 2,938 ポイント

 現金 銀貨1 小銀貨11 銅貨4 小銅貨1

 預金残高 小金貨1 銀貨2 小銀貨5 相当

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