ほ・こ・た・て【一本と四枚目】
「あ~ぁ…あいつらさえ来なければな〜。」
ふてくされた顔でブツブツ言いながらシルファが歩く。
「あいつらのおかげで予定を繰り上げて出発できたからいいじゃないか。」
クロが賞金でパンパンに膨れ上がった財布をフリフリしつつニヤリと笑う。
「とは言っても低額の魔通貨紙幣が多いので見た目ほど高額ではないのがツラいですけどね。」
ケインがヤレヤレといったような表情をしながらも少しおどけた感じで話す。
「高額なんて出されても店が困るし低額でいいんだよ。」
そういうとクロは腰にぶら下げている魔法袋の口を大きく開けて財布をポイッと放り込んだ。
「ところでいつまで地がバレたのをブツブツ言ってるんだ?ケインは気にしないって言ってくれたろ?」
「うっせぇ!」
地の声で軽くキレる。
「イケメンの前では美人で儚げな姿でいたいの♪」
可愛い声で可愛らしい仕草をするも後の祭り感が漂う。
「ところで話は変わりますけど強化魔法を使えるなんて凄いですね。初めて見ましたよ。」
ケインが場の空気を察して話題を変えにかかる。
「まあな…。」
自慢するでもなくそっけない返事が返ってきた。
「強化魔法は使えるけど演出にはタネも仕掛けもあるけどね〜。」
賛同してもらえない上に話題を変えられて不機嫌なシルファが口を尖らせながらブツブツと喋る。
「騙したんですか!」
怒りを露わにするケインに対して少し困った顔をする
「騙してはいないがタネと仕掛けがあるって話さ…。ケインには槍の秘密を話しておくか。」
そう言うと小さくため息をつく。
「この槍はどんな物も貫けない呪いがかけられているんだ。だからあんな程度の魔法で防げるんだ。」
手に持っていた槍を両肩に乗せると担ぐように両手を槍の上に乗せる。
「あの程度の強化魔法だとマスターが普通の槍で突いだけで落とし蓋どころか人間まで貫いちゃうわよ。」
シルファはそれは困るといった顔でケインを見る。
「なるほど…。でもそれじゃあその槍は槍ではなくてただの棒なのでは?」
ケインが顎に手を当て悩み始めた。
「まあそのかわりに何かあるってことさ♪」
そう言うとクロはいたずらっぽく笑う。
「それに私もいるしね。」
シルファもウインクしながら可愛く笑う。
「私は重騎士みたいにどんな物も防げる盾になれるわけじゃないけど、どんどん敵を倒せば攻撃されなくなるんだから。」
そこからクロのいじりが始まりワイワイしながら歩いている2人をケインは後ろから眺めながら。
どんな盾も突き通せぬ矛とどんな矛も防げぬ盾か…とぼんやりと思うのだった。




