今までのあらすじ6 36話~41話。
・36話 「突然の来訪」
早朝、王城の北門に「魔王の使い」を名乗る小悪魔が突如現れる。緊迫した空気の中、なぜか騎士団長ウィラードがお茶を淹れてもてなす羽目になり、会談は3日後に行われることに。
この機に乗じたミラード王は、華奈を納得させて匠を引き離すため、魔族の仕業に見せかけた「匠の暗殺未遂計画」を前日に決行するようウィラードに命じる。
一方、城内で平穏な日常を送りながら鍛錬と勉強に励む匠と華奈。そこへやってきたウィラードは、匠を修練場へと連れ出し、突如木剣で神速の一撃を繰り出す。レベル1.0のポンコツと思われていた匠だったが、ウィラードは不意打ちにすら完璧に追従する匠の眼球と筋肉の動きを見逃さず、彼の強さが何者かに制限されていると確信する。
※※※※※
・37話 「告白」
魔王との会談を2日後に控えた早朝、匠を狙った本気の暗殺未遂が発生。危機感を募らせる華奈のもとに、夜、騎士団長ウィラードが極秘裏に現れる。
王が協定維持のために匠を魔族へ「人質」として差し出そうとしていること、そして華奈を国内に縛り付けるための政略結婚を画策しているという恐るべき真実が明かされる。
激しい憎悪を抱く華奈だったが、ウィラードは「匠には華奈を凌駕する力が封印されており、魔族の地でなら覚醒できる可能性がある」と唯一の希望を告げる。国境沿いのメルド村を中立地帯にするという現実的な救済策を提示され、タイムリミットが1年と迫る中、華奈は愛する匠を守るために彼を送り出すべきか、激しい葛藤に涙する。
※※※※※
・38話 「華奈の決断。メアリーの覚悟」
鍛錬中、華奈の剣の迷いを見抜く匠。華奈は彼を守るため、あえて自分が悪者(裏切り者)になり、その憎しみを糧に過酷な魔境を生き抜いてもらうという、悲壮な「偽りの裏切り」を決断する。その直後、廊下で2人を狙った激しい襲撃が発生。それは「ここにいれば恋人が死ぬ」と華奈に思い知らせ、魔族領へ向かわせるためのミラード王による卑劣な自作自演の警告だった。
一方、メルド村では名誉貴族となったメアリーが元執事のペーターを迎え、ワイバーン事業という新たな新規開拓へ乗り出す。自立した彼女の姿を見届けた竜神アングィスは、神殿へと帰還する(建前上は神聖な仕事のため、本音は溜まりに溜まった書類仕事のため)。神の庇護を離れ、自由な一歩を踏み出したメアリー。彼女と匠が魔族領で交わる未来への布石が、静かに打たれる。
※※※※※
・39話「予期せぬ嘘が、現実に変わる時」
襲撃を受け気落ちする匠と華奈は、ウィラード団長の厚意で彼の自宅の夕食に招かれる。温かい大家族の団欒に心が癒やされるのも束の間、匠はキッチンで華奈が団長の妻と交わす「あの子を伴侶に」「一緒に歩んでいける」という秘密めいた会話を盗み聞きしてしまい、不穏な疑念に苛まれる。
食後、静寂の結界のなかでウィラードは、匠の暗殺計画がもはや止められない段階に達したと告げ、明朝の魔族との休戦交渉に従者として同行するよう命令。華奈は自らが仕組む「偽りの裏切り」の舞台が明日であると悲壮な決意を固める。
城に戻った後、隠し事を冷淡に突き放す華奈の激しい拒絶に、匠は無力感に打ちひしがれながらも、明日訪れる決定的な瞬間に向けて不吉な予感を募らせる。
※※※※※
・40話 「停戦交渉」
魔人族の使者である策略の悪魔フォルカスとの停戦交渉の席で、ミラード王は協定を維持すべく、華奈の弱点である「最愛の男・匠」を人質として魔族へ譲渡するという売国的な提案を行う。
一度戻って主と相談すると告げたフォルカスだが、実は魔王レオンは以前、絶対神サーペントから「人間界にレベル1000の『匠』という者がおり、魔族側に引き入れなければバランスが崩れ蹂躙される」と天啓を受けていた。王の嘘を完璧に見抜いた上で、魔王軍は匠を丁重に迎えることを決断する。
再び仕切り直された謁見の間。何も知らされず従者として同行した匠は、冷徹に自分を拒絶する華奈の態度と周囲の薄気味悪い笑みから、自分が交渉の道具にされたことを察し絶望する。そこへ再び空間を破って、悪魔が姿を現すのだった。
※※※※※
41話「嘘と裏切りと涙」
魔人族との2度目の会談。悪魔アビルゲイが冷笑を浮かべる前で、華奈は匠の命を守るため、ついに「偽りの裏切り」を決行する。匠を「足手まとい」と見下し、騎士団長の息子との婚約を盾に徹底的な拒絶の言葉を突き刺す華奈。胸を引き裂かれながらも完璧な悪女を演じきった彼女の狙い通り、匠の心には絶望を塗りつぶすほどの激しい憎悪が燃え上がる。
二人の絆の断絶を悪魔が愉悦する中、匠は無理やり転移魔法陣へと引きずられていく。絶叫する匠に華奈は決して振り返らない。その刹那、直立不動だったウィラードが歩み寄り、苦渋に満ちた瞳で二振りの剣を差し出す。国を裏切れぬ騎士としての「すまん」という言葉と誠意を匠の眼は正確に読み取り、無言で剣を受け取って魔境へと旅立つ。




