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異世界でラーメン店『北の方』始めました  作者: 武 頼庵(藤谷 K介)
第1章 遥か先

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6/20

第6話 進むべき道

登場人物

〇主人公

 カイ・テッタ=甲斐哲太 (かいてった)

 三大ラーメンの一つである地域で、ラーメン屋を営んでいた33歳独身。地元高校を卒業後すぐに地元のラーメン屋に修行に入り、30歳になったときに独立し自分の店を持つ。

 町の協会での会合からの帰りに、暗い路地裏で悲鳴を聞き駆け付けたが、そこで凶刃に倒れる。


〇パリピュア

 異世界フクキタリの女神

 ちょっとドジっ子な女神様。

 地球で無駄死にしてしまった(笑)テッタの事を気にかけてくれている。テッタが自分の世界で何とか生活できるように、スキルを与えたまではよかったが、ほとんど内容を伝えずに下界に下ろしてしまうというドジをする。

 いつも見守ってくれているのか、時折声が哲太に届いている……気がしている。


〇ハル

 犬人族の獣人。

 茶色の髪に茶色の尻尾。 

 テッタが最初に出会った異世界人

 冒険者登録している冒険者で、テッタのちょっとした料理にビックリする。一緒に街まで行くことになった後、それぞれに生活圏を持っているので会うのは時折。

 しかし、ふとあの時のお肉の柔らかさを思い出し、テッタに『料理しないのか?』と尋ねてみる。

 哲太はハルを『柴犬に似ている』と思っているとかいないとか……。


〇ナツ

 猫人族の獣人

 白髪で白い尻尾

 猫特有の気まぐれ感がある。

 テッタが最初に出会った異世界人

 冒険者登録している冒険者で、テッタのちょっとした料理にビックリする。一緒に街まで行くことになった後、それぞれに生活圏を持っているので会うのは時折。

 しかし、ふとあの時のお肉の柔らかさを思い出し、テッタに『料理しないのか?』と尋ねてみる。

 哲太はナツの事を『真面目なねこさん』だと思っている節がある。




 次の日――ではなく、ギルマスに相談した日の夜。


 俺は一人食堂の厨房へと足を運んでいた。


「食材チェックしないとな」

 ギルマスに話をするにあたって、食材の保存されている場所などを案内してもらい、調理器具などもチェックしていて、簡単レシピとかいうギルド食堂においてある、雑な走り書きにも似たもの目を通す。


「なんじゃこりゃ……」

 何枚か綴りになっているものを、ペラペラとめくって目を通すが、どれも『さっとお湯につける』とか、『肉が白くなったらオッケー』など、いろいろと突っ込みどころのある内容しか書いてない。


 もちろん話せるようになった言葉が少ないから、まだわからない単語などがあるが、残って仕事をしているギルマスや、夜番として受付にいるお姉さん達に聞きながら、一つずつ確認作業をこなしていく。


 「食材チェックもいいが……」

 一通り目を通したその後に、手伝いとしてしか携わってこなかった食堂の『中身』を改めて感じていた。


「汚ねぇな……なんだよここ」

 生ごみは雑にバケツというか樽に放り込まれているだけだし、野菜などのクズなどはシンク部分にたまり、悪臭を放ち始めていて、使った器具は水につけっぱなし。使った食器なども高く積まれたまま。


「良くこれで料理とかできてたな。というか、こんな場所で作ったモノを毎日食ってたのか……」


 そして何より床が汚すぎる。

 何かの血なのか赤黒いシミがそのまま残っているし、茶褐色が一面に広がっていた。


「うん。まずは掃除からだな……」

 ググっと袖をまくり、生ごみ入れとして置いてある樽をぐっと持ち上げた。




 そのうちに俺の様子が気になったのか、ギルマスや受付のおねぇさんが顔を出し、何をしているのかチェックしていくが、何も言わずにそのまま立ち去っていく。


 そのまま一人、黙々と掃除をしていると、いつの間にか受付のおねぇさんが俺が洗った皿などを綺麗な布で拭いてくれるようになり、ギルマスも散乱していた食材などを保存庫にもっていってくれるなど、手伝いをしてくれた。


「よし!! こんなもんだろう……」

 何時間掃除していたかわからないけど、ある程度綺麗になったキッチンで、俺たちはちょっとした休憩を取っていた。


「テッタ様、その……どうして掃除なんてしてたんだ?」

「ドして? ドしてッテ、キタナいはダメ」

「汚いはダメなのですか?」

「?」

 ギルマス――掃除している時に聞いたがマクガ―という名前らしい――が、不思議そうに聞いてくると、それに返事した俺に受付嬢さんもまた不思議そうにおれを見つめてきた。


「ミンナのクチハイル。ソノママ、ハラいたい」

「あん?」

「は?」

 俺が何とか説明すると、困惑したような顔を2人がした。


「待て待て。なにか? ここで今まで通りに食うもの作ってると腹が痛くなるってことか?」

「そう」

 ちょっと違うような気がするけど俺は頷いておく。


 そう返事をかえすと、ギルマスは両腕を組み、受付嬢さんは手に顎を乗せて考え込んだ。


「もしかして……ここで飯を食ったやつらが体調を崩すことがあったが、これが原因か?」

「そうですね。夜などもここでお酒とつまみなどを食べていかれた方が、次の日に体調を崩されるという事が結構ありましたね……」

「セイけつ、ダイじ」

 俺はこくこくと頷いた。


「しかし、どうしてそんなことを知ってるんだ?」

「オレ、リョウリしてたカラ」

「なに!? キッチンに立って料理してたのか!?」

 そんな馬鹿な!! みたいな顔をするギルマスと受付嬢さん。


――何か変なこと言ってるかな? 料理するなんて普通にするだろ?

 ギルマスたちが自分のことを勘違いしているとはつゆとも思ってない俺は、2人が驚いていることに驚いた。


 そのまま動かなくなった2人を後に、俺はさっそく朝用に出せるメニューを考えることにする。


――いつも同じメニューなんだよなぁ……。何とかできないもんかな。

 先ほど片付けてもらった保存庫に行き、何かあるかと見回してみる。どれもこれも観たことがあまりないものばかりだったけど、その中でとあるものを見つけた。


――お? こいつは使えるんじゃないか? でもこままじゃだめだな……。

 それはあの憎きイノシシ野郎の内臓の一部と、あの固い赤身肉。これを使って作れるものが俺の頭の中に閃いていた。


ピコーン

「ん?」


【新鮮なイノシシ野郎の腸。甲斐さんにかかればおいしいものに】


「なんだこれ」

 いきなり脳内に響くような声とともに、目の前に文字テキストが現れた。しかも何と読みやすく日本語で。


――パリピ様かな? でもこれってどういうことだ?


「アノ……」

「どうした?」

 俺が声をかけるとようやく起動したのか、ギルマスが俺の方へと寄ってきた。


「コレミル、ヘンなモジ、デル」

「あん? どんなふうにだ?」

「コレ、ツカえル、オレが」

「ほう……」

 そういうと少しだけ考えたギルマスがニヤっと微笑んだ。


「そりゃスキルだな」

「スキル?」

「あぁ、生まれてきたときに、神様が授けてくださるもんだ。そういえばテッタ様は『目利き』とかいうスキルを持ってたな」

「えっと、モッテる、ハズ?」

「なんで疑問形なんだよ!! 持ってるだろ? 最初に鑑定したじゃないか」

「あぁ、アレカ」

 

 俺も言われて思い出した。この町に来て初日に水晶で確認したもの。その時は言葉や文字が読めないし分からないからスルーしていたけど、その後あの板に書いてあるって教えてもらった気がする。


 「なんにせよ、神様がテッタ様にくださったものだから、それなりに意味があると思うぜ?」

「ナルホド?」

 ギルマスの言う通り、確かにパリピ様に『役に立つもの』という事は言われてたような気がする。


――今頃はナイトフィーバー中かな?

 お空の上にいるだろう人の事を考える。


『踊ってませんし!! フィーバータイム中でもありません!! だからパリピじゃないってばもう!!』


 なんていうあの鈴の鳴るよう声が聞こえた気がした。まぁ気のせいだろうけどな。


――さてと。これを使って作るとしたらあれだな。

 そう思いたち、その場にいる2人を巻き込んで俺はいろいろと仕込みを始めた。




じゅー

じゅわぁー


 キッチンから油が染み出しその油で焼けていくような匂いが立ち込める食堂。


「うっま!!」

「なんだこれ!!」

「うほ!! 今日の朝飯うますぎじゃねぇか!?」

 

 食堂に集まって黙々と、食べ進める野郎ども。そして食堂の端の方で静かに食べているのがホホを紅潮させて天井を見上げているナツとハルの姿もある。


「ヨシ!! 時間が無かったから簡易版だけど何とか形にはなってるかな」

 作り方は本当に簡易版。あのイノシシ野郎の腸をきれいに洗って、冷水で冷やし、その間に固い赤身肉をたたいてたたいて――あの憎しみがあるからたたきすぎたかもしれないが――、ボウルの中に塩、香草を何種類か入れてそれを粘りが出るまで混ぜ合わせる。


 布の端を縫い合わせた簡易版絞りを作り、肉をその腸の中へと絞り入れていく。最初は時間がかかってしまったけど、あとからギルマスや受付嬢さんも手伝ってくれて、指の長さ程度で腸を締めて形作る。

 まぁこの工程が結構時間がかかるんだけど、ある程度量ができたので、試しに二人に手伝ってもらったお礼として焼いて出してもいると、「レシピをくれ!!」「是非に!!」と言い寄られて壁ドンされるという事態に。


 そうして今日の朝飯のおかずと相成ったというわけ。


「ねぇテッタ様」

「ん?」

「これって何の肉なの?」

 ハルがとことこと食器を下げている俺のところにやってきて聞いてきた。


「アノ、イノシシ野郎だヨ?」

「へ?」

「タベタイ、イッてタ、カラつくッタ」

「うそぉ~!!」

 俺の前で大きな瞳にして驚きの声を上げると、奥にいるナツへと駆け寄り、今俺から聞いたことをそのまま報告したみたい。その聞いたナツもなぜか俺方へと視線を向けるとめちゃくちゃきらきらした目を見せていた。

 まぁ口に1本咥えたままなのはご愛嬌という事にしておこう。


――なるほど、俺ってやっぱり作るのが好きなんだよなぁ。この道も悪くないかもな。

 そう、俺が作ったのは簡易版ではあるがウインナーである。コレがこののちにこの町の名物となることになるのだが、この時の俺はまだ知らない。


お読みいただいた皆様に感謝を!!


ようやく哲太が何かを作るという事をしましたね。さてここからどうやって、『その道』へと進んでいくのか!?


それは筆者もまだ知らないw


次回

第7話 冒険者でいいのか?

お楽しみに!!

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― 新着の感想 ―
厨房のお掃除手伝ってくれた受付嬢さんとギルマス、親切で良い人でした。 アレを使うのも、ナイスなアイディア! 美味しいこと間違いないです。 まずは、みんなの胃袋を掴みましたね^ ^
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