第12話 無理じゃろな
※主人公はまだ言葉を覚えたてで片言です。それを表すためひらがな文章と感じ交じりの表現になっておりますので、読みづらいかもしれませんが、表現上ですのでもうしばらくお待ちください。
ラウルさんとともに、急遽自分がお世話になっている宿へと取って返し、テンバさんに事情を説明すると、約束通り夕食の仕込みの一部を手伝う事を条件に、厨房にある素材を使っていいという事になった。
その辺はありがたく使わせてもらうとして、まずは作ってもらったモノを鍋の上へと取り付ける。
「どうだ?」
「少しおおきいようなきがしますね。これではじょうきがにげてしまう」
「そうか、ちょっと待ってろ。おいテンバ、裏を少し借りるぞ」
鍋の上から外して、テンバさんに声をかけると、返事を聞かずに裏へと歩き出すラウルさん。
俺はその間に肉をたたいていく。
「なんだい? またあれを作るのかい?」
「そうですね。ラウルさんが食わせろというもので」
肉をたたきながら返事を返すと、はぁっとためきをついてテンバさんが手伝ってくれる。
「良いのですか?」
「ん? あぁ大体できてるしね。あんたが手伝ってくれるなら早く終わるからさ」
「すみません」
「いいって。どうせラウルは食べるまで帰りゃしないんだから」
「あはははは」
テンバさんの俺が作っていたところを見ているし、俺が何をしようとしているのかは理解しているのでそこからの作業は早い。
テンバさんに肉の方を任せて、俺は小麦粉を取り出し、木のボールへと移して水を加えていく。そこからはヘラでまとめて捏ねるを繰り返し、少し寝かせるように布をかぶせた。
「テッタ。ほれこれでどうだ?」
「あ、ラウルさん」
裏から入ってきたラウルさんは、先ほどよりも少し小さくんあったものを手にして、にこりと笑いながら入ってくる。
「そうですね……いいと思います」
鍋にかぶせて周囲を確認。蒸気の漏れがないことを見て返事を返す。
「良かった。これでできるのか?」
「そうですね。もうちょっとまっててください」
「俺にできることあるか?」
何かあるか考えて、そうだと思いつく。
「ちょっとジカンがかかるので、ラウルさん、屋台を見てきてもらっていいですか? こういうことをしたいので、それができるようにかいりょうをしてほしいんですよ」
「おう!! まかせろ!!」
胸をバンとひと叩きすると、また裏から目瀬の外へと出ていったラウルさん。俺とテンバさんはその後姿を見て苦笑いをする。
「今回はですね、少し生地をうすくしたものと、まえと同じものをつかってみます」
「ほう? どうしてだい?」
「りょうりにかんせいけいはありません。そういくふうは終わらないのです」
「そういくふうって何だい?」
「えっと、かんがえていろいろためす? みたいな?」
「あぁなるほどね。いい言葉だね」
俺の言葉じゃないですけどねとテンバさんに返すと、「あんたから聞いたんだからアンタの言葉でいいのさ」と背中をたたかれた。
「さてではそろそろこれを使いますね」
「そうだね。前回のやり方との違いを見てみたいね」
「では……」
二人で作ったモノを中へと敷き詰めていく。
そうして待つこと数分。時計がないので感覚で少し様子を見ながらになるが、あがる蒸気とともに、脂の溶けるような甘くいい匂いが厨房の中へと充満していく。
「なんだっていい匂いさせてるじゃねぇか」
「お? 戻ってきたのかい。それでどうだい屋台の方は?」
「おう。テッタがさっきしてたみたいに鍋を使って湯を沸かすんだろ? それ用にしっかり加工してきたぜ」
「おぉ!! さすがラウルさん!!」
テンバさんの声掛けに、再度胸を張ってこたえるラウルさん。
ピコン
「ん?」
【この世界初の蒸篭。 しっかりとした造りでしっかりと蒸しあがる。私もシュウマイ食べたい】
「どうした?」
「あ、いえその……」
蒸篭をじっと見ていたらあたまのなかに久しぶりに聞こえた機械音のような音色。しかもなんというか、女神さまの気持ちが漏れているというか……。
「あたまのなかで、これが『この世界初』って……」
「ほう? テッタは鑑定スキルを持ってるのか?」
「いえ、目利きってやつですね……」
「目利き? 聞いたこともねぇな。しかしそれは便利かもしれんな」
「そうですかね?」
テンバさんもラウルさんもうなずく。
「商品の良しあしを見るためとか、鮮度を見るためとか、商人には必要だろ? これから商売していくテッタにはピッタリじゃねぇか」
「たしかにね。鑑定なんて持ってるやつはそんなにいないしね。目利きは大事なもんなさね」
――なるほど……。新鮮さとかを確認できるのか……。確かにこの世界の物に関してはまだ見て回ったモノしか目にしてないから、そういうものがあるとこれから先ありがたいかもしれないな……。
「あとでお供えしますからね」
「ん? なんか言ったか?」
「いえなんでも……そろそろいいかな?」
あとで教会か何かがあるのか調べて、パリピュア様にお供えをしに行こうと心に決め、目の前の蒸篭の様子を確認する。
「うん!! いいかんじだな!!」
蓋を取るとむあぁっと調理場にいっぺんに蒸気が広がっていく。
「おぉ!!」
「何度嗅いでもいい匂いだねぇ~」
ラウルさんもテンバさんも興奮し始めた。我慢できないラウルさんが先に手を出してきたが、それを制して一つ一つ用意してある皿へと乗せていく。ちょっと小さな皿にも後にパリュア様へお供えするようにとっておいた。
「さて……。こちらが前と同じもので、こちらが少しかいりょうしたものです。たべてみてください」
「「いただくよ(ぜ)」」
まずは前回と同じ奴を2人が口に運ぶ。テンバさんは2回目なので、うんうんと頷き、ラウルさんは目を見開いて停止してしまっている。
「ラウルさん?」
「……うっっっまぁ!! うまいなこれ!! なんだこれ!! 小さいながらも噛むとじゅわぁっと広がる甘い肉汁!! 何個でも食べれそうだ!!」
「よかったです」
二人の反応に嬉しく思うと同時に、俺も一つ口に入れた。
――うん。これはこれで……。さて次はこっちだな……。
俺はもう一つの方へと手を伸ばして口へと放り込んだ。
「どれこっちはどうだ?」
「へぇ~。さっきのよりも外皮が透き通って見えるね。面白い」
二人ももう一つの方を口に入れた。
「うん。うまいが……わしはさっきの方が好きだな」
「コレはこれで悪くないね。皮が薄い分、皮の味が薄くて肉の味がさっきよりも味わえるよ」
「……なるほど」
外見の面白さは後者だけど、味その物を感じてもらうには前者か。
「これなら、忙しい時にも口に放り込めるし、なかなかいいかもしれんな」
「そうだね。屋台で売ることを考えると。食べやすいってのも売りになる」
「……べんきょうに、なりますね」
二人から出る意見を聞き、今後に生かせるようにあたまのなかで整理する。
「しかしそうなると……」
「ん? なんだいラウル。なにかあるのかい?」
「テッタよ。おぬし一人で屋台をするつもりか?」
「え?」
ラウルさんが真面目な顔をして俺に尋ねてくる。
「あぁ……なるほど」
「うむ。一人で作って一人で売り子をして……できるのか? それに金の管理もしなきゃならん」
「あ……たしかに……」
今まではお店を出すことしか考えてなかったが、確かにお店を回すことを考えると一人では限界があるように思う。
「テッタはこれにスープもつけるって言ってなかったかい?」
「ですね」
「ふむ。無理じゃろな」
「無理さね……」
あっさりと否定されてしまった。
「その前に材料の仕入れ先などは決まっておるのか?」
「えっと……こえはかけてますが……」
「ふむ、ならばあとは人か……」
「お金が絡むことなのだから、信頼できる人が必要さね。しかしそう簡単に見つかるとは……」
「やっぱりむずかしいですよね……」
三人で悩む。コレが店舗での販売という事であれば、店舗でお金も材量も管理をすることができるようになるのだが、今は屋台でできる限りの事しかできない。
「このシュウマイを売るのは確定として、その辺を今後は考えんといけないぞ」
「はい」
「商業ギルドのギルマスにでも相談してみるといい」
「……ですね」
テンバさんに言われ、その方がいいかと俺もうなずき、早速商業ギルドへと向かうことにした。
「ところでテッタ」
「なんですか?」
シュウマイが数個乗った皿を布袋を手に持ち、店から出ようと思っていると、テンバさんから声をかけられた。
「この蒸篭? だったか……。私も使ってみていいかい?」
「ぜひつかってみてください」
「ありがとうね。ラウルあとでこれを作ってもらうかもしれないよ。そん時はよろしくね」
「あぁ任せろ」
声をかけられたラウルさんが、またもや胸をどんと叩く。
「ちょっと出てきますね」
俺とラウルさんは、宿を後にして商業ギルドへ向けて歩き出した。
お読みいただいた皆様に感謝を!!
1人でやろうとしても、なんでも一人でできるわけじゃないと気が付く哲太。
さてこれから人員はどうするのか!?
次回
第13話 スカウト
お楽しみに!!




