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不合格から始まる聖医の絆 ―踏切を越えた先、異世界で命を繋ぐ―  作者: ねこあし


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第38話 「襲撃の夜」

「襲撃だ!」


 城の外から、叫び声が聞こえた。


 六人は、すぐに武器を手に取った。


 窓から外を見ると、城の周りに黒い影が見える。


 武装した男たち。


 数十人。


 松明を持ち、城を取り囲んでいる。


「行くわよ!」


 セリアが剣を抜いた。


 六人は、城の外へ駆け出した。


 城の中庭に出ると、既に戦闘が始まっていた。


 自由都市連合とエルドランド王国の護衛たちが、襲撃者と戦っている。


 剣と剣がぶつかり合う音。


 魔法が飛び交う光。


 混乱の中、六人は状況を把握した。


「襲撃者は、何者だ!」


 ダリウスが叫んだ。


「分からない! でも、和平を妨害しようとしてるのは確かだ!」


 ハミルトンが答えた。


「とにかく、外交団を守れ!」


 六人は、外交団の周りに陣形を組んだ。


 セリアとダリウスが前衛。


 トムとあかねが左右。


 リーナとエルミナが後方。


 完璧な防御陣形。


 襲撃者たちが、六人に襲いかかってきた。


 黒い服、顔を隠した覆面。


 全員、プロの戦士だ。


「来るわよ!」


 セリアが構えた。


 襲撃者の一人が、剣を振り下ろした。


 セリアが、剣で受け止めた。


 ガキィン!


 力が拮抗する。


 でも、セリアは一ヶ月の訓練で格段に強くなっていた。


 相手の剣を弾き飛ばし、反撃した。


 襲撃者が、倒れた。


 ダリウスも、複数の襲撃者と戦っていた。


 魔力を込めた剣で、次々と倒していく。


 トムは、体術で襲撃者を制圧した。


 あかねは、槍で襲撃者の攻撃を防いだ。


 リーナは、弓で遠距離から支援した。


 エルミナは、魔法で襲撃者の動きを鈍らせた。


 六人の連携は、完璧だった。


 レオナルドの訓練、前線での経験。


 全てが、今に活きている。


 でも、襲撃者の数は多かった。


 五十人以上。


 次々と、襲いかかってくる。


「きりがない!」


 トムが叫んだ。


「リーダーを倒せば、混乱する!」


 ダリウスが提案した。


「リーダーは、どこだ!」


 あかねが、鑑定能力を使った。


 襲撃者たちを、次々と調べる。


 すると――


 城の門の近くに、一人の男が立っているのが見えた。


 黒いローブ。


 魔法使いらしい。


 鑑定能力で詳しく調べると――


『人間。職業:暗黒魔法使い。レベル:高。特記事項:エルドランド王国の過激派組織「黒翼団」のリーダー』


 情報が浮かび上がる。


「あそこ!」


 あかねが、男を指差した。


「あの男がリーダーよ!」


「分かった!」


 セリアが、男に向かって走った。


 ダリウスとトムが続いた。


 男は、三人を見て冷笑した。


「来たか、冒険者ども」


 男が、杖を掲げた。


「我は、黒翼団のリーダー、マルコム」


「和平など、我らは許さぬ」


「戦争こそが、全てだ」


 マルコムが、魔法を唱えた。


「『闇よ、我が敵を呑み込め――ダークネスボール!』」


 巨大な闇の球が、三人に向かって飛んできた。


「危ない!」


 セリアが、三人で散開した。


 闇の球が、地面に激突した。


 ドォン!


 爆発。


 地面に、大きなクレーターができた。


「強い……」


 セリアが、警戒した。


「でも、ここで止めないと」


 三人は、マルコムに襲いかかった。


 セリアが正面から、ダリウスが左から、トムが右から。


 三方向からの攻撃。


 でも、マルコムは魔法の障壁を張った。


 三人の攻撃が、全て弾かれた。


「無駄だ」


 マルコムが笑った。


「貴様らの力では、我を倒せぬ」


 その時、リーナの矢が飛んできた。


 障壁の隙間を狙った、完璧な射撃。


 矢が、マルコムの肩に命中した。


「ぐっ……」


 マルコムが、怯んだ。


 その隙に、エルミナが魔法を唱えた。


「『氷よ、敵を縛れ――アイスチェイン!』」


 氷の鎖が、マルコムの体を縛った。


「くそ……」


 マルコムが、動けなくなった。


 セリアが、剣を構えた。


「終わりよ」


 セリアの剣が、マルコムの首に当てられた。


「降伏しなさい」


「くっ……」


 マルコムが、観念した。


「分かった……降伏する」


 リーダーが捕まると、他の襲撃者たちは動揺した。


「リーダーが!」


「撤退だ!」


 襲撃者たちが、逃げ始めた。


 自由都市連合とエルドランド王国の護衛たちが、追撃した。


 十分後、全ての襲撃者が制圧された。


 戦闘は、終わった。


「やった……」


 六人は、疲れ切って地面に座り込んだ。


 でも、勝利した。


 和平交渉を、守った。


 翌朝、会談が再開された。


 昨夜の襲撃で、双方の外交団は団結していた。


 共通の敵、黒翼団。


 戦争の継続を望む過激派。


 彼らを倒したことで、両国の信頼が深まった。


「昨夜は、ありがとうございました」


 エルドランド王国の代表が、ハミルトンに言った。


「いえ」


 ハミルトンが答えた。


「我々も、あなたたちの護衛に助けられました」


「協力して、襲撃者を倒せた」


「これは、良い兆候です」


「ええ」


 会談が、再開された。


 今度は、雰囲気が違った。


 互いに譲歩しようとする姿勢が見えた。


 三時間の議論の後――


「では、以下の条件で合意します」


 ハミルトンが言った。


「領土は現状維持」


「両国は不可侵条約を結ぶ」


「そして、経済協力を推進する」


「同意します」


 エルドランド王国の代表が頷いた。


 両者が、文書に署名した。


 和平条約が、成立した。


 拍手が起こった。


 戦争が、終わった。


 その後、六人はセリアの父エドワードと話した。


 城の中庭で。


「セリア、よくやったな」


 エドワードが、娘を見た。


「昨夜、お前たちが襲撃者を倒してくれたおかげで、和平が成立した」


「いえ、当然のことをしただけです」


 セリアが答えた。


「謙遜するな」


 エドワードが微笑んだ。


「お前は、立派な冒険者だ」


「そして、立派な娘だ」


「父上……」


「セリア、約束通り、手配を取り下げる」


 エドワードが宣言した。


「お前は、もう自由だ」


「ありがとうございます」


 セリアが、深く頭を下げた。


「それと」


 エドワードが、ポケットから小さな箱を取り出した。


「これを、お前に」


 セリアが、箱を開けた。


 中には、美しいペンダントが入っていた。


 銀でできた、剣の形のペンダント。


 ブライトブレード家の紋章が刻まれている。


「これは……」


「母の形見だ」


 エドワードが説明した。


「お前の母が、生前大切にしていた」


「お前に、渡したかったんだ」


「ありがとうございます」


 セリアが、ペンダントを首にかけた。


 冷たい銀が、胸に触れる。


 母の温もりを、感じた気がした。


「セリア」


 エドワードが、娘の肩を抱いた。


「これからも、自分の道を歩け」


「そして、時々は帰ってこい」


「家族は、いつでもお前を待っている」


「はい」


 セリアが、涙を流した。


 父が、認めてくれた。


 自分の選択を。


 自分の生き方を。


 そして、家族としての絆も、失われていない。


 セリアは、幸せだった。


 午後、外交団は別れた。


 自由都市連合の外交団は、王都へ。


 エルドランド王国の外交団は、本国へ。


 六人も、王都へ戻ることになった。


「では、父上」


 セリアが、別れを告げた。


「また、会いましょう」


「ああ。必ず」


 エドワードが微笑んだ。


「元気でな、セリア」


「はい」


 馬車が、出発した。


 セリアは、窓から父を見送った。


 父が、手を振っている。


 セリアも、手を振り返した。


 父の姿が、小さくなっていく。


 やがて、見えなくなった。


 セリアは、窓から離れた。


 そして、仲間たちを見た。


「ありがとう、みんな」


「え?」


 あかねが尋ねた。


「みんなが、一緒にいてくれたから」


 セリアが微笑んだ。


「私は、ここまで来られた」


「冒険者になって、強くなって、父と和解できた」


「全部、みんなのおかげよ」


「そんな……」


「本当よ」


 セリアが、みんなの手を握った。


「私たちは、家族だもの」


「『銀の絆』として」


「うん」


 五人が頷いた。


「そうね。私たちは家族」


 王都への帰路は、二日間かかった。


 でも、心は軽かった。


 戦争が終わった。


 和平が成立した。


 もう、戦わなくていい。


 もう、人を殺さなくていい。


 もう、救えない命を見なくていい。


 平和が、戻ってくる。


 六人は、それを喜んだ。


 二日目の夕方、王都に着いた。


 街は、祝祭ムードだった。


 和平のニュースが、既に届いていた。


 人々が、街中で喜んでいる。


「戦争が終わった!」


「和平だ!」


「平和が戻る!」


 歓声が、街中に響いている。


 六人も、その中を歩いた。


 人々が、六人に声をかけた。


「銀の絆!」


「ありがとう!」


「和平を守ってくれて!」


 六人は、照れくさそうに笑った。


「どういたしまして」


 宿に戻ると、オルガが待っていた。


「おかえりなさい!」


 オルガが、六人を抱きしめた。


「無事で、よかった!」


「ただいま、オルガさん」


 あかねが微笑んだ。


「戦争、終わりましたね」


「ええ! よかった!」


 オルガが涙を流した。


「もう、あなたたちが戦場に行かなくていい」


「もう、死の危険がない」


「本当に、よかった」


「ありがとうございます」


 六人は、オルガと一緒に喜んだ。


 その夜、六人は街の酒場で祝杯を上げた。


 戦争の終結。


 和平の成立。


 そして、セリアと父の和解。


 全てを祝って。


「乾杯!」


 カチンという音が、心地よく響いた。


「お疲れ様、みんな」


 セリアがグラスを掲げた。


「この数ヶ月、本当に大変だった」


「でも、乗り越えた」


「みんなで、一緒に」


「ええ」


 五人が頷いた。


「これからは、平和な日々が戻る」


 リーナが嬉しそうに言った。


「普通の冒険者として、依頼を受けられる」


「戦争じゃなく、魔物退治や護衛」


「そうね」


 エルミナも微笑んだ。


「それに、私たちはBランクで、Aランクに匹敵する実力がある」


「これから、もっと難しい依頼にも挑戦できる」


「ああ」


 ダリウスが頷いた。


「俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだ」


 トムも、グラスを掲げた。


「これからも、一緒に」


「うん」


 あかねが微笑んだ。


「パーティ『銀の絆』として」


「ええ」


 セリアが、みんなを見回した。


「これからも、一緒に冒険しましょう」


「どんな困難も、一緒に乗り越えていく」


「それが、私たちの絆だから」


「うん!」


 六人は、再びグラスを合わせた。


 カチン。


 心地よい音。


 これから、新しい冒険が始まる。


 戦争は終わった。


 でも、冒険者としての人生は続く。


 六人は、それを楽しみにしていた。


 パーティ『銀の絆』として。


 仲間と一緒に。


 家族と一緒に。


 これからも、ずっと。


 窓の外を見ると、星が綺麗に輝いていた。


 平和な夜空。


 戦争の音のない、静かな夜。


 あかねは、幸せを感じた。


 この世界に来て、約四ヶ月。


 色々なことがあった。


 グレートベア、エルドランド王国からの逃亡、影の翼、ヴィクター、ドラゴン、戦争。


 全てが、大変だった。


 でも、全てを乗り越えた。


 仲間と一緒に。


 そして、成長した。


 Eランクから、Bランクまで。


 弱かった自分が、Aランクに匹敵するまでになった。


 紋章の力も、全て覚醒した。


 地の力、風の力、光の力。


 全てを手に入れた。


 これから、どんな冒険が待っているのだろう。


 あかねは、期待した。


 そして、同時に思う。


 どんな困難があっても、大丈夫。


 仲間がいるから。


 『銀の絆』があるから。


 あかねは、微笑んだ。


 そして、グラスを傾けた。


 新しい冒険へ。


 新しい未来へ。


 乾杯。

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