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第9話 ②——[超絶豪華なコラボ相手を発表!]



「それじゃあ、いよいよ発表するからね……今回のコラボ相手は、この人たちだよ!」


 そう言って、まず初めにカメラを向けた先には、今回のコラボ相手の一角である、勇者が率いる六人組のチームの面々が並んでいた。

 すると、私がカメラを向けたのを受けて、勇者さんは自分たちの配信を始めていく。

 そして、いよいよ配信が始まったところで彼は一歩前に出ると、自分のチャンネルのカメラと私の向けるカメラの両方を前にして、その先にいるリスナーたちに向かって気さくに語りかけ始めた。


「やぁみんな! 初めましての人は初めまして。いつも観てくれている人はマジでありがとうっ! 今日も『勇敢なる挑戦者(ブレイブランナー)』の配信を初めていくぜ〜! オレは〝勇者(ゆうしゃ)御剣(ミツルギ)、よろしく! さっそくだが、今回はなんと! 超弩級の合同探索企画が突然決まって、めっちゃ豪華な相手とコラボすることになったんだ! そのお相手こそは……こちらですっ!」


〈勇敢なる応援者:待ってました!〉

 

〈勇敢なる応援者:マジで突然のコラボでびっくりした〉

 

〈勇敢なる応援者:相手は? 誰だれ!?〉


 すると、私の視界の中でも——〝照面鏡(ホロスク)〟で表示していた——待機画面だった勇者チャンネルの配信が開始され、肉眼で実際に見ている勇者さんと同じ動きをしている映像が映し出される。

 ——私の視界の中には、勇者チャンネルを除いてもあと三つの画面があり、そのうち一つはすでに始まっている夜叉姫チャンネルの配信映像で、残り二つは配信が始まっていないので、まだ待機画面だ。

 勇者さんの配信開始の挨拶が終わったところで、私は彼を映していた自分のドローンカメラを操作して、次なる彼女を映し出す。

 すると同時に、彼女の配信も開始され——勇者さんも自分のカメラを彼女に向けたので——都合、三つの画面に同じ人物が映ることになった。


「どうもみなさん、こんにちわ。姫巫女(ヒミコ)です。わたくしの配信を観にきてくださって、ありがとうございます。今回は、急遽決まったコラボ企画に出演させていただくということで、いきなりのお話に驚かれた視聴者の方もいらしたと思います。それではさっそくですが、事前に発表していなかった、気になるコラボのお相手を紹介させていただこうと思います……この方たちです」


〈姫巫女様の親衛隊:姫巫女(ヒミコ)さまぁぁぁ〜〜〜!!!〉

 

〈姫巫女様の親衛隊:ぬうぅ! いったい何奴じゃあ!? 天下の姫巫女(ヒミコ)様と急にコラボる幸せ者はぁ?!〉

 

〈姫巫女様の親衛隊:はぁ、姫巫女(ヒミコ)様……今日もお美しゅうございます……!!〉


 そう言う姫巫女(ヒミコ)ちゃんから、またまたカメラを動かしていって——同時に、勇者さんと姫巫女(ヒミコ)ちゃんも自分のカメラをそちらに向けたので——このタイミングで始まった最後の一つの画面も含めて、これにて四つのチャンネルの配信画面がすべて同じ六人組を捉えることになった。

 四つのカメラを前にしてもなんら動じることなく、その六人組チームのリーダーである彼は謎に前へ前へと進み出ながらも、まるで噛み付くかのように堂々とコラボ配信の始まりを宣言する。


「いよぅお前ら、オレ様だ! 今日もカイザー様の配信が始まったぞ! さっそくだが、嘘みてぇなホントの話するからよく聞けよ愚民ども! 今回のオレ様の配信は、超特別なコラボ配信だ! さて、誰とコラボしてると思う?

 なんとだぜ、まず一つ目は、あの〝勇者パーティー〟だ!

 さらには、かの〝姫巫女(ヒミコ)〟サマもご登場なさるぞ!

 ——いや本当だぞっ! 嘘じゃねぇからな!

 しかも、それだけじゃねぇ、勇者と姫巫女(ヒミコ)サマだけでも大概ヤベェが……それに加えて、まだもう一人、一等ヤベェやつも来てんだ……にわかには信じられねぇようなヤツだぜ。

 ソイツこそは! 今まさに話題急上昇中の、疑惑の人物……このオレ様を差し置いて、探索者界隈で最も注目を集めている、謎の超新星……と言えば、分かるやつはもう分かったんじゃねぇか?

 そう……最後の一人は——ヒュドラ攻略動画で、一躍超有名になった————あの〝夜叉姫(やしゃひめ)〟だ!

 いいかお前ら! 今回、オレ様たち……『規律正しい乱暴者ジャスティン・ジャガーノート』と、『勇敢なる挑戦者(ブレイブランナー)』、そして、姫巫女(ヒミコ)サマと夜叉姫は、四チームでの合同パーティーを組んで、このダンジョンの——聞いて驚けよ——なんとっ! 〝()()〟を!! 探索する様子を、今から生配信するッッ!!」


〈皇帝の忠臣:カイザー様ァ!! それマジですかァ!! いやマジじゃないっすかぁ!? ヤバすぎんでしょぉぉぉ!!!〉

 

〈皇帝の諫臣(かんしん):普段から大言壮語が過ぎるカイザーが、いきなりあまりにも馬鹿げたことを言い始めたから、呆れるのを通り越して心配になるレベル——って思ってたらマジじゃねぇかオイっ! 嘘だろカイザーお前いったい何をやったんだぁぁぁっ??!〉

 

〈皇帝の臣民:えっ、マジこれ? マジで勇者や姫巫女(ヒミコ)様とコラボじゃん!? え、なら深層で配信ってのもガチなん?! いやそれヤバいだろ……っ!?〉

 

 そうして、それぞれが自分のチャンネルに対して、コラボ配信の始まりを告げたところで……

 私たちはひとまとまりに集まって、それぞれのカメラに全員の姿を映す。

 すると、視界に表示されている四つの配信映像画面には、我々みんなが揃って映っている同じような絵面が四つも並ぶことになった。


「さて、それじゃあ夜叉姫さん、改めて今回のコラボの趣旨(しゅし)を君の口から説明してもらえるかな?」

「あ、うん、分かったよ」


 勇者さんにそう言われたので、私は一歩前に出ると——四つ並んで宙に浮いているドローンカメラの方を見ながら——照面鏡(ホロスク)で空中に出しているカンペを読んでいく。


「えーっと……今回のコラボは他でもない、ボク——夜叉姫の呼びかけで、この豪華メンバーたちに集まってもらったんだ。

 それで、そもそもどうして今回、こういうコラボ企画をすることになったのかっていう、その理由についてなんだけれど……

 最初に結論からいうと……今回のコラボの目的は、ズバリ、ボクの実力をここにいる三つのチームの人たちに証明してもらうこと、なんだよね。

 それというのも、ボクってば、以前に投稿したヒュドラの攻略動画がバズったのはいいんだけれど、これが本当の情報なのかを疑う声ってのも多かったみたいでさ……それだけじゃなくて、ボクの実力自体を疑ってるというか、そもそもボクの動画は——無加工の生配信じゃなくて——フェイクCG動画だろって感じの意見もあるらしくて。もうなんかゴタゴタとうるさ——じゃなくて、まあなんか、そんな風に全然信じてもらえてないみたいだったからさ。

 じゃあ何とかして、本物だって証明してやろうじゃないの、って思って……そっからまあ、色々と、紆余曲折(うよきょくせつ)あって……それで最終的には、こんな風にコラボ配信することになったんだよね。

 今回コラボする人たちは、なんかすごい有名な配信探索者だって話だし、しかもそれが、一人じゃなくて三チームも協力してくれるってことだから……

 ね? ほら、これならもう疑いようが無いでしょ?

 というわけで……今回の配信では、ボクも合わせた探索者チームが四つ合同で、ボクがヒュドラの攻略動画を撮ったまさにそのダンジョンに入って、そこの〝深層〟を探索していって、最終的にはエリアボスのヒュドラのところまで行って倒すまでを配信するという……そういう企画になってるよ。よろしくね」


〈ニートの無職ん:めっちゃ棒読みで草 いやコイツ、確実にカンペかなんか読んでんだろw 視線が空中をめっちゃ泳いでるから絶対そうww ……まあ、それはそれとして……マジかこれ、いやコラボ相手豪華とかいうレベルじゃなくて草超えて森〉


〈アンチ太郎:おいコラ馬鹿やろう、一番気になるところを紆余曲折の一言で終わらせていいコラボ相手じゃねーだろ。カイザーとかいうのはともかく、勇者や姫巫女(ヒミコ)様はマジで、お前みたいな「ちょっと前まで底辺だった零細配信者」が組めるようなビッグネームじゃないんだが???〉


〈アンチ二号:嘘でしょ……勇者?? 姫巫女(ヒミコ)様……っ!?! ……と、一緒に映ってるヤシャコが場違い過ぎて頭がおかしくなりそう〉


 おうおう、三馬鹿がさっそく、いい感じの反応をしてくれておるわい。


「まあ、そういうわけで、せっかくだからこの機会に、オレたちも彼女——夜叉姫さんの〝深層〟探索に同行させてもらうことになったんだ。まあ、オレたち勇者パーティーとしても、深層に潜るのは今回が初めてじゃないけれど……とはいえ、配信するのは初めてだからね。そういう意味ではオレも、いつもより緊張してるかもだな、はは……というか——おかしいな、ヒュドラを倒すまでやるとは聞いてなかったんだけれど???」


〈勇敢なる応援者:さすが勇者、行動が早い!〉

 

〈勇敢なる応援者:やっぱ勇者パーティーは、すでに深層級の実力だったんですね!〉

 

〈勇敢なる応援者:はぇー深層の探索ってマジ? 今回の配信はガチで期待じゃん〉

 

〈勇敢なる応援者:マジでいつもより顔が険しいっすねミツルギくん。でもそんな顔も最高っすよ! てか最後なんか小声で言ってた? 聞き逃しちゃった〉


 そういや、深層の配信って今までまったくされてなかったらしいよね。

 別にダメとか誰にも言われた覚えなかったから、私は普通にヒュドラの動画を上げたんだけれど……

 まあ、深層より深い場所だって一年以上前からずっと配信してたんだから——それでも何も言われなかったし——問題ないってことだよね。


「ええ、というわけで、わたくしも今回が初めての〝深層〟での配信になります。それも、今回探索するダンジョンは、元より他に比べて難易度が高いということで嫌厭(けんえん)されているダンジョンになります。なのでわたくしも、普段よりもいっそう気合いを入れて(のぞ)む所存です」


〈姫巫女様の親衛隊:姫巫女(ヒミコ)様っ! どこまでもついて行きます!〉

 

〈姫巫女様の親衛隊:姫巫女(ヒミコ)様なら万一も無いとは思いますが……深層ともなると、流石に心配ですぅ……ので! 頼む勇者一行! いざとなったら、お前らが盾になってくれ! ああでも、剣豪ちゃんや聖女ちゃんや賢者ちゃんは別ね。そこはちゃんと野郎どもでオネシャス〉

 

〈姫巫女様の親衛隊:難易度が高いゆえの不人気ダンジョン、ですか……しかしなぜ、最初からそんな場所をあえて選ばれたのでしょう……?〉


 そうそう、ここって不人気ダンジョンって言って、普段から人が少ないダンジョンなんだよね。

 私って、人見知りってか人が多いの苦手だから、むしろそういう不人気ダンジョンを好んで選んで行ってたんだよね。

 ここを選んだ理由は、別に……交通のアクセスが良くて、ヒュドラが出るダンジョンを他に知らなかったという、それだけだったりする。


「おうお前ら、どぉだコノヤロウっ、嘘じゃなかっただろ? マジで今回は、この三チームとの合同コラボだし、行く先はダンジョンの〝深層〟だからなっ! つまり、今回の配信でテメェらが目にするすべてが、まだ誰も見たことのない衝撃映像ってことだ! おらァはしゃげ! わめけ! そして宣伝しろ! 今回のコラボ配信を、SNSで! 口コミで! もう何でもいいから、盛大にぶち広めろ! 心配しねぇでも、ちゃぁんとそれだけの価値があるってことは、このオレ様の存在が! ——あと、勇者や姫巫女(ヒミコ)サマもいるし……保証してるからな!」


〈皇帝の忠臣:カイザーァァァァ! 任せとけぇぇぇッ! めっちゃ広めまくってやるよぉぉぉぉッッ!!〉


〈皇帝の諫臣(かんしん):自分の存在だけじゃ微妙だと理解して勇者や姫巫女(ヒミコ)様の名前も出すの草w でもそういうとこ、嫌いじゃないよ笑〉


〈皇帝の諫臣(かんしん):勇者と姫巫女(ヒミコ)様のコラボって、それだけでも話題性十分なのに、そこに今最注目の夜叉姫まで加わるなら、マジでこれヤバいやつでしょ。てか、このメンツだと一番ショボいのマジでお前だぞカイザー笑〉


 ほーん……配信者ってのは、隙あらばああして、自分の存在を広めてもらおうと腐心するものなのか。

 その貪欲な姿勢は、同じ配信者としては見習うべきものなのかもしれない。

 とはいえ、私はそういう数字に関しては興味ないから、その辺は参考にするつもりはないのだけれど……


 探索者としての実力についても、こちらが明確に上である以上は、その辺についても別に、今回のコラボで何か学びがあるとも思えない。

 しかし、配信者としては、彼らは明確に私より上だし、こと視聴者を盛り上げることに関しては、大いに参考にできる部分があると思っている。

 このカイザーという男はオマケみたいな扱いだったから、どうかと思っていたけれど……そういう意味では、コイツからも何か吸収できるものがあるのかもしれない。


 今回のコラボ配信において、私が考えている裏テーマ……それは何を隠そう、配信者として成長することだった。

 私自身は気にしないようにするとはいえ、視聴者が増えた以上は、無様な姿を配信するわけにはいかない。

 ゆえにこそ、せっかくのこの機会を千載一遇のチャンスと捉え、その道でトップを走る人気配信者たちのやり方を学ばせてもらうつもりなのだった。


 もう誰にも、私の魅せプレイに文句を言わせないために……!


 

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