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第9話 帰ってきた夜叉姫の、超豪華なコラボ配信!



「さて、みんな……ごきげんよう。今宵(こよい)もまた、この夜叉姫(やしゃひめ)様による深淵(しんえん)なる配信の時間がやってきたのだよ」


 実に久々に感じる——定型の挨拶にて、私の初めてのコラボ配信はついにスタートした。


〈ラブ夜叉姫@好き好き大好き♡ズッキュン♡キュン♡:祝! 初コラボ配信! 誰とコラボしようが、私の夜ちゃんが一番輝いてるよ!〉


〈ニートの無職ん:おうマジであれからどんだけ待たせんだよバカあくしろよ殺すぞ——って言いたいところだが……どうせもう、このコメントがアイツの目に届くことはない、か〉


〈アンチ太郎:チッ、やっぱりとんでもないコメント数だな。開幕からクソにわかどもがはしゃぎやがって、ああイラつく、おかげでこのコメントが埋もれちまうだろうが……〉


〈アンチ二号:うーわ、すげー数のコメントじゃん、ヤシャコのくせに、ついにメジャーになっちゃったのかよ。。。あーあ、もう観るのやめよっかな。これじゃどうせ、もう今までみたいに反応してもらえなくなるだろうし〉


〈浮世の社畜ん:せっかく会社をブッチしてまで配信観てるのに、こりゃあもう、今までみたいに反応してもらうのは無理だわ……まあ喜ぶべき話なんだろうけど、いや、やっぱ複雑だなぁ〉


〈病み垢@死にたい盛りのロンリーロリータ:やだぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 夜叉ちゃんが人気者になっちゃたぁぁぁぁぁ!!! 病むぅぅぅぅぅ!!! やめてやめてわたしの夜叉ちゃんを返してぇぇぇぇ!!!!!〉


〈キチガイバーサーカー:こ゛ん゛な゛に゛有゛名゛に゛な゛っ゛て゛ど゛う゛す゛る゛ん゛だ゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!゛!゛!゛!゛〉


〈やがて灰になる:すご……めっちゃコメントきてる。でもこの量だと、コメントしても絶対埋もれちゃうじゃん……うわ(ウツ)


〈流浪の探索者:はぇーすごいな、まさか夜の字の配信でこんなとんでもない数の大量のコメントを見ることになるとは。でもこれじゃ、ワイのコメントもすぐに押し流されそうやな……〉


〈探索兵長:姫……私はいつまでも姫を応援し続けますからね。たとえもう、私のコメントが読まれることはないのだとしても、ずっと……〉


 今や私のチャンネルも登録者数が50万人近くになっており、この配信の同接(同時接続数)も、すでに開幕から数万に及ぶようで——それも、現在進行形でガンガン増え続けており——リアルタイムでとんでもない人数が観ているらしいことが(うかが)える。

 すると当然、コメントの数も今までの比ではなくなるワケで——それだけの人数の内のすべてではなく、ほんの数パーセントがコメントしたのだとしても——母数が多いので、その総数はとんでもない数になっている……ようだ。


 とはいえ、それらの大量のコメントは、実は私の目にはまったく映っていない。

 ——見えるのはせいぜい、コメントの総数のカウントくらいだ。

 その理由はひとえに、我が最愛の親友たるヒナ——もといラブちゃんの秘策のお陰である。


 まあ、秘策なんて大層な呼び方してるけど、その内実は別段、(たい)したモノではないのだけれどね。

 それこそ、やったことといえば……せいぜいが——私が見る画面におけるコメントの表示設定を変更して、特定のアカウントだけを常にピックアップ表示するようにして、それ以外のコメントはすべて非表示(ミュート)にするようにしただけなので。

 そして何を隠そう、ここでいう「常にピックアップする特定のアカウント」というのが、要はバズる前から長らく私の配信を観てくれていた「いつメン」たちのことなのだった。


 だから今も私の目には——どうせ埋もれてしまうから見つからないだろうと思って、好き勝手に書き殴っている——我が古き盟友(オリジナルメンバー)どもの阿鼻叫喚の叫びが、ちゃぁんとすべて、見逃されることなく映し出されているのである。

 というか、視聴者(リスナー)側が見る配信画面に出てくるコメントの表示設定も変更しているので、一般のリスナーの目にもヤツら(オリジナルメンバー)のコメントはピックアップされて目立つ表示になっているから、書いてる本人たちもすぐにそれと気がつくはずなんだけれどね。

 ——ちなみに、ミュートはあくまで私が見る画面のみでの設定なので、一般リスナー同士は(オリジナルメンバーも含めて)お互いのコメントが普通に見えている。

 なんて思ってたら、さっそく……


〈ニートの無職ん:え、何これ、なんでさっきのコメントがすでにピックアップ表示されてんの? つーか見覚えある名前のヤツらが続々とピックアップされてるんだが?〉


〈アンチ太郎:おいおいおい、誰だよ開幕からクソみたいな暴言を吐き散らしてるバカは、さっそくピックアップされてるぞざまあみろ——って思ったら、これ自分のコメントじゃねーか、おいどーなってんだよ夜叉公、なに晒してくれてんだよ?〉


〈アンチ二号:ちょっと何コレ!? なんで見覚えのある顔ぶればかりがすでにピックアップされてんのよ?! ちょっとヤシャコ、説明しなさいよ説明!〉


 三馬鹿が即座に反応して騒ぎ始めた。


「おうおうおうおう……どうせ埋もれて見えないだろうと思って、好き勝手にコメントしてくれちゃって、まぁまぁまぁ……。どうどう、落ち着きなよ三馬鹿ども。ちゃぁんと今から説明してあげるからさ」


 大量に新規リスナーが増えようと、その存在が見えなければ、もはや存在していないのと一緒。

 今までの「いつメン」ならぬ「オリメン(オリジナルメンバー)」だけの気楽な配信が良かった私としては、バズって増えた新規リスナーなんて——こう言っちゃあなんだけれど、ぶっちゃけ邪魔でしかない。

 なのでもう、すべて無かったことにした。

 これでスッキリ、今まで通りの配信が出来るって寸法だ。


「————ってゆうこと。分かった? まあ、ボクの見てる画面には映ってないけど、みんなの画面のコメント欄には新規リスナーのコメントも映ってるはずだから、勘違いしたのもしょうがないだろうけれど……要はそういうことなワケ。ボクには——大量に来ているらしい、新規リスナーのコメントって——それ、ぜーんぶ見えてないし、ピックアップされてるお前らのコメントしか見えないから。だからね……つまりはさ、今までと何も変わらないってことなのさ」


〈ニートの無職ん:……いやお前、マジで言ってんの、それ?〉


〈アンチ太郎:せっかく増えた新規への対応をおざなりにするどころか、もはや完全に無視するとか……やっていいことと悪いことの区別も付かないのか?〉


〈アンチ二号:いやアンタ、バカなの? いやバカでしょ、バカじゃん、つーかそんなバカの配信とか誰が観るのよ???〉


〈浮世の社畜ん:いやそれオレは嬉しいけれど……いや、マジ? それって大丈夫なん?ww〉


〈探索兵長:いやまさか、そんな、本当に……?〉


〈ツッコミ番長:ガチで言ってんなら、マジで最高に頭おかしくて草ww〉


「……」


 どうやら、口で言うだけでは、もはや〝観測者(ウォッチャー)〟たちにすら信じられていないらしい……

 なので私は、証拠を見せてやることにする。


 というわけで……

 私が実際に——照面鏡(ホロスク)で空中に表示して——観ている、「自分が配信している画面」を……公開(オープン)モードに設定を変更して、空中に映し出す。

 それをドローンカメラで映し出してみせれば……私が観ている「自分の配信画面」の中にあるコメント欄においては、さっき言った通りに、新規リスナーからのコメントがすべて非表示(ミュート)にされており、オリメンたちのコメントしか表示されていないことが分かるはずだ。

 ——うわ、配信画面の中に配信画面を映してるから、入れ子構造みたいになってて気持ち悪いな……なんて言うんだっけこれ、なんか名前あったような……(※——ドロステ効果)

 まあ、とにかくこれにて……私が言っていることが本当だと、もはや一目瞭然に証明されたことだろう。


〈探索兵長:うわ……本当に本当じゃないですか(驚愕)〉


〈ツッコミ番長:いやマジで新規のコメント全部ミュートにされてて草www〉


 ちゃんと信じてもらえたところで、照面鏡(ホロスク)の設定を自分にしか見えない個人(パーソナル)モードに戻して、私は口を開く。


「うん……というわけだから、オリジナルメンバーのみんなは、今まで通りに遠慮なくコメントしてね。——って言いたいところだけれど、三馬鹿はマジで、さっそく今まで通り過ぎるってゆうか……君たちさぁ、たくさんの人が見てるってのに、少しはちゃんとしようって気はないの?」


〈ニートの無職ん:どの口がそれ言ってんすか?ww〉


〈アンチ太郎:お前にだけは言われなくないだろ。配信者の風上にも置けない背信者が〉


〈アンチ二号:今回ばかりはヤシャコの方がおかしいからね? 普通の配信者は、新規リスナーを完全に無視したりとかしないから〉


〈浮世の社畜ん:ひいさまにだけは見えてないんだろうけれど、新規リスナーたちがさっそくコメントでボロクソに言っててビビるんだけど……笑〉


〈探索兵長:すでにコメント欄が軽く、いや、だいぶ炎上している風な感じなんですが……本当に大丈夫なんでしょうか、姫?〉


〈ツッコミ番長:まだ探索が始まってすらいないのに、すでに炎上してて草ww〉


〈MS管理人R:マジかよ、のっけからとんでもないことしてんな、姫……さすがに面白すぎんでしょww〉


〈MS管理人R:いやでもマジな話、ガチでそんなことしちゃうなら、普通にここだけの話じゃなくて他のSNSとかにも波及して炎上する案件だと思うんだが、姫はそれでええんか?〉


「んー、まあ……別に、いいよ。炎上しようがどうせ、ボクからは見えないんだし。——え、他のSNS? まあ、そっちも別に……てかそもそも、他のSNSとかボクやってないからなぁ……どうでもいいかな」


〈ニートの無職ん:炎上への初期対応が普通に狂ってて草〉


〈アンチ太郎:さすがにこんなにイカれたヤツだとは知らなかったぞ……〉


〈アンチ二号:アンタって、本当に探索者だったのね。。。その頭のおかしい返答で確信したわ〉


「何さソレ……。というか、そんなことよりさ、今回の配信は今までの配信とは違う特別な配信なんだから、そっちの話をさせてよ。配信タイトルにも書いてたけど、なんてったって初めてのコラボ配信なんだよ? みんなも誰とコラボするのか気になるでしょ? それじゃ、さっそく紹介しちゃうよ〜?」


〈ニートの無職ん:それどころじゃなくさせた当の本人が、なんか勝手なことほざいてて草 つーかマジで、いったいどこの誰がこんなイカれた奴とコラボしてくれたのか、ぶっちゃけマジで気になるだろ……w〉


〈アンチ太郎:もう二度とコラボしてくれる相手とか現れないと思うが、最初で最後の被害者は誰なんだ?〉


〈アンチ二号:少なくとも、今回の配信が終わり次第にさっそく、次の配信としてコラボ相手に迷惑をかけた謝罪動画を公開することになることは確定しているけれどね〉


〈探索兵長:そういえば、今回はコラボ配信という話でしたね……冒頭から冒涜的な話をされたので、すっかり忘れてました〉


〈MS管理人R:や、マジで、誰とコラボなんだろ……? まあ、今の姫ならコラボしたい奴はいくらでもいるだろうけどさ。でもここ、ダンジョンだろ? なら相手も、配信系探索者か。まあ、それはともかく……その相手にも炎上が飛び火しないといいけどなw〉


「ふんだ、聞いて驚けよ、お前たち。今回のコラボ相手は、すごく有名で豪華な布陣なんだからねっ! 腰を抜かすなよ……!」


〈ニートの無職ん:絵に描いたような虎の威を借る狐で草〉


〈アンチ太郎:他人の(ふんどし)で相撲を取って楽しいか? はぁ、見損なったぞ。まあ元から、見る影もないとはお前のことだったが、さらに上を行くとはな〉


〈アンチ二号:見苦しさもここに極まれり、ね……まあ、引き立て役の前座としては優秀なのかもしれないけれど〉


 くっ、コイツらめ……!

 言いたい放題言いやがって……


 探索者としての実力はともかく、配信者としての人気はマジですごいんだからなっ、今回のコラボ相手は……!

 この三つのチームが発表されてからの、お前たちの反応が見ものだね……!


〈ラブ夜叉姫@好き好き大好き♡ズッキュン♡キュン♡:さあ夜ちゃん、教えてっ! 今回のコラボ相手は誰なの〜っ?!〉


「そうだねラブちゃん、それじゃ、今から紹介するよ……!」


 そう言って私は、おもむろにカメラを操作して、画面の外で待機してくれていたコラボ相手を映し出すのだった。


 

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