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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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194/202

SCENE193 やることを終えたお茶会で

 ダンジョンに衣織お姉さんが尋ねてきた。

 先日の話では、新しいダンジョンに挑戦するというような話をしていたんだけど、無事に攻略できてきたんだろうかな。

 でも、なんか微妙に疲れているように見えるんだけど、大丈夫かな。

 なんか話があるみたいなので、僕たちは話をするためにテーブルを引っ張り出して用意をする。

 セッティングができると、僕たちは衣織お姉さんと日下さんを呼んで、テーブルを囲む。

 少し遅れてバトラーがやって来ると、紅茶とお菓子を用意してくれる。


「さて、いろいろ話をしたいことがあるんだが、どれから話をしようかな」


 衣織お姉さんが腕を組んで考え込んでいる。

 僕たちは衣織お姉さんをじっと見つめながら、何を話してくれるのだろうかとじっと待っている。

 僕たちからの視線を感じている衣織お姉さんだけど、なんかまったく動きがない感じだ。一体どうしたんだろう。


「まぁいい。私からの話は重いからなぁ。それに長引きそうだ」


 両膝をパンと叩いて、衣織お姉さんは何かを決めた感じだ。僕にはわけが分からないな。


「瞬、テストの結果はどうだった」


 テーブルに肘をつきながら、僕へと話を振ってきた。えっ、それを聞いてくるの?

 とはいえ、衣織お姉さんは僕のことを気にしすぎるところがあるから、こうなるのは当然かな。

 なので、僕は素直に答えることにする。


「テストは合格だったよ。でも、二学期と三学期は授業出てなかったから、持ってきてもらった教科書を元にバトラーに勉強見てもらってどうにかしたよ」


「いやはや、この世界の内容というのも、なかなか面白いものでしたぞ。長らくこのダンジョンの中で、主を待ち続けたかいというものがあるものですぞ」


 僕がちらりと視線を向けると、バトラーはとても得意げに話をしている。

 そんなに僕のことを買ってくれているのかなぁ。いや、どちらかというと僕をダシにしてる?

 いまいちバトラーの真意がつかめないなぁ。


「そうかそうか。無事に中学は卒業できたか。それはよかった」


 僕の答えを聞いて、衣織お姉さんはとてもほっとした様子を見せていた。まるで自分のことのように心配していたみたいだ。本当に、衣織お姉さんってば……。

 あまりにも僕のことに対して反応を示すものだから、僕はどうしたらいいのか困る時があるよ。

 とりあえず、僕の話は終わったから、今度は衣織姉さんの話を聞かせてもらうよ。


「衣織お姉さん、ダンジョン攻略はどうだったの?」


 僕は思い切って聞いてみる。そしたら、衣織お姉さんの表情が急に曇ってしまった。どういうことなの?

 そうかと思うと、衣織お姉さんは、自分の後ろにあった布に包まれた何かを取り出してきた。


「バトラー、これが何か分かるか?」


 衣織お姉さんがそういって布から取り出したのは、先端が二つに分かれた槍だった。なんというか、さす股みたいな感じの武器だな、これ。


「衣織殿、これはどちらで手に入れられましたかな?」


「今回攻略した蜃気楼ダンジョンのボスが持っていたものだ」


「ふむ、そうですか……」


 バトラーの反応からすると、なんだか知っているような感じがするな。衣織お姉さんはやはりかというような表情をしている。

 ねえ、待って、一体何がどうなってるのか、説明してもらえないかな。

 二人の様子を見ながら、僕はあたふたとしてしまう。


「落ち着いて下され、プリンセス。これは、我の旧友が持っていたものですぞ」


「えっ、そうなの?」


「はい。我は執事の道に進みましたが、彼は戦場から離れたくないといいまして、その餞別として、我が贈ったものでございます」


「なるほどな。それでサハギールはバトラーのことを知っていたのか。ただ、直接知っているような言い方をしてはいなかったがな」


「左様でございますか。ふっ、なんとも彼らしいといいましょうかな」


 バトラーは、衣織お姉さんの話を聞いて、悲しげな表情を浮かべながら懐かしそうに笑っていた。

 ところが、槍を見ていたバトラーは、そっと衣織お姉さんの前へと槍を押し返している。


「この槍は、衣織殿がお持ちくださいませ。彼が託したのであるならば、正当な保持者は衣織殿でございます。調べてもらえれば分かりますが、この槍には水属性を増幅させる力がございますので、使いこなせれば戦術に幅が出てよろしいかと存じますぞ」


「そうか……。友人たるお前がそういうのであれば、私が受け取っておこう」


 槍を受け取ることになった衣織お姉さんは、じっと見つめながら槍を手に取っていた。その時の表情は、とても悲しそうな感じである。

 その様子を見ていた僕たちも、なんだかいたたまれない気持ちになってくるというものだ。どうしたらいいのだろうかと、僕は考えてしまう。

 そんな中だった。突然、アルカナさんが僕に提案をしてくる。


「ウィンク様、ちょっとよろしいでしょうか」


「ええ、なんですか、アルカナさん」


「こういう時こそ、あたくしの能力の見せどころだと思いますのよ。ですので、今すぐにでも配信の準備をして下さいませんでしょうか」


 椅子から立ち上がり、僕にずいっと顔を近付けながら、アルカナさんが自信たっぷりに何かを言い始めている。

 その勢いに押されてしまった僕は、アルカナさんに言われるがまま、配信ドローンを準備することになった。

 一体、アルカナさんは何を始めようというのだろうか。

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