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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE192 もやもやは長引かせたくない

 新幹線に乗って、私たちは一気に東京まで戻ってきた。さすがに探索者の武器とはいえども、持ち込みには料金がかかる。だが、稼ぎを思えば大した金額じゃないので、特に気にすることはない。

 戻ってきた私は、東京駅で剛力さんや色と別れる。二人はそのまま横浜にある事務所に戻るからな。

 私はそこから電車を乗り継ぎ、瞬のいるダンジョンへと向かっている。

 そういえば、自分の乗る車でダンジョンに向かわないのは久しぶりだな。

 ただ、長距離移動ということもあって、瞬のダンジョンの近くの管理局の人に、駅まで迎えに来てもらうことにしてもらった。さすがにしんどいというものだ。

 最寄りとなる駅に到着すると、改札の外に日下の姿があった。

 日下というのは、瞬のダンジョンの担当者の一人で、瞬と直に顔を合わせる人物の一人だ。私の性別のことを考えて、女性である日下を寄こしてきたのだろうな。


「これは、衣織さん。珍しいですね、車でいらっしゃらないなんて」


 改札の外から手を振って私に声をかけてきている。

 改札を出た私は、日下のところまで歩いていく。


「まあ、富山湾の蜃気楼ダンジョンを攻略してきたところだからな。ひと晩休んだとはいえ、いろいろあって疲れているんだ。自分で運転して、もし事故でも起こせば目も当てられんだろう」


「それは、そうですね」


 私の話を聞きながら、日下は笑っている。笑える話じゃないんだが、こっちの事情を知らなければそういう反応をしてもやむを得ないか。いちいち怒るのも面倒だしな。

 とりあえず、私は日下の運転してきた車に乗り込むとする。


「そういえば、なんだか武器が多くありませんかね」


「ああ、こいつは蜃気楼ダンジョンのボスドロップだ。情報はもう更新されているだろうから、日下ももう知っているはずだが?」


「ええ、一応通知はきていましたので、知ってはいます。ですが、やはり実物を見ると違うと思いましてね」


「そうかも知れないな……」


 その言葉を最後に、私は黙り込んでしまう。相手をするのも面倒になってきたからだ。やはり、体の疲れもそうだが、精神的ダメージがまだずいぶんと尾を引いているような感じだな。

 私はダンジョンに到着するまでの間、仮眠を取らせてもらうことにした。



「衣織さん、到着しましたよ」


 声をかけられたことで、私は目を覚ます。

 目を開けて体を起こすと、確かにそこはよく見たことのある光景が広がっていた。


「相当にお疲れのようですね。まさかこんなに人前で無防備に眠られるなんて、思ってもみませんでしたよ」


「ああ、すまないな。さて、瞬に会いに行かねばな。テストの結果も気になるところだしな」


「やはり、気になりますか」


「当然だ」


 日下の言葉に、私ははにかみながら答えておく。まったく、瞬のこととなるとからかい気味にいうのはやめてもらいたいな。

 車を降りた私は、日下と一緒に瞬のダンジョンへと入っていく。

 私も日下も、ショートカットが使えるので非常に瞬のところにたどり着くのは簡単だ。ちなみにだが、私が来た時には瞬の出迎えはないぞ。ボスがそう簡単に表に出てくるなと釘を刺しておいたからな。

 そんなわけで、ショートカットの扉をくぐり、私たちは瞬のいるボス部屋へとやってくる。本来なら、運動がてら歩くんだがな。今日はしょうがない。


「あっ、衣織お姉さん」


 私の姿を見ると、瞬が私のところへとはい寄ってくる。ラミアは走れないのが特徴だからな。


「日下さんも、こんにちは」


「はい、こんにちは、ウィンクさん」


 瞬は律儀に日下にも挨拶をしている。やはり、元々がこちら側の人間だからな。それに、瞬はそもそも礼儀正しいから、ちゃんと挨拶をするんだよ。


「あら、衣織様と日下様。いらしていたのですね」


「本当ですわ。ようこそですわよ」


 居候のラティナとアルカナも姿を見せる。かと思えば、ラティナがそのまま私の方に寄ってくる。一体なんだというんだ。

 ちょっと疲れていることもあってか、私は思わず警戒をしてしまう。

 そうかと思えば、アルカナは私の背中へと目を向けている。


「あら、この背中のものから妙な気配を感じますわね」


「分かるのか?」


「ええ。あたくし、これでもアンデッドのリッチですもの。その手の類にはとても詳しいですのよ」


 そういえばそうだったな。アルカナは元々、山梨県の樹海ダンジョンのダンジョンマスターだ。死霊だとか怨念だとか、そういう手合いのエキスパートだったな。

 服装は突飛だが、お嬢様なせいもあってかちょっと頭から抜け落ちていたよ。


「今日はいろいろ話があってやってきたんだ。バトラーも呼んで、テーブルを囲んで話をしないか?」


「分かりました。それじゃ、僕がバトラーに伝えてきますね。ラティナさん、アルカナさん、テーブルとかはお願いします」


「はい、承知しました」


 私の要求に応じて、瞬は蛇の体を一生懸命引きずりながらバトラーを呼びに行く。ラティナとアルカナは、二人でテーブルと椅子を用意している。

 私はその様子を眺めながら、準備が終わるのをただゆっくりと眺めさせてもらっていた。


 さて、今日の私はどの辺りから話をしたらいいだろうな。

 瞬たちの慌ただしい様子を見守りながら、私はこの後のことを割と真剣に考え込んだのだった。

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