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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE187 蜃気楼ダンジョン

 さて、私は今、富山県沖の蜃気楼ダンジョンにやって来ている。

 ダンジョンの入口が沖合にあるために、一度に入場できる人数が限られている。なにせ、船頭も探索者じゃないと入れないダンジョンだからな、ここは。

 本格的に攻略しようということで、ダンジョンへとやってきたのは私と剛力さんと色の三人だけだ。


「まったく、ここのダンジョンは相変わらず視界が悪いな」


「ですけど、以前に来た時に比べれば、少しは視界がマシみたいですね」


「多分、瞬のうろこのおかげだろう。つまり、この蜃気楼は魔法っていうわけだな」


 私たち三人は、前方をじっと眺めている。


「それでは、私はこれで失礼します。帰りはお渡ししたゴムボートを使って下さい。救難信号を出して下さいましたら、すぐに迎えに来ますので」


「分かりました。ここまで連れてきて下さってありがとうございます」


「いえ、これも仕事ですからね。では、ご無事で」


 私たちをここまで連れてきてくれた船頭が、陸地へと向かって引き返していく。

 船頭が無事に立ち去ったことを確認すると、私たちは改めてダンジョンへと体を向ける。

 さすがは海の上にあるダンジョンゆえに、内部の構造も独特だ。今まで向かったダンジョンはすべて地上、または地中にあるダンジョンだったからな。


「壁が揺らめいてますね」


「ああ、多分クラゲかなんかだろうな。安易に触れるなよ?」


 色が壁を見て感想を言っていると、剛力さんはかなり警戒した様子を見せていた。

 だが、今回は私も剛力さんと同意見だ。おそらくはクラゲか何かだろう。触れればマヒか毒か、何かの状態異常を受けるだろう。瞬のうろことラティナの護石があるとはいえ、ポーションの数が少ないからあんまり無理はするもんじゃない。

 私たちはとにかく壁を気にしながら進むことにする。

 ダンジョンの探索を始めると同時に、剛力さんが配信ドローンを取り出す。


「衣織」


「なんでしょうか、剛力さん」


「頼むから、ドローンは壊さないでくれよ」


「あ、ああ。できる限り抑えてみますよ」


 剛力さんは私に注意をしてきた。

 そう、私は数多くいる探索者の中で、配信ドローンを持っていない数少ない探索者だ。

 なぜ私がドローンを持っていないかというと、強力な攻撃でぶっ壊しまくるからだ。すでに五台ぐらい破壊した。

 ダンジョンの戦利品で稼げるとはいえ、さすがにドローンを何度も買い直すのは面倒だし出費が痛いので、私はドローンを使わなくなったんだ。私の攻撃に耐えられぬドローンの方が悪いのだぞ。

 これまでの実績もあるために、私は剛力さんに注意されたのだ。

 ふぅ、とりあえず、剛力さんのドローンを壊さないように頑張ってみるか。

 とはいっても、新しい武器を実戦で試してみたいし、私はとにかくうずうずしてしまっている。

 剛力さんと色が私の方を見ながら、大きなため息をついてしまっている。なんだかな、その態度は。まるで私に信用がないようではないか。まったく失礼というものだぞ。

 心配の目を向けられながらも、私は二人と一緒にダンジョンの最深部を目指してどんどんと進んでいく。


 蜃気楼ダンジョンのモンスターは、海生生物と魔法生物が半々という感じだな。

 だが、瞬のうろこの影響もあって、どちらも物理攻撃で楽々撃破できている。本当に、瞬のうろこの効果は半端ないな。


「衣織、すごいな」


「何がですか、剛力さん」


「その槍だ。確かロックウェル伯爵っていうモンスターに作ってもらったんだろ?」


 剛力さんが声をかけてきたが、どうやら私の槍のことが気になったらしい。

 まぁ、これは確かにラティナの親父さんに作ってもらった新しい槍だ。ラティナのことを面倒見てもらっているということで、ただ同然で作ってくれた。

 すごいことに、この新しい槍は、私の手にしっくり来ている。

 瞬のダンジョンでデコイ相手に振り回してみたんだが、そのデコイは一瞬でゴミくず同然になっていたからな。まぁ、私自身の力もあるとはいえ、それを十分に引き出してくれているって感じだ。

 聞いた話じゃ、ラティナの家は異界で鉱石やら宝石やらを管理しているらしいからな。そんな専門家が作ってくれた武器だ。やっぱり、今まで使っていた槍と違って、ものすごく扱いやすい。

 これなら、このダンジョンもクリアできそうな気がするな。


「はっ! さっさと私の槍の錆にしてやるよ!」


 テンションの上がってきた私は、槍を握る手に力がこもる。


「道を開けな、疾風閃!」


 槍を頭上で振り回し、そこから一気に鋭く槍を突く。

 突き出した勢いで強力な風が起き、目の前にいるモンスターどもを一掃してしまう。

 うん、今日も絶好調だな。


「はぁ……、相変わらずの豪快な攻撃ですねぇ」


「まったくだ。だが、このまま突っ走らせると危険な感じはするから、俺たちでどうにかブレーキをかけながら進んでいくぞ」


「分かりました」


 私の後ろでは剛力さんと色が何か話をしている。悪いが全部聞こえているからな。

 とはいえ、確かにこのままなら私は暴走しかねないな。これだけ気持ちよくモンスターどもをぶっ倒せるんだからな。


「よし、このダンジョンをさっさと攻略してやろうじゃないか」


 私はずんずんと進んでいく。

 さぁ、蜃気楼ダンジョンのボスよ、首を洗って待っていろ。

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