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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE183 にぎわうダンジョン

 年越しの配信を終えて、僕のダンジョンにもようやく人が増え始めていた。

 迷路の方は人数制限があるからか、鉱石掘りの方が少し人数が多いところかな。


「ウィンク様の人気というのは素晴らしいですわね」


 そういうのはアルカナさん。

 元々樹海ダンジョンのダンジョンマスターだったアルカナさんは、すっかり僕のダンジョンにいついてしまっている。異界にいた頃の友人であるラティナさんと一緒になって、それはとても穏やかな感じで過ごしている。

 アルカナさんにはミギーとダリーという二体の人形が付き添っている。アルカナさんの魔力で動くようになっている人形のようで、彼女の世話や護衛をしているらしいよ。


「あら、ウィンク様。あたくしのことをちょっと見過ぎではありませんかしら」


「あっ、ごめんなさい。改めて見たら美人ですし、お供の人形のことも気になりますので、つい……」


 アルカナさんに注意された僕は、つい本音をしゃべってしまっていた。

 そしたら、アルカナさんはどういうわけか目を開いて口を開けて黙りこんでしまっていた。


「あ、アルカナさん?」


「も、もう。あんまり面と向かって言わないで下さいませ」


 アルカナさんは怒って振り返ってしまった。一体どうしたんだろう……。


「ふふっ、照れていらっしゃるのですよ、アルカナ様は」


 そしたら、ラティナさんがやってきてフォローを入れていた。


「ラティナ様?」


「ひゃうっ」


 ラティナさんのフォローが耳に入ったのか、アルカナさんはラティナさんをぎろりと睨みつけていた。あまりにも鋭い視線だったので、ラティナさんはびっくりした反応をしている。でも、その顔はなぜか笑っていた。どういうことなんだろう。


「ふふっ、褒められたことが嬉しいのですが、素直になれないようでいらっしゃるようですね」


「バトラー?」


 今度はバトラーがやって来ていた。

 代わる代わるフォローが入るなんて、アルカナさんは向こうにいた時から人気の人のようだったみたい。

 こうやって見てみると、アルカナさんはもちろん、セイレーンさんもダンジョンマスターとして探索者たちを殺しているのが不思議に思えてくる。

 だとするなら、このダンジョンシステムっていうのはどういうものなのだろうか。

 僕だってダンジョンマスターになったとはいえど、ダンジョンに関しては分からないことが多すぎるや。

 そう思った僕は、バトラーに視線を向けてみる。僕の視線に気が付いたバトラーは、なぜかにっこりと微笑んでいた。

 バトラーの笑顔を見た瞬間、僕はこれ以上は踏み込んではいけない気がして、思わず身震いをしてしまう。


「どうかなさいましたか、ウィンク様」


「あ、なんでもないよ。と、とにかくダンジョンに来ている探索者たちをもてなそう」


「そ、そうですね」


 急に声をかけられてびっくりした僕だけど、とにかく落ち着いてラティナさんへと対応している。

 ダンジョンのことに踏み込もうとすると、いつもバトラーははぐらかそうとしてくるなぁ。

 そもそもこの空ダンジョンのどこに身を隠していたのかも気になるし、バトラーは、もしかしたらダンジョンシステムについて何か知っているのかもしれないな。怖くて聞けないけど。

 なので、僕は頭を左右にぶんぶんと振ると、気持ちをとりあえず切り替える。

 なんといっても、今はこのボス部屋にも探索者の人はやって来ているからね。

 なんでかっていうと、ここにはデコイがあるから。どんなに無残に壊されようとも、ダンジョンのマナを吸って復活する形状記憶デコイだからね。新しい武器やスキルを試すにはもってこいなんだよね。

 あっ、また誰かやってきた。


「あっ、ウィンクちゃんだ。やっぱ実物は可愛いなぁ」


 やってきた探索者さんが、いきなりかわいいなんて言うからドキッとしてしまう。

 ラミアプリンセスっていう下半身が蛇な女性型のモンスターになってから四か月近く経つけど、うん、やっぱりまだ慣れないや。


「こんにちは。ありがとうございます。どんなご用件でしょうか」


 ちょっとどぎまぎしているけれど、僕はとりあえず普通に対応をする。ダンジョンマスターたる者、常に冷静でいなきゃね。


「ああ、新しい武器を買ったから、ちょっと試してみたくてね」


「そうですか。デコイを増やしたので、試してみてください」


「おおっ、確かに三体目があるな。早速試さしてもらうよ」


 やってきた探索者さんは、僕にお礼を言いながらすたすたと歩いていく。

 よかった、急に武器を振り回してくるんじゃないかって、ちょっと身構えちゃったよ。でも、振り回されたところでラティナさんの護石があるから、そこまで大きなけがをすることはないんだけどね。

 それに、デコイの方なら、僕に言ってもらえれば強度を調整できる。その方が探索者としても都合がいいってわけなんだよね。

 そんなわけで、今日もボス部屋に備えた三体のデコイは、探索者さんたちの手によってボロボロに壊されていた。反撃してこないし、修復されるからって、みんなまったく遠慮がなさすぎだよ。

 デコイをボロボロにした探索者たちは、それはとても満足そうにダンジョンから立ち去っていく。


 僕のダンジョンの中は、今日も実に平和だよ。

 年末年始の配信で貯まったダンジョンポイントを使って増やしたデコイを見ながら、僕はふうっと小さく息を吐いていた。

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