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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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蛇人族の里

33話


 しばらく山道を歩くと遠くに蛇人族の里らしきものが見えてきた。二岐に分かれた山道を左に進んで行くと門があり、2人の蛇人が門を守っていた。


「これは、これは、ダグザ殿!話はワーウルフの使者より聞いております。メデューサ様がお待ちです。」


 門番の蛇人はダグザに挨拶をしながら門を開けるように内側へ呼ばわった。

門が開き、中から一人の屈強な蛇人が出迎えてくれた。


「ダグザ殿、お待ちしておりました。メデューサ様が待っておりますので、ご案内いたします。」


「これは!アナンタ殿が直々に迎えてくれるとは!かたじけのうござるよ!母上様は息災ですかな!?」


 ダグザはアナンタと呼んで親しげに話し掛けていた。

アナンタと呼ばれた蛇人の案内で優司達は蛇人族の里へ入って行った。


 里の奥にある一軒の豪華な館に案内された。良く見ると階段は無く、すべてスロープになっている構造であった。蛇人の場合、下半身がヘビなので階段では不便なのであろう。

 ワーウルフのときと違い、屋内での対面になるので優司とダグザ、ルイとテュール、ヘパイストのみでの対面とした。他の者たちは外で待ってもらっている。

 館に入り、何度かスロープを上ったところの部屋に案内された。恐らく、女王の玉座がある部屋であろう。

 蛇人族はラミアと呼ばれる女の蛇人が治めるのが普通であるそうだ。理由はラミアは多少の神通力が使えるかららしい。力はナーガと呼ばれる男の蛇人の方が強いそうだが、神通力には敵わないそうだ。

 優司は蛇人の族長がメデューサと呼ばれていたので、元の世界での怪物を思い浮かべていた。


「・・・髪の毛がヘビになっているのかなぁ・・・?」


 部屋に入ると族長と思しき蛇人が笑顔で迎えてくれた。優司が想像していた様な怪物ではなく、下半身がヘビとなっている美しい女性であった。


「・・・!美人だ!・・・この世界って、美人しかいないのか?・・・いや、文句はまったくないが・・・。」


 ダグザが形式的な挨拶を交わした後、メデューサが優司に話し掛けてきた。


「そなたが異世界より転移してきた者かえ?」


「はい、優司と申します。」


 優司は慇懃に頭を下げて挨拶を行った。


「かなりの腕の様じゃな!ギガースを一人で倒したとな・・・。魔法を使わずに・・・」


「いや、魔法を使わなかったのではなく、魔法が使えないもので・・・」


 優司は照れくさそうに自虐ネタの冗談まじりで答えた。


「謙遜せずともよい、剣のみでギガースを倒すなど考えられない行いじゃ!ガーゴイルも素手で倒したそうな!まこと、頼もしい戦士じゃのぉ!もしかしたら伝説の益荒男かもしれぬな!」


 優司はメデューサの言葉に微笑みで答えた。


「今回のエルフの娘誘拐の件、ワーウルフの使者より聞き及んでおる。まこと由々しき問題じゃ!しかも母親を殺しての所業とな、許し難き行いぞ!」

「我ら蛇人族も惜しみなく協力をしよう!ダグザ殿の申す通り、天魔大戦など起こされては、たまらぬわ!」

「我らが先祖の安住の地を不浄の地とした行いは全獣人族の記憶にしっかりと刻まれておる。ことあれば全獣人が行動を起こすこと、約束しますぞ!」


 優司とダグザは深々と頭を下げ、感謝の意を述べた。すると横から何者かが口を挟んできた。見ると鳥の様な格好をした男女と思われる2人が進み出てきた。


「お味方するのは獣人だけではありませんぞ!我ら鳥人族も助太刀いたします。」


 そう言ってきた鳥人の男は、顔がハヤブサで体が人間、足が鳥の足となっており、背中には大きな翼を携えていた。


「申し遅れました。鳥人族の族長、ハヤブサのホルスと申します。こちらにいますのは妻のカルラです。」


 妻のカルラは女性の体に孔雀の顔を持ち、ホルス同様、背中に大きな翼が生えていた。


「これは、ホルス殿自らお越しくださるとは!ありがとうござる!」


 ダグザが驚きながら感謝の言葉を使っていた。


「天空を駆けることのできる鳥人達の助力があれば、魔族の企てなぞ無に帰っしましょうぞ!」


 そのあと、メデューサとアナンタ、ホルスとカルラを含めた全員で今までの経緯と今後のことを話しあった。

 最後にメデューサが里での休息を申し入れてくれた。


「先を急いでいると思うが、今日は我が里に逗留して英気を養うと良い。出発は明日でよかろう。」


「お言葉に甘えさせて頂きまするじゃ!」


 ダグザが感謝の意を延べ、優司がお辞儀で返礼し、玉座を後にした。

優司達は館の前で待っていた仲間たちに合流した。


「待たせたな。今日は蛇人の里に泊まることとなった。出発は明日にしよう。」


全員了解し、さっそく休息しようと各部屋への案内を頼もうとしたとき、ホルスとカルラが近づいてきた。


「ヤタ!?ヤタではないか!?」


 ホルスがヤタを見つけ、驚きながらヤタに話し掛けた。


「これはホルス様とカルラ様、息災でなにより。」


 ヤタが挨拶をすると、カルラが悲しげな表情で話し出した。


「ヤタ殿、そのお姿を見ると、未だ願い叶わずの様で心苦しい限りです。」


「旅の目的地の一つにエルフの里があります。そこで何かしらのヒントがあるかもしれません。悲観はしていませんよ。」


 ヤタが快活な口調でカルラに答えていた。


「優司殿!ヤタは我らが古き友であります。どうか、お願いいたします!」


 ホルスが優司の両手をしっかりと握りながら言った。優司はホルスの目を見ながらコクっと頷いて答えた。

 優司はホルス達を見送ったあと、ヤタに聞いてみた。


「昔、何かあったのかい?」


「いえ、大したことでは・・・。」


「そうか、さあ、ゆっくり休もう!明日は早いから」


 優司はヤタがあまり話したくなさそうな雰囲気だったので深くは追及しなかった。いずれ時がくれば解ることであろうから・・・。

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