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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
35/86

試作品完成

34話


 朝になるとヘパイストが優司の部屋を訪ねてきた。どうやら一睡もしていない様子であった。


「優司様、お話したいことがございます。よろしいですか?」


「ああ、ヘパイストか、今起きたところだよ」


 優司はヘパイストを部屋へ招き入れた。ヘパイストは部屋に入るなり、興奮を抑えられない様な感じで話し始めた。


「蛇人の中に刻印魔法が出来る者がおりまして、さらに鍛造の施設もありました。エルフやドワーフほどではないですが、まったく使えないものでもありませんでした。」

「それで以前、優司様がお話していました『銃』なるものの作成を試みてみましたところ、試作品ができました!」


 優司は話を聞いて大変驚いた。


「・・・えっー!!ヘパイスト、もう作っちゃったの・・・!?」


 優司は動揺を抑えながら、平静を装って話し始めた。


「そうか!凄いなぁ。試射することは出来るかい?」


「もちろんです!準備はできています!」


 優司とヘパイストは夜が明けきらない森の中へ入って行った。少し行くとヘパイストが準備していたのであろう的が設置してあった。

 到着するとヘパイストが拳銃らしきものを優司に渡した。


「これです。あの的を狙い、撃ってみてください。」


 優司は渡された銃をまじまじと確認した。

形はリボルバーではなくオートマティックの方が近いようである。しかしながら、スライドや撃鉄などはなく、至ってシンプルな構造をしている。弾丸を込めるところも無い。それでも銃口とグリップ、引き金があるので拳銃であることは解る。

 優司はゆっくりと的へ銃口を向け、一呼吸置いてから引き金を引いた。想像通りの爆音が鳴り、弾丸が銃口から飛び出して的に小さい穴ができた。


「おお!俺の想像していた『拳銃』そのものだよ!」


 優司は興奮を隠せずにヘパイストへ叫んだ。


「そうですか!それは良かった。」


 ヘパイストは安堵の微笑みを浮かべて、拳銃の説明を始めた。


「構造は簡単です。常に拳銃の中に火の素霊と水の素霊、闇の素霊が準備されるようになっています。火と水の素霊が起爆、闇の素霊が弾丸となります。闇の素霊は別名『重さの素霊』と申しまして土の素霊よりも小さくて重い弾丸ができます。」

「引き金を引くことにより、火の素霊へ高温への上昇命令がされ、その影響を水の素霊が受けて水蒸気爆発を起こします。その爆発の圧力を一点に集める構造を作り、弾丸が銃口から飛び出すように作成しました。」

「問題点は、有効射程距離が15メートルぐらいしかないことと、材質が高温に耐えられなくなるため、連続での使用は6発となることです。」

「この問題はエルフの里での改良で改善できると思います。」


 ヘパイストは一気に説明を行った。そうとう興奮している様子であった。優司も同様に興奮を抑えられず、叫ぶように話し始めた。


「ヘパイスト!凄いよ!今はこれで十分だよ!ありがとう!」

「それよもフォルダーが欲しいな!拳銃を腰か脇に納めておくものなんだけど・・・。」


 優司はヘパイストへガンフォルダーの説明を行い、ヘパイストは熱心に聞いていた。



 朝になり、出発のため全員が蛇人族の門へ集まってきた。優司の左脇を見るとガンフォルダーがあり、拳銃が収まっている。あの後ヘパイストが寝ずにガンフォルダーを急造した様だ。

 ヘパイストは目を真っ赤にしながら立っている。優司が心配そうにヘパイストに話し掛けた。


「ヘパイスト、大丈夫かい?ほとんど寝てないんだろう?」


「なあに、心配いりません。新しいものの開発に徹夜はつきものです。興奮して眠れませんので・・・。」


 ヘパイストは笑いながら答えていた。優司は心配しながら話した。


「無理はしないでくれ!なんなら荷台で寝ればいいから!」


「ありがとうございます。」


 ヘパイストは微笑みながら答えていた。


「では出発しよう!目指すはエルフの里!」


 ヘパイストと同じく寝不足の優司がみんなに号令を掛けた。

アナンタと数人の蛇人が見送りに出ており、感謝と激励の言葉の中を進んで行った。



 優司達は山道にでるとエルフの里を目指して歩き出した。その様子を木陰からコボルトが見ていた。


「おっ!出てきた様だな!」

「おいっ!行くぞ!」


「スー、スー」


「起きろ!」


兄貴分のコボルトは子分の頭を拳骨で殴りつけた。


「あ痛っ!」

「なにしやすんですか!?気持ちよく寝てたのに!」


 子分のコボルトは、ふて腐れながら言った。


「うるさい!あいつらが出てきたんだよ!行くぞっ!」


 兄貴分のコボルトが子分を急かしている。


「またですかい!?いい加減にしやしょうよ!」


 子分はうんざりしているようだ。


「このまま進むと一度街道に出ることになるな・・・!よしっ!先回りだ!」

「おいっ!先に街道に出るぞ!」


 兄貴分のコボルトは張り切りながら出発した。


「やれやれ・・・。でやんす・・・。」


 子分のコボルトは、呆れながら兄貴分の後を追って行った。

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