蛇人族の里への道
32話
優司達一行はエルフの里を目指してワーウルフの里を出発するところである。ヒュドラ退治の後、近隣の獣人族であるワータイガーから天魔大戦阻止了解の返事が来た。有事のときは共闘する旨の返事であった。さらに、蛇人族からの返事もあり、旅の途中の訪問を待っているとのことであった。
「優司殿、ご武運をお祈りします。何かありましたら、ワーウルフ一同必ず馳せ参じます。」
リュカオーンが優司の両手を固く握って激励の言葉を使っている。優司は固く握り返しながら感謝の意を述べた。
「リュカオーン殿、こちらこそ、ありがとう。何かあったときは、よろしく頼む!」
優司達はワーウルフの里を後にした。その様子を森の影からコボルト2人が確認していた。
「あにきっ!あいつらが里から出てきやしたぜ!」
「・・・Z・Z・Z・・・」
「あにきっ!あにきってば!!」
子分のコボルトは寝ている兄貴分の体をバンバンと叩きながら揺り起こした。
「ふがっ!んっ!?なっ、何だよっ!?気持ちよく寝てるのに!」
兄貴分のコボルトの寝起きは不機嫌らしい。
「やつらが出てきましたって!」
「なに!?本当か!?随分と長い滞在だったな!ようやく出発か!?」
「ワーウルフの里は居心地が良かったんだなぁ・・・。滞在は三日間だったな・・・。」
ヒュドラ退治はコボルトの居る場所とは反対側となっていたので、どうやら知らない様子である。
「どうしやす?話し掛けますか?」
「ばか!おめぇ・・・。なんで俺が・・・。」
「じゃぁ、つけますかい?」
「お、おう!そうしよう!」
コボルトの2人は相変わらず優司達のストーカーと化していた。
優司達は蛇人族の里を目指して進んでいる。今日も天気が良く、木々の枝の間から木漏れ日が射し、幹の辺りがキラキラと輝いている。さらに所々に陽炎が立っている。木ノ葉流武闘術の極意に『陽炎』がある。空蝉が後の先の極意であり、陽炎は対の先の極意となる。相手の攻撃や意識が飛んでくると同時にユラッと捌く様を陽炎に擬えたものだ。しかし、うっとしいのはコバエである。何故かいつも優司の廻りを飛んでいる気がする。天気が良いのはいいことだが、コバエを払うのが少々面倒くさい。
そう思っているとダグザが皆に声を掛けてきた。
「このまま行けば今日中には蛇人族の里に着くでしょうな。蛇人族も協力を惜しまないと言ってくれている様子ですので、一安心ですわい!」
優司はコバエを手で払いながらダグザに蛇人族のことを聞いてみた。
「蛇人族とは、どんな種族なんだい?」
「蛇人は下半身がヘビで上半身が人型となっておりまする。男をナーガ、女をラミアと言いますのじゃ!」
「それと、蛇人族は獣人の中でも鳥人族と特に仲が良い種族でしてな!蛇人族の里には鳥人族も住んでおりますのじゃ!ですので、蛇人が味方してくれるということは、鳥人達も味方してくれるじゃろうて!」
ダグザは首尾よく行っていることがすこぶる喜ばしい様である。
「ちなみに鳥人族は鳥と人型が合わさった様な格好をしておりますじゃ!こちらも男をガルーダ、女をハルピュイアと言いますじゃ!」
「鳥人族は空を飛べますからな!味方になってくれれば何かと便利なはずですじゃ!」
「・・・へぇ~、ヘビと鳥が仲良いんだ!・・・俺の世界では仲悪いってイメージがあるけど・・・。」
優司はダグザの話を聞きながら、そんなことを考えていた。ふと、あることを思い出し、ダグザとヘパイストに聞いてみた。
「そうそう!ダグザとヘパイストに確認したいんだけど、歩きながら聞いてくれ!」
ダグザとヘパイストは無言で頷いた。
「ヒュドラとの戦いで思ったんだが、刻印魔法などを戦闘で有効に使うことは出来ないかな?例えば、離れていても相互間の意思疎通が出来る様な道具を作るとか・・・。それと、ある所からある所に一瞬で移動できるとか・・・。」
「なんか、魔法をうまく組み合わせて利用すれば出来ると思うんだけど・・・。そうすれば各種族の里を繋げることが出来ると思うんだ・・・。」
「どうだい?」
ダグザとヘパイストが驚いた様な表情を見せていた。答えたのはヘパイストだった。
「いや、できますよ!優司様の言ったこと、どちらとも!確かに、それをすれば非常に便利です。」
するとダグザも口を挟んだ。
「いやいや、言われてみれば!さすが優司殿じゃな!他種族間でそのようなことをするとは考えもしませんでしたわい!」
「そもそも、この様に色々な種族が集まって旅をするというのが無いことですからのぅ・・・!」
「一先ず、エルフの里へ行き、刻印魔法師や錬金術師、呪術師といった者たちと話してみましょうぞ!なぁ、ヘパイスト殿!」
「いやはや、面白そうですなぁ!」
ヘパイストは嬉しそうに目を輝かせていた。
「そうと決まれば善は急げですじゃ!早く蛇人族の里へ行きましょう!」
優司達一行は蛇人族の里を目指して歩き続けている。




