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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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野太刀準備

22話


 朝になった。野宿なのによく眠れた。

昨晩、眠る前に何者かに襲われることを心配したらダグザとヘパイストが結界と警報の法術を掛けたから大丈夫とのことであった。

 本当に魔法は便利だと思い、俺も使える様になりたいと本気で思った。


 全員が起きだして各々朝食の準備や出発の準備を始めた。するとダグザが言った。


「ここから先は山深くなりますじゃ!大きな獣や魔獣、魔物なんかも出るかもしれませんでな!十分気を付ける様にしてくだされ!」


 するとルリが言った。


「えっ!?魔獣と魔物がでるの?魔国でもないのに?」


「出るんじゃよ!最近はな!魔族は魔獣を解き放っておる・・・。その魔獣が世界中の至る所で目撃されている。魔物も魔国から出て生活しているものが居るんじゃよ・・・。そんなものが盗賊なんかをしている場合があるんじゃよ」


 ダグザが説明した。俺はよく解らなかったので聞いてみた。なんでも魔獣とは魔族が獣をベースに作り出した生物であるらしい。自我は無いものが殆どらしいが、普通の獣より断然強いそうだ。そして、魔物とは魔族の最下層の生物らしい。自我のある者が殆どらしいが、あまり知能が高くないとのことだ。知能の高い魔物が『魔人』となるようだ。ついでに魔族には『鬼』もいるらしい。 鬼は魔物と比べると断然に力が強いそうだ。肉弾戦が得意となるようだ。そして、鬼も知能が高いものを『鬼人』というそうだ。

 俺は元の世界でのファンタジーの鬼を想像していた。本当に見ることができるのかと、ちょっとワクワクしてしまった。


 ダグザの話では、今の魔族は他の種族と異なり、自分の国の中で納まらないような生活をしているらしい。結構、自由に自分の住むところを決めているそうだ。だから盗賊などを生業としているものもいるとのこと。

 そういった盗賊はスプリガンやコボルトといった亜人よりも強力だそうだ。

元々魔族は『破壊』を司る種族として産まれたので、戦闘などの破壊活動は得意中の得意なんだそうだ。ちなみに天族は『維持』を司る種族らしい。


 強い魔族が何故、天族に負けたのかをダグザに聞いてみたが、さすがにダグザにも解らないらしい。ただ、数多の神霊が天族に味方をしたらしいとのこと。

破壊を司るといっても、すべてを破壊するのではなく、不要となったものを破壊するのが魔族の本分なので、恐らく、余計な破壊をさせなかったのではないかと思う。とのことであった。


 俺は、強力な敵が現れるかもしれないとのことなので、野太刀の準備をしておこうと思い、荷車から取り出した。

 その姿をヘパイストがいち早く見つけて俺に近づいてきた。


「ゆ、優司様!そ、その剣はっ!なん、なんですかな!?」


「・・・やっぱりヘパイスト、食いついてきたかぁ・・・。」


 俺はニコっと笑いながらヘパイストに説明を始めた。それを見ていたトールとテュール、カイ、ダグザ、ルイも話を聞きだした。


「これは野太刀と言って日本刀の大きいバージョンかなぁ。これは全長が5尺5寸、刃長が4尺もある。だから大太刀って言ってもいいかもしれない」


 俺は野太刀を抜いて見せた。


「しかも、この野太刀の特徴は切っ先1尺が両刃になっているんだ。『鋒諸刃造』(きっさきもろはづくり)と言ってね!」


 ヘパイストが溜息をつきながら話し始めた。


「トール様ならいざ知らず、優司様が振れるのですか?」


 俺は少し笑いながら答えた。


「はははっ!もちろん振れるよ!これが振れる理由が昨晩に話をした体幹が必要なんだよ!」

「俺の先祖たち、昔の日本人というのは背の低い民族だったんだ!ドワーフと同じぐらい、平均身長が150センチメートルから165センチメートルぐらいしかなくてね!しかも、ドワーフよりも非力だったんだよ」

「それでも長大な剣を振って戦った民族なんだよ!そんな姿を見て他の民族が日本刀と武士に対する恐れを抱いたんだ!」

「ちなみに、今俺が腰に差しているのは『打刀』の分類になる。厳密な決まりは無いが、大きくなるに連れて『打刀』『太刀』『野太刀』『大太刀』となって行くんだ!」

「その他にも長巻や脇差、短刀といったものもある」


「確かに、優司様がお腰に差している『打刀』は全長が1メートルぐらいでしょうか・・・。私の認識ではロングソードぐらいになりますな・・・。」


 ヘパイストが職人的な見解を話した。


「こっちの世界ではコボルトがロングソードやクレイモアを扱う様なものですかな・・・。いやはや、信じられません・・・。」


「まぁ、これを使うことになることは出来る限り避けたいが、使うことになったら見ておきなよ!どうやって振るかを!」


 俺はヘパイストに微笑みながら話した。


 朝食を終え、いざ出発となったとき、俺はルイに荷車の横を歩くようにと依頼した。


「ルイ、荷車の横を歩いてくれ。左右どちらでも構わない。戦闘になったら素早く荷車に上って弓を引いてくれ!」


 ルイはOKと言って俺の後ろの荷車横に着いた。俺はルイの姿を見て違和感を覚えた。


「・・・そういえば、弓は持っているけど、矢を持ってないな・・・」


 俺は矢が無いことをルイに訪ねた。


「ごめん、矢は無いのかい!?」


 するとルイが可笑しそうな表情を浮かべ、他の全員が笑い出した。


「旦那ぁ・・・。矢って、どんなんです?」


 トールが笑いながら話した。するとヘパイストが真面目な表情で言った。


「アーチャーの矢は素霊を使うのですよ!素霊の性質によって光の矢や炎の矢など、色々あります。」


「・・・えーーっ!矢は必要ないの!?光の矢!?なんか格好良いし!!俺も欲しい!!」


「まあ、優司様は、この世界の住人ではないので、知らなくてもしょうがないですよ」


 ヘパイストに慰められながら、エルフの里を目指し、山道を出発した。

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