朝食
17話
全員が荷車のところに走りついた。捕まった者は居ないようだ。
「さぁ、気を取り直して、さっさと出発しよう!」
俺はみんなに出発を促した。するとトールが息を切らせながら言った。
「そうだな・・・。早いところ、ずらかろう・・・。」
「・・・言っちゃったよ・・・。ずらかろう・・・。まぁ、捕まって面倒なことになると出発できなくなるから・・・。ずらかろう・・・。」
俺は木を折った罪悪感を打ち消しながら全員へ話し掛けた。
「出発をする前にフォーメーションを整えておこうと思う!」
「フォーメーション!?」
テュールとヘパイストが驚いたように聞き返してきた。
「そう、フォーメーション」
「今後、どんな敵が襲ってくるか解らないので、直ぐに対処できる配置を決めて歩こうと思う。」
「各人の役割をざっくりと決めておいて、その役割に合った場所に配置するってことだ!」
俺はさらっと説明した。カイとルリとモンチが納得したように頷いている。ダグザも頷いていた。
「なるほどのぅ・・・。」
俺は各人に指示を出した。フォーメーションは荷車を中心に決定した。
荷車を引くアピスを先頭にして、アピスの右隣に俺、左隣にテュール、アピスの背にヤタを配置。
荷車の右隣にカイ、ルリ、モンチ。左隣にフェンリル、ダグザ、ヘパイスト。
最後尾の殿にトールを配置した。サラは自由に飛び回れるようにと、あえて配置を決めなかった。案の定、サラはご不満の様子であった。
「なんでよっ!!なんで私だけ場所が決められないのよっ!!」
俺は面倒だと思いながらもサラに説明した。
「サラの配置を決めない理由は重要な役割だからだよ!色々な場所に飛び回って多方面に活躍してもらわなくちゃいけないから!サラにしか出来ないだろ!?」
するとサラは得意げに頷いた。
「なるほど!良く解っているじゃない!確かに私にしかできない芸当ね!」
「むゎっかせなさい!!」
「・・・はぁ、単純で良かった・・・。」
俺は心の中でささやいた。
「この配置なら攻撃と防御が均等に振り分けられているので、攻防一体の動作ができると思う。全員が全員を助け合うって感じかな・・・。ただ、一番危険な場所は殿であるトールになる。一番、敵に襲われやすく、退却するときは敵を抑える役目になるから、大丈夫かい?」
俺は簡単にフォーメーションの説明を行い、危険だが重要な殿のトールに大丈夫かを聞いた。
「がははは!もちろん大丈夫だ!そう心配するな!殿は体のデカイ俺が適任だろう!」
トールは豪快に笑いながら承諾してくれた。
「さぁ!出発しよう!」
俺は、みんなに出発を促した。するとモンチが深刻な表情で声を上げた。
「あ、あのっ!?ちょ、朝食は取らないんですか・・・?」
「あ、朝ごはん、食べたいです・・・。」
俺は思わず噴出してしまった。他の者も噴出して笑い出した。
カイとルリだけは恥ずかしそうにモンチに文句を言っていた。
「何言ってるのよ!そんな状況じゃないでしょ!」
「そうだよ!急ぐ旅なんだし!木も倒しちゃったし!」
すると、ヘパイストが2人をなだめながら言った。
「まあまあ、誰も追いかけてきている様子はないですし、朝食を取るぐらい大丈夫でしょう。」
「腹が減っては、戦はできない。と言いますしね!」
全員、ヘパイストの話に賛同した。よって、朝ごはんを食べてから出発することに決め、酒場に入って行った。
そんな俺たちの様子を、少し離れた物陰から見ている者たちが居た。
「兄貴!兄貴っ!あの連中のことじゃないですかい!?スプリガンの旦那が言ってたのは!」
「そうみたいだな・・・。メシを食ったら出発するようだな・・・。スプリガンの旦那達に知らせよう!」
そう話しあっていた者たちは、急いで町の外へ走って行った。




