対応訓練2
16話
「次だけど、土属性の防御術はあるかい?」
俺はダグザに質問した。
「もちろんですじゃ!防御術は土属性の得意とするところですじゃ!」
そう言いながらダグザはアースウォールなる土の壁を作り出した。
「こんな感じですじゃ!もちろん消費霊力を多くすれば、枚数を多くしたり、土ではなく石の硬い壁にしたり、四方を囲うように作ることも可能ですじゃ!」
するとサラが言った。
「土属性は、ほとんど防御用じゃないかしら?攻撃性が一番強いのは火属性、次に風属性、そんで水属性よ!防御性はその逆になるからね!」
「まぁ、そうじゃなぁ・・・。土属性での攻撃は少ないわい・・・。ですが、防御だけでなくトラップでの攻撃は得意ですぞ!」
ダグザが補足説明をしてくれた。
「なるほど、良く解った。たなみにサラ、風属性の防御ってどんな感じだ?」
「う~ん・・・。自分の周りに速い気流の壁を作って相手を近づけなくするって感じかなぁ・・・。でも、土の壁と違って流動性のある壁だから、入って来れちゃうのよね!それに、流動させ続けるには霊力を使い続けなければならないし・・・。」
「素霊に流れ続けろって命令できないの?」
俺はサラに質問した。
「できない訳じゃないけど・・・。私の力では無理!」
「精霊クラスでそれが出来る存在は少ないと思う。かなり上位の精霊か神霊クラスでないと・・・。」
「なるほどね・・・。」
「・・・課長の命令は聞かないけど、社長の言うことは聞く平社員みたいなものかぁ・・・。どこも一緒だ・・・。」
俺は元の世界の会社の序列を考えた。
「ところで、フェンリルとヤタ、アピスも神通力を使えるんだろう?」
「どんな感じなんだい?」
俺は神通力が使えるはずの妖族にも聞いてみた。
「使えるが、精霊族ほどではない。俺の場合は土属性だが、せいぜい身体強化ぐらいだよ。爪や牙を強くしたり、大きくしたりといったね!」
フェンリルが答えてくれた。続けてヤタも答えた。
「私の場合は風属性と土属性です。翼と神通力で気流を起すのと、フェンリルと同じように身体強化ですね。」
「神通力ではアピスが一番です。なにしろ雷を起せますので。」
俺はめちゃくちゃ驚いたが顔には出さない様に努力した。
いつもボーとしている牛の妖が、そんな攻撃手段を持っているとは、全く思っていなかった。
「ほおぅ、光属性とは珍しいのぉ・・・。」
ダグザが手を顎に当てて関心していた。
「俺は妖獣というよりも聖獣ですから・・・。」
アピスがボソっと言った。
後で聞いた話であるが、聖獣は上位の精霊や神霊に仕えるために飼育された動物が自我と神通力に目覚めた種族とのことだ。
確かに、魔族の襲撃時にアピスはガーゴイルと互角に戦っていた。
俺はアピスに術を行う場合はダグザやサラと同じかと質問をした。
アピスは一つ、頷いただけであった。
「ちなみに、一つ確認したいんだけど、魔術と法術といった魔法は詠唱がある分、技の発動が神通力より断然遅く、間が長いで間違ってないよな!」
俺は神通力と魔法を使える者たち全員に確認をした。
サラが答え、他の者は頷き、ダグザが頷きながら答えた。
「そうよ!」
「間違いないですじゃ。」
俺は正直、安心した。
これなら戦うことは可能であると。神通力は元の世界の拳銃のような重火器と同じ考えで良いと・・・。
遠距離からの攻撃、広範囲に効果がある攻撃、近距離での戦闘と分ければ、元の世界での戦闘や戦術、戦略が通用すると理解した。
むしろ、元の世界の重火器の方が扱いが簡単な分、脅威度は高いと思う。
「・・・野太刀よりも銃の方が欲しかったなぁ・・・。」
「・・・いかん、いっかん!それは犯罪だ!」
俺は元の世界で拳銃を手にした自分を想像して、その想像を打ち消した。
「よしっ!ダグザ、俺に向かってストーンキャノンを撃ってくれ!」
俺はダグザから少し離れて距離をとり、向かい合って言った。
ダグザは驚いていたが、言われた通りに威力の弱いストーンキャノンを撃ってきた。
俺はそれを空蝉で躱してみせた。
今度はサラに風属性で俺を飛ばす様に注文した。
サラもちょっと躊躇したが、少し飛ばされるぐらいの風で俺を飛ばした。
少しといっても5メートルぐらい飛ばされた。しかしながら、初動動作と間が解ったので、風に身を任せて旨く着地した。
もう一度、風を起こすようにサラに要求した。
今度は体に風の圧力が掛かるのが解ったので、瞬間に体を翻して圧力を逃がした。よって、今度は飛ばされずに、その場で立っていた。
この一連の動作を見て、全員が驚きと感心の溜息をついていた。
「よし!大体わかった!付き合ってくれて、ありがとう!」
俺は満足し、みんなに礼を言った。
そのまま、その場で雑談をしていると、倒した木の方で怒鳴り声が聞こえた。
全員がその方向を見ると、倒れた木を見て怒鳴っている者の姿が見えた。
「誰だ!?木を倒したのは!?」
俺たちは全員、速攻で空き地から走り去った。




