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暁の〝星剣使い〟(あかつきの〝コスモダスター〟)  作者: よつふじあきたか
EPISODE4『再来する〝終末〟(さいらいする〝ワールドエンド〟』
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第248話 再来する終末 その一

海神浦(わだつみうら)にある舞殿と陸地を繋ぐ唯一の道である桟橋。

その桟橋の丁度真ん中付近に、墨汁を落としたような黒いシミが浮かんだ。


シミは生きているかのようにみるみるうちに大きくなって、一メートル程になると波立って波紋が生じた。


そしてゆっくりと中心から盛り上がっていき、そこから軍服姿の人物が姿を現した。


「ふふふ……」


舞殿で舞う一つの影を見て、男は不敵な笑みを漏らす。


「護衛も付けずに一人で舞うとは浅はかですね」


桟橋の両脇に三メートルくらいの等間隔に篝火台が設置されており、陸地側の台から妖しい紫色の炎が灯っていく。


そしてその紫色の炎(あかり)に照らされるようにして、空が次第に暗くなっていき、やがて暗闇に包まれた。


こちらの思惑(・・・・・・)通り(・・)夜の闇と勘違(・・・・・・)いしたか(・・・・)


男は一歩踏み出す。


「軍配は我々に上がったようですね」




ほぼ同時刻。


「空が……?! まだ正午にもなってないぞ?!」


暗雲というよりも、空自体が夜のように暗くなっていく。

それに同調するように(レイン)が苦しみだした。


「ぅ…………くっ……」


ふらふらしながら慧太郎から離れるように、二歩、三歩と後退る。


「凛───」


それだけではない。

飲み込まれてしまいそうな濃密な妖しい気配が、酸素の代わりと言わんばかりに漂ってきた。


「うっ……」


慧太郎は思わず手で口を塞ぐ。

それが意味を成すかは定かではないが。


そして脇に置いてあった日本刀を手に立ち上がる。しかし、


「ッ?!」


急激に身体から〝力〟が抜けていく感覚。

立ち上がることが出来ずに、そのまま地面に膝をついた。


『ククク……』


低い笑い声。

慧太郎はそれに覚えがある。


「〝応……龍〟……!」


『しつこく蘇りおったか。八澄の者め』


凛の周りに妖気が靄のように集まり、やがて彼女よりも一回り大きな龍の姿をとった。


『動けまい』


「な……に?」


『この空間は〝彼かのモノ〟達の空間。聞くところによると呪力や霊力を無限に奪い取るらしい』


〝彼のモノ〟というのが軍服の男を指すのは明白だろう。


「なん……だと?!」


『貴様らのように〝力〟を持つ者は多少は生き延びることが出来るが、〝力〟を持たぬ者は生命力を奪われる。それがどういう事かは貴様なら分かるであろう?』


慧太郎の頭に何人かの顔が浮かぶ。


前世では〝力〟を持っていたが今生(こんじょう)では〝力〟を持たない織村由梨(さくの)緋野士郎(せいくろう)


そして前世でも今生でも〝力〟を持たない辻川麻衣(さや)


「くっ───」


日本刀を杖代わりに三人の下へ向かおうする。しかし、


『行かせると思うか?』


〝応龍〟が回り込む。

凛の身体に纏わりついたままで。


『まあもっとも、とっくに息絶えているかもしれぬがな』


クククと勝ち誇った笑みを漏らす〝応龍〟。


「その心配はありませんよ」


聞こえた声に、慧太郎は耳を疑った。




「軍配は我々に上がったようですね」


軍服の男が舞っている人物の息の根を止めようと一歩踏み出す。


「果たしてそれはどうかな?」


背後からした声に戦慄する男。


「───護衛無しではなかったのか」


「いいや。護衛などおらんぞ」


「なに? ……まさか?!」


男は警戒しつつ肩越しに後ろの人物を見る。そしてそこには予想通りの赤髪の人物が。


「そう。私達は勘違いしたわけじゃあない。いや、はじめは確かに勘違いしていた」


男の額を冷や汗が滴る。


「お前は知らされていないのか?」


「知らされて……?」


私ら(・・)は少なくとも二回。お前ら(・・・)とコトを構えたことがあったということをな」


赤髪の人物───紫電と炎の刃を携えた水薙浅陽の姿(・・・・・・)をした人物(・・・・・)の眼光が男を貫いた。




つづく

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