11
奴隷商を後にした俺は、セレンに話しかける。
「それじゃあ、行こうか?」
セレンは、頷き、俺の後についてくる。
宿屋についた俺は、まず、セレン用の部屋を用意しようとするが、運悪く、1人部屋が空いていなかった。今空いてあるのは、2人部屋1つだけだった。セレンにも同じ部屋でいいか確認して、今の部屋を引き払い、追加で料金を払い、2人部屋を借りる。セレンを連れて、部屋に入る。
「よし、それじゃあまずは、傷を治そうか。」
「?」
セレンは、首を傾げる。
「それじゃあ、悪いけど、ローブを脱いで少し目を閉じて貰ってもいいかい?」
セレンは、びくつきながらローブを脱ぎ、目を閉じる。
ヴァイスを取り出し、セレンにむける。
「弾装:天使 神癒弾」
神癒弾が、セレンに被弾すると、目映い光が辺りを包む。
光がおさまると、無くなっていた腕が見事に復元し、喉の傷もすっかり治っていた。
「もう目を開けて、いいよ。」
恐る恐る、セレンは目を開ける。
「調子はどうかな?」
「?」
首を傾げるも、直ぐに違和感に気づいたのか、復元した腕をみて、驚く。
「あ゛」
声が出たことに、更に驚き、腕を目の前に持っていき、手を開けたり閉じたりする。少しして、泣き出す。俺は、背中をさすりながら、泣き止むのを待つ。しばらく泣いた後、落ち着いたのか腫れぼった目で見上げてくる。
「す…すみ゛ません。」
「大丈夫だよ。落ち着いたかい?」
セレンは、頷く。
「それじゃあ、自己紹介といこうか? 俺の名前は、滝神 守。君の名前は?」
鑑定弾で名前などは確認してあるが、コミュニケーションをとるため、名前を尋ねる。
「わ…わだしは…」
久しぶりに話すせいか、少したどたどしい。
「ゆっくりでいいよ。」
「は…はい。わ…私の名前は、セレンです。」
ゆっくり、そしてしっかりとした発音で名前を言う。
「セレンだね。」
セレンは頷く。
「それじゃあ、セレン。君の事を聞いてもいいかい?」
「わ…分かりました。」
セレンをベッドに座らせ、話を聞く。
セレンは、物心ついた時には、どこかの村で、父親と二人暮らしをしていたらしい。どうやら、母親がセイレーンであることは、父親から、聞いたらしい。
そして、14の時に、父親が他界。その後、村のために、自ら身を売ったと言う。その道中で、モンスターに襲われたそうだ。
「そっか、頑張ったね。」
そういい、セレンの横に移動して、頭をなでる。
すると、また、泣き出した。頭をなで続け、泣き止むのを待つ。すると、泣きつかれたのか、セレンはそのまま眠ってしまった。セレンを抱き抱え、ベッドに横にならせ、布団をかける。
俺は、セレンが起きたときに、食べれそうなものを買いに、出掛ける。
露店で、良さげなものを買い、部屋に戻ると、セレンは、起きていた。
「ま…マモル様。す…すみません、寝てしまって…」
「大丈夫だよ。そういえば、お腹減っていないかい?」
「だ…大丈夫です。」
そう言うが、キュルルルルルル。
可愛らしい音が、セレンのお腹からなる。
「~~~~~~~!!」
みるみるうちに、顔が真っ赤になる。
「遠慮しなくていいよ、ほら。」
袋から、りんごのようなものを取り出し、セレンに手渡す。
「す…すみません!!」
ちびちびと食べ出す。
俺もベッドに腰掛け、話の続きをする。
「買った俺が言うのも、あれだけどセレンは、今後どうしたい? セレンが希望するなら、もといた村まで連れていってもいいけど?」
食べるのを辞め、少し考える。
「わ…私は、マモル様とい…一緒にいたいです。」
「そっか。でも、俺は冒険者だから、モンスターと戦うことになるかもしれないけど、大丈夫かい?」
「が…頑張ります。」
「そっか、分かった。なら、これからも宜しくね、セレン。」
「はい!!」
その後、買ってきたものをセレンと一緒に食べ、明日の予定を話し合い、床についた。




