決戦の日
そして、その日が来た。待ち合わせ場所に向かうと、やはり、ファイとメルは既に来ていた。
「魔物の正体が、誰なのか分かったよ」
開口一番に、メルはそう言った。ファイも、緊張した面持ちで身を固くしている。
幸佳は、心の準備をしていたものの、やはり動揺した。
「だ、誰なんですか?」
「すぐに分かる。今から、そいつに会いに行くから」
メルの台詞を引き継ぐようにして、ファイは、呟いた。
「危険です。柴田さんは、ここで待っていた方が良いと思います」
幸佳は、首を横に振った。
「いや、私も一緒に行きます。ここまで来たんですから、私にも最後まで付き合わせて下さい。本当の事を確かめたいんです、この目で」
メルはやれやれ、とでも言いたげな表情で鳴いた。
「さんならそう言うと思ったよ。まあ、どうしても、と言うんなら同行を認めてあげてもいいよ。その代り、君の安全は保障できないけれど」
幸佳は頷いた。
「はい、自分の身は自分で守ります」
ファイは、心配そうに幸佳を見つめながら言った。
「もし、危ないと思ったら、すぐに逃げて下さいね」
こうして、魔法少女と使い魔の猫と少女は、決戦の地へと向かうことになった。
一緒に歩きながら、幸佳は尋ねた。
「どこに行くんですか?」
「学校だよ。私の魔法で探知したんだけど、今、奴は学校にいる」
「私達にとって、これは幸運だと思います。今日は、学校はお休みですから、誰もいないでしょうし」
「うん、確かに」
幸佳は再び頷いた。ただ、同時に怖くなった。いつも通っている学校が戦場になるかもしれないのだ。そう思うと、少し心が震えた。メルが、幸佳の様子を見て、彼女の心中を見透かしたように言った。
「恐くなったんなら、帰ってもいいよ」
幸佳は、ギクリとしながらも、胸を張った。
「大丈夫だよ、怖くなんか、ない」
ファイは、ますます心配そうに言った。
「あの、ホントに、無理、しないで下さいね・・・」
更に歩き続ける。
「ところで、柴田さん」
メルが呟いた。
「先日、商店街で真山先生と出会ったって言ってたね。憶えているかい?」
幸佳は、一瞬、何のことか分からなかったが、すぐに思い出した。そうだ。確かに、そんな事があった。家に帰る途中、商店街を通って、そこで真山と遭遇して、不思議に思った。
どこに行っていたのか?
そう、問い詰められて、自分はお茶を濁してその場から逃げ出して・・・そこまで思い出した時
ファイが尋ねた。
「真山先生と出会う前には、どこに行っていたんですか?」
「え?」
幸佳の思考は、停止した。何だ。何を言っている。何故、あの真山と同じことを訊く?
メルも尋ねた。
「あの日の翌日、柴田さんは体調を急に崩して、学校を休んだだろう。柴田さんは、自分の体調が悪化したのは真山先生に遭遇したからだと思っているようだが、何度も言っているように、それは断じて違う。原因は、その前にあったはずなんだ」
前。その前。幸佳は、次第に、身体が震えてくるのを感じていた。メルは淡々と話した。
「私の考えでは、真山先生と遭遇する前に、柴田さんが出会った人物が、一色小学校を含めた、この町を侵食している魔物の正体なんだよ」
突然、幸佳に突きつけられた真実は、彼女にとって余りにも衝撃的なものだった。
そんな。そんな、まさか。
嘘だ。だって。だって、
あの人は!




