表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブだったはずなのに~気づいたら、誰よりも大事にされていた~  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/7

【4話】クール系ばかりだと気づく日

その夜、寮の自室で日記をつけながら、私はこれまでの情報を整理することにした。


ノートに、ゲームでの設定を一人ずつ書き出していく。


ユリウス:俺様系、自信家、威厳あり、取り巻きあり

カイル:クール系、優等生、ヒロインの幼馴染

ゼノン:無口、ミステリアス

ジーク:腕っぷし強い、ぶっきらぼう、根は優しい

エドモン:無口、興味のない人とは話さない、レア

エイデン:クール、なんでもそつなくこなす、一途


書き終えて、自分が書いた文字をじっと見つめる。


(……あれ。なんか、クール系多いな)


カイル、ゼノン、エドモン、エイデン。四人もが「クール」「無口」「一途」というキーワードで括れてしまう。


攻略対象六人のうち、実に三分の二がそっち寄りだ。


(これ、当時プレイしてたとき気づかなかったな……攻略中は一人ずつ集中してたから、並べて見る機会がなかったのか)


新しい気づきにちょっとした驚きを覚えながら、ノートを閉じる。


とはいえ、今のこの世界では、その「クール」たちが見る影もないわけだけれど。


(まあ、考えても仕方ない。とりあえず、今の方針で進めよう)


方針はシンプルだった。


ユリウスとは関係を深めつつ、他の攻略対象たちのことも引き続き観察していく。


一気に全員に手を出すよりも、足場を一つずつ固めていくほうが確実だ。


その方針通り、翌日からは少しずつユリウスと言葉を交わす機会が増えていった。


中庭のベンチ、図書館の隅、廊下でのちょっとした挨拶。


気弱な性格は変わらないけれど、私と話すときだけは、心なしか肩の力が抜けているように見える。


ある日の昼休み、私はセレナとユリウスを誘って、三人で中庭で昼食を取ることにした。


「殿下とこうして食事するなんて、緊張しますね」


セレナが控えめに笑いながら言うと、ユリウスは少し戸惑った様子で目を逸らした。


「……そんなに緊張しなくていい。私のほうこそ、誰かと一緒に食べるのは……久しぶりだから」


「そうなんですか? 私もです。なんだか似てますね」


セレナの無邪気な一言に、ユリウスは小さく目を見開いた。


「……似てる、か。そう、なのかもしれない」


ぎこちないながらも、少しずつ会話が続いていく。


私はその様子を見ながら、内心でガッツポーズをしていた。


(いい感じ……! このまま三人で仲良くなれれば、ユリウスも少しずつ自信をつけてくれるかも)


昼食を終え、午後の授業もそれぞれ終わって、私は寮へ戻る前に少し校舎を回ってから帰ろうと、いつもより遠回りのルートを歩いていた。


渡り廊下を抜けたところで、ふと声が聞こえてくる。


「エドモン先輩!」


(……えどもん、せんぱい……?)


聞き慣れた名前に、思わず足を止めた。


声がした方向──発明クラブの部室の前に、数人の生徒が集まっている。


その中心にいる人物に目を向けて、私は思わず固まった。


長身で、髪は無造作にまとめられ、目元には眼鏡。


表情は柔らかく、声をかけられた生徒たちに気さくに笑いかけている。


手には何か工具らしきものを持ち、周りの生徒たちと楽しそうに話し込んでいる。


(……誰これ)


ゲームの中のエドモンは、教室にほとんど顔を出さない、誰にも興味を示さない、ミステリアスなレアキャラだった。


記憶の中の彼は、いつも一人で静かに何かを作っていて、声をかけても気のない反応しか返さない──そういう存在だったはずだ。


けれど目の前にいるのは、誰よりも人に囲まれ、誰よりも気さくに笑う青年だった。


(これが……エドモン先輩……?)


立ち尽くしたまま、私はしばらくその光景を見つめていた。


今までの誰よりも、ギャップが大きい気がする。


(これは……ちゃんと、近くで確かめないと)


新たな違和感を抱えたまま、私はその日の帰路、ずっとそのことを考え続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ