↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブだったはずなのに~気づいたら、誰よりも大事にされていた~  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/30

【27話】遠足、チーム決め

「今度の行事、遠足みたいやな」


放課後、部室でその話題が出た。


「2日間かけて、山を登る行事らしいな。途中、魔物や罠もあるとか」


「えっ、結構本格的な行事なんですね」


セレナが、少し驚いた様子で言った。


「チームは、四人一組で組むみたいです」


掲示板に貼られた案内を確認しながら、私は皆に説明する。


(これ……確か、ゲームのイベントにあった山だ)


ゲームの記憶を辿ると、メインイベントとして、この山を舞台にした行事があったことを思い出す。


罠の位置、魔物が出る場所、そして安全に進むための最短ルート──攻略情報として、当時しっかり頭に入れていた知識だった。


(これ、ちゃんと活用すれば、安全に進める自信がある)


「エイデンさんにも、一緒に組んでもらおうかな」


そう思って、私はエイデンに声をかけてみることにした。


「エイデンさん、今度の遠足、一緒のチームになりませんか?」


「あ……すみません、もう、別のチームに決まってしまっていて」


「えっ、もうですか?」


「はい、同じ授業を取っている方に頼まれて……」


申し訳なさそうに言うエイデンに、私は少し肩を落とした。


「そうなんですね……仕方ないですね」


「すみません」


(これは、計算が狂ったな……)


結局、いつもの四人──セレナ、ユリウス、ゼノン、そして私で、チームを組むことになった。


「俺らで組むなら、心配ないやろ」


ゼノンが、軽い調子でそう言った。


「いいですよ、私は、その四人で」


セレナが、すぐに頷いてくれた。


「私も、構わない」


ユリウスも、賛同の意を示した。


チームが決まったところで、私は密かに、内心で意気込んでいた。


(ゲームでやり込んだ山だし……これ、絶対最速クリアできるはず!)


これまでの暗躍が、ことごとく空回りしてきたことを思えば、これは、ちゃんとゲーム知識を活かせる、絶好の機会だった。


単純に、ゲーマーとしての血が、久しぶりに騒いでいる感覚だった。


「あの、皆さん。今回の遠足、目標、最速クリアにしませんか」


「最速……?」


「はい。記録、貼り出されるらしいので、上位目指したいなって」


「記録、貼り出されるんか。それは知らんかったわ」


ゼノンが、興味を持ったように頷いた。


「別に、無理して急ぐ必要は、ないと思うが……」


ユリウスは、少し戸惑った様子で言った。


「私も、ゆっくり進んでも、いいんじゃないかなって思います」


セレナも、特に競争心はないらしく、のんびりとした反応だった。


(あれ……皆、そこまで燃えてない……)


明らかな温度差を感じながらも、私は諦めずに、もう一度説得を試みた。


「で、でも、せっかくの機会ですし! 一番を目指すのも、楽しいと思いませんか?」


「まあ、モブリーヌがそんなに言うなら、ちょっとやってみるか」


ゼノンが、苦笑いしながら、付き合ってくれることになった。


「君がそう言うなら、付き合おう」


ユリウスも、渋々といった様子ながら、頷いてくれた。


「モブちゃんが楽しそうだから、私もやる」


セレナも、微笑みながら賛同してくれた。


(よし……! 皆、ノリ気じゃなかったけど、付き合ってくれることになった……!)


内心でガッツポーズをしながら、私は、改めて気合を入れ直した。


「あの、最速を目指すなら、持ち物は最低限にした方がいいと思います」


「最低限……?」


「はい。水と、簡単な補給食だけで十分だと思います」


「えっ、それだけ……?」


セレナが、少し驚いた様子で聞いてきた。


「はい。休憩はせず、半日で踏破するつもりなので、荷物は軽い方がいいです」


「半日……!? 2日間かけてって、説明にはあったような……」


「そこは、私たちが最速を目指すので、規定の時間より早く終わらせます」


「治療道具は、いらないんか?」


ゼノンが、心配そうに尋ねてきた。


「あ、それは、セレナにお任せしようと思っていて」


「私に……?」


「セレナの回復魔法があれば、道具に頼らなくても、十分対応できると思うので」


「な、なるほど」


セレナが、少し照れたように笑った。


「とにかく、水と補給食だけ持って、できるだけ身軽に進みましょう」


そう言いながら、私は紙を取り出し、すごい勢いでペンを走らせ始めた。


「ここで一時間以内に第一の分岐点を通過、ここで休憩なしに第二の難所を突破、ここで……」


時間ごとの行動を、細かく書き込んでいく手が止まらない。


紙の上には、あっという間に、緻密な工程表が完成していった。


「えっ……」


セレナが、その様子を見て、思わず後ずさった。


「モブちゃん……なんか、怖い」


「えっ?」


顔を上げると、皆が、少し引いたような表情でこちらを見ていた。


「いや、これは……熱意がすごいとは思うけど」


ユリウスも、少し戸惑った様子で呟いた。


「モブリーヌ、遠足になんか思い入れでもあるんか?」


ゼノンが、苦笑いしながら指摘した。


「あ……すみません、つい」


我に返って、私は少し気恥ずかしくなりながら、ペンを置いた。


(つい、ゲーム時代の感覚が出てしまった……)


「でも、これだけ細かく計画してくれてるなら、安心かもしれないですね」


セレナが、引きながらも、フォローするようにそう言った。


「とにかく、水と補給食だけ持って、できるだけ身軽に進みましょう」


そう改めて言い直しながら、私はノートに、シンプルな持ち物リストを書き出していった。


準備を進めるうちに、行事の日が、少しずつ近づいてきていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。