表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大阪擬人化BL  作者: 桐生桜
【難波×梅田】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/14

09「なんで、いまさら優しくすんねん」

 熱っぽい。喉も痛いし、関節もだるい。けど梅谷は「大丈夫」と言い張って、無理やり出勤して案の定ダウンした。夕方にはフラフラになって早退。家に帰る頃にはまともに歩くのもやっとだった。玄関でスーツを脱ぎ捨て、ベッドに倒れ込んだところで、意識は途切れる。その後、どうやってベッドに行ったのかまるで覚えてない。


 ……ピンポーン。


 突然のインターホンの音で目を覚ました。時計を見ると、夜の9時すぎ。寝ていたせいか、体温はさらに上がっていた。ふらふらと玄関に向かうと、ドアの向こうから聞き慣れた声がした。


「おーい、生きてるか? 梅谷?」


 ドアを開けると、コンビニ袋を提げた南が立っていた。


「……なんで、お前……」

「LINE全然返ってけーへんし、電話も出ぇへんし。なんか変やなって思って」


 梅谷は返す気力もなく、そのまま壁にもたれかかる。


「はぁ……」

「おいおい、大丈夫かって、めっちゃ熱あるやん。買ってきて正解やったわ」


 ずかずかと部屋に上がり込み、手際よく冷えピタを貼り、ポカリを用意し、レンジでお粥を温め始める南。


「……お前、なんや、看病慣れしてんな」

「まぁ、前にルームシェアしてた奴がよく体調崩しててな」


 ぽそっと言う南の声が、いつもより柔らかくて、妙に耳に残る。梅谷はいつの間にかベッドに戻され、毛布をかけられていた。


「……なんで、そんな優しくすんねん」

「は?」

「今さら……優しくされたら……混乱するやんけ」


 そう言った瞬間、梅谷の声が震えているのに気づいた。自分でも、止められなかった。

熱のせいか、心の奥の防波堤がゆるくなっている。南は驚いたように目を見開いたが、すぐにふっと笑った。


「アホやな。風邪ひいてるときぐらい、誰かに甘えてええねんで」

「……甘えてへん」

「めっちゃ甘えてる顔してるけどな」


 そう言いながら、冷たいタオルで頬を拭いてくれる。南の手が、ひんやりしていて、でもあたたかくて。その感触が、やたらと心に沁みた。


「南……お前、なにがしたいねん」

「さぁなぁ。でも……放っとかれへんねん、お前のこと」


 南はそれ以上、何も言わなかった。けれど、南の声はどこまでも優しくて、その優しさに甘えてしまいそうな自分が、悔しかった。


To be continued


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ