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大阪擬人化BL~難波×梅田~  作者: 桐生桜


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8/8

【難波×梅田】08「俺のこと好きやったん?」

 その日、梅谷は南に呼び出されて、なんばのカフェで合流した。特に理由もなければ、特別な用事もない。ただ、「ちょっと顔見たかってん」と笑う南に、なにも言えなくなる。


 それにしても、あの同窓会以来、こうして南と会うことが増えた。コーヒーを飲みながら、取り留めのない話をしたり。学生時代の同級生の話や、当時のバカ騒ぎの思い出とか。


 今日もそんな感じで昔話に花が咲く。


「あーそういや梅谷さ、覚えてる?」

「なにを?」

「お前、昔さ、誰かに襲われたって噂あったやん」

「……っ!」

「あれ、結局なんやったん?」


 不意打ちだった。梅谷は無意識に指をグッとカップに握り締めた。


「な……なんや、急に。そんな噂なんか知らんけど」

「いや、ふと思い出してん。知らん? あんとき、結構ざわついてたし」

「誰が言うたか知らんけど、ただのデマや」

「ほんまに? それやったらええねんけど。 俺、ちょっと気にしててん」


 南の声が、少しだけ低くなっていた。梅谷は目をそらしながら、なんでもないように言う。


「もう気にせんでええやん。なんもなかったんやから」


 南はカップを置いて、じっと梅谷の横顔を見つめる。その視線に気づいた梅谷が、わずかに肩をすくめたその時……。


「……ってかさ、俺のこと、好きやったってほんま?」

「ブッ!!」


 梅谷がコーヒーを噴きかけそうになった。


「はあ!?  なに言うてんねん!!」

「いや……それも昔ちょっと噂になってたで。『梅谷って南のこと好きらしい』って」


 梅谷の顔が一気に赤くなる。南と視線を合わせられない。言葉が詰まって、なんとかごまかそうとするけど……


「あ……あほか」

「ほーん……あほなんや?」

「……知らんわ、もう」


 南の笑い方は、いつもより少しだけ優しかった。でも、それが逆にしんどい。梅谷は黙ったまま、視線をカップの縁に落とした。


 胸の奥がずっとざわざわしている。『知らんわ』なんて吐き捨てたのは、恥ずかしさと、何かが壊れるのが怖かったから。


 向かいの南が、ふっと笑みを消す。けど、声はかけてこない。その無言すら優しくて、だからこそ逃げ出したくなった。席を立つ頃には、互いにいつも通りを装っていたけれど、

それぞれの足取りには、どこか気まずさと戸惑いが滲んでいた。ほんの数センチの距離が、いつになく遠い。


 そんな雰囲気で帰り道、ふたり並んで歩く。沈黙が多い夜。いつもみたいな軽口が今日はなぜか出てこない。


「……なあ梅谷、俺ってさ、からかいすぎなんかな」

「…………」

「お前、今日はほんまに怒ってそうやから」

「……怒ってへん。……でも」

「ん? でも?」

「お前って、ほんま……たまにズルい」


 それ以上は言わなかった。でも、顔を伏せたままの梅谷の耳が真っ赤なのを、南はちゃんと見ていた。


To be continued


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