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大阪擬人化BL  作者: 桐生桜
【難波×梅田】

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12/14

12「ちゃんとせな、壊れそうで」

 その夜の帰り道、ふたりの間に流れていたのは、言葉よりも重たい沈黙だった。あの「キスして、ええ?」の言葉が、梅谷の中で何度もリフレインする。


(なんで、あんなこと言うんねん。冗談ちゃうって……じゃあ、どういう意味やねん……)


 頭で考えても、答えは出ない。梅谷は自分でもわからない感情を必死に押し込めていた。


******


 数日後。梅谷の職場近くまで、南がふらっとやってきた。


「ちょお、仕事終わんの待っとったんやけど。飯でも行かへん?」

「……なんで来たん」

「なんでって、お前に会いたかったからやろ」


 軽く言う南の声に、梅谷の胸がざわつく。


「……お前な、そういうとこ、ほんまズルいで」

「なにがズルいねん」

「なんもなかったみたいな顔して、そうやって来るん……しんどいわ」


 南の笑顔がわずかに揺らぐ。


「なんもなかったみたいにしたん、お前やんか」

「……ちゃう。俺は、ただ……」

「ただ?」


 梅谷は言葉に詰まる。南のまっすぐな視線が、怖かった。


「お前の気持ちなんか、全然わからへん」

「それ、どういう意味?」

「……あんなん、一時の気の迷いやろ。ほっといたら、すぐ冷める」


 そう言って、梅谷は顔を背けた。南が、そっと口を開く。


「俺、そんな軽い気持ちで言ったんちゃうで」

「じゃあ、何なん? なんで今さら、近づいてくるん?」

「近づきたいからやろ。ちゃんと、お前と向き合いたいから」


梅谷の肩が小さく震えた。


「……そんな簡単に言うなや。こっちは、ずっと……どうしたらええかわからんままやったのに」


 南は、しばらく黙ってからぽつりとつぶやく。


「なあ、梅谷。俺ら、ちゃんとせな、壊れる気ぃすんねん……」


 梅谷は返事をしなかった。けど、南のその言葉は、確かに胸に残っていた。



******



 その夜、ひとり部屋に戻った梅谷は、スマホを見つめながらつぶやいた。


「……壊れるんやなくて、壊すんは俺の方かもしれへんな」


 想いは募るのに、素直になれない。だけどもう、そろそろ限界が近いことも、どこかで分かっていた。


To be continued


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