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最後の8月

ばっと身を起こす。そこは見慣れた自室で、火山の噴火で燃える前の悪の組織の街だ。窓から外を見れば、これまた見慣れた風景が広がっている。


何度も体験しているとしても少し不安で、部屋にあるデジタル時計に目をやった。そのデジタル時計は多機能で、カレンダーとしての機能や今日の温度や湿度も表示されている。時計は今が、8月1日の午前8時であることを示していた。


また繰り返した。最初のうちは戸惑っていたことも、何度も繰り返せば慣れてくる。俺は早々に、また8月が初めから繰り返されたと受け入れて、気合いを入れるために頬を叩いた。


今回は、ただ繰り返すためだけのループじゃない。俺は隊長に蜂蜜コロンを渡さなきゃいけなくて、みんなを助けなきゃいけない。それを実現するためにループしたのだから、行動しなければいけない。


ニッと笑顔を浮かべる。自分で決めたことだ。思い立ったら即決行。悩んでいる暇など少しもない。期間はたったの1ヶ月しかないのだ。行動あるのみ。


俺は適当に身なりを整えると、部屋を飛び出した。



今まで隊長といろいろなことを試してきた。それらは全て失敗に終わってしまったけれど、それで立ち止まる訳にはいかないのだ。大好きな隊長のために。大切なみんなのために。


それに、今俺には1つだけ、作戦があった。それはとても突拍子もなくて、誰もがあり得ないと切り捨てるような、馬鹿げたアホらしい作戦だ。だけど、それは何度も繰り返したからこそ立てられた作戦で、なによりそんな作戦、俺達(あくのそしき)らしいだろう?




8月1日

ある任務に着いていった。内容は普通の街にゴーストを溢れさせるというもの。ちなみにこの街、前回街をお菓子化されたのと同じ街だ。毎度毎度、世話になります。


ゴーストってのは普段見えないわりに結構な数いるらしい。任務のメンバーが装置を起動させた途端に、街には街の生者の倍はいるだろうゴーストで溢れかえった。いくら死者の方が多いとは言え、現世に留まる奴多すぎだろ。成仏しろ成仏。


俺は清めのお塩をばらまきながら、ある人を探して街の中を駆け回る。俺初めて知ったんだけど、清めのお塩って悪霊にしか効かないのな。仕方ないから成仏出来ないゴーストとタッグを組んで、簡易ゴーストバスターした。めっちゃ楽しかった。ゴーストのノリすっげー軽くて、ポルターガイスト使ってライダーキックやっちゃったわ。俺悪の組織なのに。


そんなこんなでゴーストと、ついでに変なテンションになってた生者とで大騒ぎしてたら(この街の人間適応力凄まじい。なんで一緒になって騒いでんだ?)、目当ての奴を見つけた。俺はみんなと別れて、そいつに飛び付く。大の男が飛び付いたってのに、そいつはふらつくことなく俺を受け止めた。やっぱり俺、ひょろすぎ?


「いきなり飛び付くな!」


「めんごめんごー」


怒鳴られたので軽く謝る。ここまでがいつもの流れ。今回も真っ黒衣装で1人でいた彼、クロ君は溜め息混じりに俺の額をぺしりと叩いた。いったいなー。


「それで?悪の組織の構成員が何の用だ?」


「そんなの、いつものことながら単独行動してる正義のヒーローにちょっかいかけに来た、て言いたいところだけど、ちょっとクロ君にお願いがあってさ」


両手を組んでそう言えば、クロ君がわかりやすく顔をしかめる。表情が全てを物語るってこういうことを言うんだろうな。面倒に巻き込まれるとでも言いたげな顔を、クロ君がする。まぁ大正解なんだけども。


「お願い。すっげー大事なことなんだ。聞いてくれるなら、俺ができることに限られちゃうけど、なんでもする。だからお願い」


真剣に頼んだ。俺がお願いすることは、確かにクロ君にとってとんでもなく面倒なことだ。だから、軽くなんてお願い出来ない。自分の全てを差し出してでも、真剣に頼み込まなきゃいけないことだ。


そんな俺の姿を見て、クロ君が1つ溜め息を吐く。それから渋々といった様子で、でも俺の目をまっすぐ見て、凛とした姿で俺のお願いを聞いてくれた。


「お願いってのはなんだ?」


「ヒーローのエネルギーの供給法を詳しく教えて」




8月5日

やっと拘束を解かれて寮に帰ってくれば、部屋のエアコンが壊れていた。踏んだり蹴ったりだな、おい。しばらくの間、正義のヒーローに拉致されてヒーローの本拠地で雑用係をやらされていたから、この時期に壊れるってことをすっかり忘れていた。


ヒーローの本拠地は快適だったなぁ、と思いながらエアコンが効いてる食堂に向かう。ヒーローってのは、さすが皆が憧れる存在と言うべきか、施設から設備からいろんなものが優遇されていた。


クロ君にヒーローのエネルギー供給法を聞いてから、俺はそれを叶える条件として、ヒーロー側に人質として拉致された。当然クロ君としてはタダで敵である俺に、自分達のエネルギー源を詳しくなんて教えられないし、教えたらクロ君のヒーローとしての立場が危うい。だから、クロ君の情報漏洩がうやむやになるような、そんな手柄がクロ君には必要だった。


といっても、いくら悪の組織の人間を捕まえて人質にすることでの被害食い止めなどの手柄があったとしても、危ない橋を渡ることに違いはない。少しだけ不思議に思って、お願いした身ながらなんでお願いを聞いてくれたのかと聞けば、苦笑と共に答えが返ってきた。


「俺は正義のヒーローだからな。だから、たとえ悪の組織の人間だろうと、困ってる奴を助けるのは当然のことだ」


カッコいい人だな。敵でありながら、素直に賛辞の言葉が溢れた。


それから拉致られた俺は数日間、ヒーローの本拠地で雑用係としてコキ使われ(人質なのに)、ちょうど昨日の夜、クロ君の手によって開放された。しっかりと、ヒーローのエネルギー供給法を教えてもらったうえで。


何度も言うけど、カッコいい人だわ、クロ君。


俺はしみじみとクロ君の勇姿を思い出しながら、涼しい食堂で朝ごはんを食べた。



それから人質にとられたことを寮母さんに叱られ半泣きになりながら(般若どころじゃないものが見えた恐かった)、外に出る。向かう先はきぃ君のところだ。


勝手知ったる他人の研究所とばかりに、きぃ君の研究所に入る。途端に、きぃ君から声がかかった。今日はそんなに忙しい用はないみたいだ。よーす、と声を返せば苦笑を浮かべてきぃ君が出迎える。


「今日はどうしたの?」


きぃ君に案内されて研究所の中のきぃ君の私室に行く。互いに腰を下ろしたところで、きぃ君が突然の俺の訪問の理由を聞いてきたので、俺はきぃ君に資料を手渡した。それは、ヒーロー側のエネルギー供給の方法について記された資料だ。昨日帰ってきてから、俺が寝ずに作った。


「…これ」


きぃ君が難しい顔で資料を見て、俺を見た。俺はきぃ君が聞きたいだろうことには答えず、ただ用件だけを伝える。


「それを俺達でも実用化できるようにしてほしい」


きぃ君の目が丸く見開かれる。当然か。いきなりある程度出来上がったエネルギーの供給法を渡されて、さらに火山エネルギーで充分に賄われてる組織に対して、エネルギーの供給法を変えろとでもいうかのようなお願い。驚くのは当然だ。


でもきぃ君には、それをやってもらわなくちゃいけない。だから俺はきぃ君に頷いて貰えるように口を開く。でもそれより先に、きぃ君が声を出した。


「わかった」


「…え」


まさかの了承の言葉に、今度は俺が驚く。ポカンと口を開けたままきぃ君を見れば、仕方ないなぁとでもいうかのような笑みを浮かべていた。


「トモがそんな真面目な様子でお願いするってことは、よっぽどのことなんだよね。だからまぁ、詳しいことは聞かないよ。でも、僕の力全てをもって、協力ぐらいはする」


最近なんかいろいろしてるみたいだしね?ときぃ君チラリとこちらを見て、顔に笑みを浮かべたまま、わざとらしく溜め息を吐く。なんだか楽しそうですね?きぃ君のその姿に小さく吹き出しながら、きぃ君の言葉に思わず、お礼を告げる言葉が震えた。




時間はどんどん過ぎていく。少しの時間も無駄には出来ないと、俺はできることをこなしていった。




8月9日

はーちゃんとデートに行った。また蜂蜜コロンを買って、今度は貴女の幸せを願いますってちゃんと言葉で伝えて渡した。はーちゃんは笑顔で受け取ってくれた。


8月12日

喫茶店で新しい装置について考えるきぃ君に突撃した。エネルギー供給法についての進展を聞きながら、新しい装置。つまり数日後に任務で使う、街をお菓子化する装置について、少しだけ細工をお願いした。それからまた、夕飯を一緒に食べる約束をした。


8月18日

はーちゃんときぃ君と花火大会に行った。3人でお酒飲んで酔っぱらいながら、屋台を巡った。それからたくさん、写真を撮った。来れなかった隊長に見せてやろうって、3人で笑った。


8月21日

任務でいつもの街に行って、街をお菓子化した。溜め息を吐くクロ君を連れ回してそこらじゅう生クリームだらけにしながら、隊長のことを熱く語ってやった。


8月25日

何も聞かずに、降ってきた餅をバカップルに全力で投げつけた。俺は悪くない。


8月28日

他の住人に混ざって避難した。寮の掃除をしてる奴らを笑ってたら、寮母さんに存在がバレて結局大掃除に巻き込まれた。でも掃除の後に貰ったクッキーは、美味しく食べた。




そして8月31日、今日。これまでの成果を発揮する日が来た。今日が来るまでに、いろんな人を頼ってきた。情けないとか全部承知のうえで、でも俺に悩んでる暇なんてなかったから。俺1人頑張ったところで、隊長は変えられないし、みんなを助けられない。だから、前に寮母さんに言われた通り、みんなを頼った。頼ってここまで来た。今日だってみんなを頼って、みんなには配置についてもらってる。


望む結果まで、あと少し。


俺は今、街の端の小高い場所にいる。今まで何度も来ては燃えていくみんなを、隊長を見た場所に。まだ火山は噴火してなくて、隊長も来ていない。周りには誰もいなくて、静かに風の音だけが響いていた。


空を見上げれば、今日は快晴。雲1つなく、離れた場所に見える火山はまだ、悠々と鎮座している。いつもと変わらない8月31日だ。でも今までとは違う8月31日だ。


鼻唄が聴こえてきた。視線を向ければ、隊長がこちらに向かってきていた。俺は満面の笑みで、隊長を出迎えた。


「隊長」


隊長はいつものように俺の声を無視して、葉っぱや木の枝を集め出す。俺は隊長に近づいて、葉っぱや木の枝を集める隊長の手を取った。隊長の体がピクリと揺れて、そして無表情になって俺を見る。でも俺の笑顔を見てか、不審そうに俺を見た。


「隊長」


「トモ…?」


久しぶりに隊長に名前を呼んでもらえた。隊長が俺を認識してくれたことが嬉しくて、笑みが深くなる。でも隊長はそんな俺が気味悪いと思うのか、俺の手を払おうとする。当然か。俺と隊長だけは知っている。このあと何が起こるのか。でも俺は、それから先を知っている。隊長が知らない回数繰り返して、今回8月を繰り返して、これから何が起きるのか、わかっている。


だから俺は、意地でも隊長の手を離さなかった。隊長が勝手に燃えないように、隊長にそれがよく見えるように、隊長の手を引いた。


「トモ、トモやだ……離してトモ、トモ!離して!やだ見たくない!!」


「大丈夫です。隊長、安心してください。俺、頑張ったんですよ?」


ニッと俺らしい笑みを浮かべて、つらそうに、悲しそうに震えて叫ぶ隊長を見る。そしてゆっくりと、それを指差した。


爆弾が爆発したかのような音が辺りに轟く。


へなへなと力が抜ける隊長を支えて、俺は隊長に見てくださいと囁いた。ずっと指差すそれを見てください、とお願いする。隊長の目がふらふらと動いてそれを見た。隊長が目を見開く。


俺が指差すその先には、火山があった。はずだった。そこにあるのは、頂上から秋の稲穂の色をした液体を流す、火山だったもの。それは、お菓子で出来た山だった。


「…え?なに、あれ…」


ポカンと呆けた様子で、隊長が火山だったものを見つめる。当然といえば当然なのだけど、事態が飲み込めないのだろう。隊長はポツリと疑問を溢してから、何も言えずにただ食い入るように溶岩の代わりに『蜂蜜』を垂れ流す、お菓子の火山を見詰めていた。


そんな隊長の姿に思わず吹き出した。なんとか笑いを押さえながら(それでも言葉の端々で笑いが零れるのだけど)、頭に疑問符を浮かべる隊長に、今の事態を説明してあげる。


「あれは、お菓子化された火山ですよ」


「お菓子化された?」


おうむ返しで聞いてくる隊長に、そうですと肯定を返す。隊長から視線をお菓子と化した火山に移して、麓で装置を弄ってるだろうきぃ君に思いを馳せる。


「隊長原案で作ったじゃないですか、街をお菓子にしちゃう装置。あれをきぃ君に頼んで、火山もお菓子にできるように細工して貰ったんです」


細工をお願いした時のきぃ君の顔、凄かったなぁ。そのときのことを思い出して、また笑いが零れる。前に火山の代わりになるエネルギー源を提案してたとは言え、火山というエネルギー源を実際に潰す案には、やっぱり凄く驚いたらしい。


「で、でも火山をお菓子にするなんて、おれたちのエネルギー源を潰すってことで、そんなの誰も認めてくれな」


「代わりになるものを用意したんで大丈夫ですよ」


代わり?と訝しげに隊長が聞き返す。その姿ににんまりと口角が上がる。


「糖分をエネルギー源とするんですよ。詳しいことはきぃ君とか科学者に聞いてください。ちなみにヒーローが先に取り入れてる方法なんで、供給はばっちり。反対する奴らは、寮母さんが説き伏せました」


物理で、とは言わないでおいた。俺はまだ生きていたいのだ。ただこれだけは言っておく。たぶん悪の組織の最強は、寮母さんだ。


「あ、ちなみに一応大丈夫だとは思うんですけど、はーちゃんに頼んでみんなには避難してもらってます。今日火山をお菓子化するってことは、みんな知ってたんで」


聞かれるかなと思って先に言っておく。街のみんなは今頃、蜂蜜が街を襲ってることに大騒ぎなんじゃないかな。避難誘導してるだろうはーちゃんの苦労を想像して、頑張れ!とだけ応援しておく。はーちゃん、あとでたくさん労うからね!


不意に嗚咽が耳に届いた。見れば隊長が小さく蹲って震えている。俺はそっと隊長の背中を撫でて、それから自分の目を片手で覆った。


あぁ、今ここにいるのは、隊長だ。壊れたあとの、全てを諦めてただ燃えることを望む隊長じゃなくて。みんなのことが大好きでただみんなを助けたくて、必死に頑張り続けた、俺の手を引いてくれた隊長だ。


ポタリと暖かいものが手のひらに落ちる。俺は何度もポタポタと目から零れ落ちる涙を拭って、隊長、と声をかける。隊長も泣いていたんだろう。顔をグシャグシャにさせて、でも俺を見てくれる。


俺はニッと、泣きながら笑って、隊長に手を伸ばした。


「隊長。みんなのところに、戻りましょ」


隊長は笑って、俺の手を取ってくれた。






9月10日。


ここ最近急激に冷えてきて、今まで布団なしでも眠れたのに近頃じゃそれだと朝寒くて起きるようになった。冷えた体を擦りながら外を見れば、見た目は夏と変わらない青空が広がっている。少し離れた場所には、お菓子で出来た火山が悠々と鎮座していた。


近場に目を向けてみれば、いつもと変わらないメンツが、今日も今日とて騒いでいる。まだ7時なんだけどなぁ。寝てない技術者はともかく、新人君達はいつから練習してんだ?不思議に思いながら窓から離れる。


時間はあるからとゆっくり身なりを整える。それから俺は朝ごはんを食べに食堂に向かう。


いつもより時間が早いせいか、食堂は少し混んでいた。俺はいつものように朝食のメニューを寮母さんに伝えると、これまたいつものようにキッチン近くの席に座った。


少しして、寮母さんが妙に笑顔を浮かべながら俺の朝ごはんを持ってきた。何かあるのかと警戒しながら朝ごはんを受けとれば、寮母さんが話しかけてくる。


「今日は随分と早起きじゃないのさ」


「たまたま起きたんすよ。最近朝寒いんで」


なんだからかわれてるだけか。寮母さんの笑顔の理由を理解して警戒を解く。特に誤魔化すことなく事実をそのまま答えたのに、寮母さんはまだニヤニヤと笑っている。


「そうなのかい?あたしはてっきり、久しぶりに隊長と任務だから張り切ってんのかと…」


「は?」


あれ、なんか聞き捨てならないこと聞いた。驚いて寮母さんの顔をガン見する。そんな俺の態度に寮母さんも少し面食らったようで、え、なんだい…?と呟く。俺は恐る恐る寮母さんに問いかけた。


「今日、俺、隊長と任務…なんすか…?」


「…あれ、伝えてなかったかい?」


パンっと脳内が爆発した。


「き、聞いてないっすよ!」


慌てて朝ごはんを口の中に詰め込む。寮母さんは、あれま、と軽い様子で悪かったねと言いながら任務の詳細を教えてくれる。俺はそれをご飯を食べながら脳みそに叩き込むと、最後の一口を口に詰め込んで寮を飛び出した。


通りで大騒ぎをする奴らの間を縫って、集合場所まで走る。途中できぃ君とはーちゃんとすれ違った。といっても、向こうも急いでたようで、すれ違い様に朝の挨拶をするしか出来なかったんだけど。


どうにか集合時間ギリギリに集合場所にたどり着く。集合場所には、某駆逐漫画の人類最強の格好をした隊長が立っていた。って、なんつう格好してんだこの人?!


何からツッコめば良いのかわからなくて言葉に詰まる。そんな俺の様子を見て隊長が笑う。それに気が抜けて、隊長と一緒に俺も笑った。


「どうしたんすかその格好」


「いや、今日は街をジャングル化させようと思って。移動に立体機動そう」


「わー!それ以上はダメっす!」


慌てて隊長の発言を遮れば、隊長はおおらかに笑う。


「いーのいーの。おれたちは、自由で自分勝手な悪の組織なんだから。気にしない気にしない」


えー、と俺が声を上げれば、楽しければ良いんだよ、と言って隊長が俺の手を取る。思わず視線がそこに固まった。それに気付いたんだろう隊長が、クスリと優しく笑う声がする。隊長の顔を見れば、いつか見た子供みたいな無邪気な笑顔がそこに浮かんでいた。


「行こうか」


隊長が告げる。それに俺は、はいっ、と返事を返した。




隊長率いるゆるゆるな悪の組織は今日も、自由に、好き勝手に、活動を繰り広げている。


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