表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/10

エピローグ

 七月。梅雨が明けていた。

 チャイムが鳴り、授業が終わった。

 夏目が振り返る。


「内海、放課後どうする」

「……特に何も」

「じゃあ一緒に帰ろうぜ」


 夏目は笑った。遥斗は頷いた。

 廊下で田中がわざと肩をぶつけてきた。

 パンを奪われ、一口齧られる。


「ん、思ったより普通だな」


 大河内が笑いながら会話に加わる。

 日向が前から歩いてきて、眉をひそめた。


「いい加減にしなよ。内海くんが食べる分なくなっちゃうじゃん」


 遥斗は慌てて首を振った。


「い、いいんだ……」


 階段で日向に声をかけられる。


「次の席替え、どこがいい?」


 遥斗は小さく答えた。


「……どこでも」


 すべてが普通だった。

 五〇点より、ずっと上だった。


 夏目と並んで帰る道。

 夕方の住宅街。蝉が鳴いている。

 道端の金属板で指を切った。

 パックリと皮膚が裂けたが、血は出なかった。


「大丈夫?」


 夏目が心配そうに覗き込む。

 遥斗は傷口をじっと見た。

 痛みは頭の中に浮かぶだけの記号だった。

 喉の奥に、薄く透けた『0000』の数字が浮かんでいる。


(まあ、いっか)


 遥斗は夏目のどうでもいい話に、ゆっくり頷いた。

 そして、満足したように微笑んで歩き続けた。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ