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ログ#11「会合」

 早朝に1人の男が、とある民家を訪れる。

男の名はサギソーウ。

扉のノックは乱暴で性格を、よく表していた。


「トドロキ!

トドロキィ!!

起きてんだろ、出てこい!!

出て来いやぁ!!」


 尚も強く叩き、欠伸をしながら出てきたのは長身に巨大の大男。


「スッと出ろやボケェ!」


 スパーンっと叩き、矢継ぎ早に話し始める。


「トドロキ、テメェ!

このダボォ!

いいかよく聞け、時間が惜しいんだ。

テメェのせいで遅れてんだよ予定がよぉ〜

昨日、他所者(よそもん)が村に来たぁ。

でだぁ〜スミリのむすめがいんだろ?

ソイツの男らしいが怪しいだろ?

怪しいよな!

だから追い出す事にしたぁ!

だからお前が倒せぇ!!

いいな、テメェに拒否権はぇ!

いいか全力で叩き潰せぇ!

村のためなんだ。

それともイヤかぁ!

だったらテメェの家族がどうなるか分かってんなぁ!!

そういうこったぁ!!

じゃあ、会合会でそう話付けっから、お前は決闘の準備して俺の家に来い!!

いいな!

じゃあな!」


 途中から去りながら喋っていたがトドロキは何も言えず一方的に決められた状況と脅しに理解して唾を飲んだ。


◇◇◇

 決闘戦且つ会議が行われる会合地。

真ん中に土を平に盛り硬め、それを囲うように村の幹部が座る。

村長を筆頭に氏族長達、その後ろには部下や村人達が観戦する。


 今日は緊急で臨時集会が開かれた。

議題はスミリが連れてきた正体不明の男ヴァイスの所業について、だった。

後ろ手に拘束されスミリと伴に台に乗せられて2人が連れて来られる。

タイヤのある台を運ぶ男達は数人、顔を殴られた後があった。


「何があった、奴にやられたのか!

野蛮な!!」


「いや、その………。」


「どうした。」


「スミリがいつの間にか牢屋に居まして………男の方は大人しいんですが。」


「スミリが大暴れに大暴れしまして。

止めるのに手こずりました。」


「そっ、そうか。

……………では集会を始める。」


「議題は俺から!!」


 偉そうに座り、そして話を切り出したのはサギソーウだった。

部下が合の手やヨイショを入れる。


「俺の方で捕まえといた。

今日はこの男ヴァイスの処置についてだ!!」


「なにィ!?

と言う事は何もしていない男を痛め付けて捉え捕まえたというのか!!??」


 ヴァイスは捕まる際に受けた暴行を再生させずにいた。


「サギの独断は問題たが私もソイツを認められんな」


「お前の肩を持つ訳では無いがスミリは隣村との結婚で合併するって話があったろ。

だというのに何の馬の骨かも知れない男を連れてくるなど!!」


「それはスミリ本人が乗り気では無かっただろう。

それに隣村との合併は村長のワシが反対しているというのに……。」


「まぁまぁ村長!

勝手をしたのは悪かった。

けどこの村にこの男が相応しいかが問題だろ?」


「何を言い出す?」


「今までも外から来た奴を受け入れた例は少ないがある。

でだ、コイツはどうかな?

トドロキィィィーーーー!!!」


 フル装備の巨漢のトドロキが人垣を分けて歩いてくる。

フルフェイスに金棒を持ち防具の金具同士が打つかりチャカチャカと音を立てる。


「青鬼のトドロキかぁ!?」


 地下牢でのヴァイスの言葉で今まで自信満々に誇って黙っていたスミリが口を溢す。


「や、やめとけヴァイス!

あの男は集落でも一・二を争う実力者だ!!

やっぱ逃げないか?」


「圧倒的な実力で薙ぎ倒す、それだけだっつたろ?」


「ほう、大きく出るじゃないか青二才がぁ」


 もう勝ち誇った気のサギソーウにヴァイスは思う。

怒るでもなく〝青二才か……だいぶ年上なんだが……〟

横ではサギソーウの挑発にスミリが反応して悪口を巻くし立てる。


「なんて口の悪い女なんだ!!

嫁の貰い手がいないぞ!!」


「ふん、安心しろ!

もうヴァイスがいる!」


「なんて趣味の悪い男だぁ!!」


(結婚は決定事項なのか………。)


 現実逃避しているとヴァイスは台から転がされ集会の真ん中の決闘場に落とされる。

拘束は解かれて魔法なのを感心しているとサギソーウが告げる。


「この決闘で余所者が負ければ、死んでもだがスミリは隣村との合併の結婚を強制とする。」


「何を勝手に!!」


 村長が文句を言おうとするがスミリが止める。


「良いだろうサギソーウ!

だが逆にヴァイスが勝ったらそれは無しだ!

私の結婚に口出しもするな!!

ヴァイスはこの村の住人になる!!

いいな!!」


「へっ!

出来たらな!

あの華奢な身体で何が出来るぅぅう?

全身筋肉!

見上げるのも疲れる巨躯!

大岩も持ち上げ粉砕するトドロキに勝てると思ってんのくぁぁあ!?」


 サギソーウがバカにして部下達が盛り上げる、上げては奇声に近い合の手やヨイショをする。


「なにィを!!」


 スミリや自警団のメンバーがサギソーウ一味と一触即発になる寸前、ヴァイスがスミリだけに聞こえるように言う。


「他人に結婚云々、決められるのは腹にくるよな。

……ちょと本気出すか」


「う、うん。

あぁ、ああ!

かましてやれ!!

ヴァイスーーーー!!!」


 スミリの声がゴングに合図になって決闘が開始された。


◆◆◆

 決闘場でヴァイスとトドロキが対峙する。

トドロキが生唾を呑み下しフルフェイスの内側では冷や汗が流れる。


(ただ単に組み敷いても意味がない。

圧倒的な力の差、歴然たる実力、格の違いをデモンストレーションとして分かり易く見せなければならない。

巻き込まれた男、トドロキには悪いが勝たせて貰うぞ。

……反則気味ではあるが…やるか)


 ヴァイスが1度、瞬きすると視界が切替わる。

トドロキ

身長/198cm

体重/110kg

利き手/右

使用武器/金棒

と表示されてトドロキの細かな動きにズームされる。

標準ロックオンサークルがターゲッティングを開始。

地形・立地を360°回転されて元の重力設定。

風向き、風速、温度・湿度、酸素……そこでヴァイスがNSに伝える。


(項目に魔力濃度と敵の魔力反応、魔力使用の検知を追加)


『はい。

少々お待ちを。』


 振り上げようとする予兆から微弱に動いた筋肉と強張り、目線、体の重心の位置、敵との距離とその位置取り、足の向き、空気の振動、呼吸音、心臓鼓動の変化、匂いとストレス、体温の上昇から未来予知に近い予測で推定するとトドロキの次の行動を何パターンも推測し予見する。


 足音をさせず歩き出したヴァイスに会場は、どよめく。

そして次の瞬間にはヴァイスが消えてトドロキの前に現れると金棒ごと、貫通させて腹部を防具もろとも破壊する。

衝撃を起こさず内部には大きなダメージは少なくトドロキは後ろに吹き飛ばさずその場で何が起こったか分からず短く声を吐く。


 ヴァイスの攻撃で起こる現象や敵への力の入れた際の結果が物理法則の図形や計算式で表示されており、ヴァイスはその通りに出来たと小さく溜め息する。


 ひらりと軽やかに誰にでも見て取れるように空宙で舞い回転して着地する。

そして後ろを取ったヴァイスはトドロキにとどめを刺す。

首にトンっとする…………が…。


「かっ!?」


「!」


(力加減ミスったか)


 パタリっと倒れたトドロキと数秒遅れで起こる歓声。

それに素で驚くヴァイスと泣くスミリ。

何もせず、出来ずに負けた勝敗にハズレたアゴが治らないサギソーウや氏族長ほか、村長達を余所に村人達は大いに盛り上がった。


「有言実行だなヴァイス!

チュッ♡」


 駆け寄ったスミリがヴァイスの頬にキスしようとしてスミリはヴァイスが避けるのを知っていてフェイントを入れてクチにキスをした。

そこからは押し寄せた自警団達に優勝したスポーツ選手のように胴上げされてヴァイスは心底、止めて欲しそうな顔をしていたとか、していなかったとか………。


「異議や反論がある者は居るか!?

いないな。

ではヴァイス君の歓迎会に移ろうか!!」


 族長の声は、もみくちゃに聞こえず皆が声を張り上げて神輿のようにヴァイスを連れていく。

族長も一緒になって雄叫びを上げている様にヴァイスは〝ここは陽キャの隠れ里だ〟と密かに思った。



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