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妄想具現化バトルロワイヤル〜異世界転生ものが溢れるこの時代に、俺はあえて“転生するまで”を書く〜  作者: qp46


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7話:不死身願望

この物語は、異世界に転生するまでの話です。


子供の頃に思い描いた願望。

その中でも「死なない」という願いは、とても分かりやすく、そして強いものかもしれません。


今回は「不死身願望」。


死なないことは、本当に救いなのか。

その答えが、少しだけ見える回になります。

『第七試合を開始します』


 二人が中央へ出る。


 一人は痩せた中年男。

 顔色が悪い。

 どこか怯えた目。

 名は田所誠、四十五歳。


「……死にたくない」


 小さく呟く。


 もう一人はがっしりした男。

 無駄のない立ち方。

 名は鷹山蓮、二十八歳。


「一発で終わりだ」


 淡々と言う。


『第七試合、開始』


 鷹山が構える。


『能力名:一撃必殺。対象を一撃で戦闘不能にします』


 田所が一歩下がる。


『能力名:不死身。いかなるダメージでも死亡しません』


「……はは」


 田所が笑う。


「死なないなら……勝てるじゃないか……」


 鷹山が踏み込む。


 ――ドン。


 拳が腹にめり込む。


「がっ……!」


 田所の身体がくの字に折れる。

 そのまま倒れる。


 動かない。


 数秒。


「……」


 田所が息を吐く。


「……生きてる」


 ゆっくり起き上がる。


「ほらな……!」


「死なねえ!」


 笑う。


 鷹山は何も言わない。


 もう一度踏み込む。


 ――ドン。


 顔面。


 骨が鳴る音。


「ぐあっ!!」


 吹き飛ぶ。

 転がる。


 動かない。


 数秒。


「……」


 田所が震えながら起きる。


「……痛ぇ……」


 口から血を垂らす。


「でも……死んでねえ……!」


 鷹山が近づく。


 迷いなく。


 ――ドン。


 肩。


「やめろ……!」


 田所が叫ぶ。


 ――ドン。


 足。


「やめてくれ……!」


 ――ドン。


 胸。


「やめろって言ってるだろ!!」


 倒れる。

 起きる。

 また倒れる。


 繰り返す。


「なんで……」


 息が荒い。


「なんでこんな痛ぇんだよ……!」


 鷹山は止まらない。


 ――ドン。


「がっ……!」


「死なねえのに……!」


 ――ドン。


「痛ぇんだよ……!!」


 田所の目に涙が浮かぶ。


「死なねえのに……!」


 ――ドン。


「なんで……!」


 崩れる。


 起きる。


 だが、足が震えている。


「……もう……」


 声が弱くなる。


「やめてくれ……」


 鷹山が構える。


 変わらない。


「……降参だ……」


 田所が呟く。


「もうやめてくれ……!」


 膝をつく。


「こんなの……無理だ……!」


『戦闘放棄を確認』


『敗北とします』


 天使の声が落ちる。


「……は」


 田所が笑う。


 乾いた笑い。


「死なねえのに……」


 震える。


「こんなに痛いなんて……」


 黒い手が伸びる。


 絡みつく。


「やめろ……」


 弱く言う。


 抵抗はしない。


「死にたくねえって思ってたのに……」


 引きずられる。


「……違うな」


 小さく呟く。


 少しだけ、笑う。


「死ねないってのも……」


 息を吐く。


「案外、地獄なのかもな……」


 そのまま沈む。


 闇へ。

 消えた。


『第七試合、終了』


 鷹山はその場に立ったまま。


「……」


 何も言わない。


 ただ、次を待つ。


 コロシアムに静寂が戻る。

 死なないことは、救いではなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回は「不死身願望」の話でした。


死なないことは強さのように思えます。

けれど、その中にある痛みや恐怖が消えるわけではありません。


むしろ終わりがない分、それは積み重なっていく。


今回の一戦は、そんな「終わらない苦しさ」を描いた形になります。


次回はまた違った願望の戦いになります。

引き続き読んでいただけると嬉しいです。

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