表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/42

【13話:橋渡しの役目】

「おつかれさまです…今日も、いい感じでしたね。」

堅香子の閉店後、リリは静かに制服をたたみながら、ナナに声をかけた。

「うん。リリがいるとやっぱり空気が柔らかくなる。助かってるよ。」

「…ありがとうございます。」

いつもなら、ただ照れて終わっていた。けれど今は少し違った。堅香子での経験が、確実にリリの中に積み上がっていた。

ここでは、大きな声や派手な動きは必要ない。丁寧に、静かに、お客様のペースに寄り添う。

——そうか、わたしにはこういう接客が合ってたんだ。

翌日、リリはMePの控室で「なこ」と「るる」を前にしていた。2人は店舗の責任者だが、年上で、現場にも慣れていて…正直、今までちゃんと話せたことがなかった。

「今日、少し話してもいいかな。堅香子で働いてみて、思ったことがあって…」

なこが驚いたように目を丸くし、るるも「うん、もちろん」と穏やかに答えた。

「MePって、明るくて、かわいくて、すごく魅力ある店だと思う。でも、強みがふんわりしすぎてて、新人さんがどう振る舞えばいいか、ちょっと迷っちゃうかもって…」

「たしかに…なんとなく“ノリで合わせて”って感じになっちゃってるかも。」

るるが小さく笑いながら言うと、なこも頷いた。

「ねえ、それって…何かにまとめたら変わるのかな?」

「うん。たとえば、“MePらしさってこうだよ”っていう軸があれば、もっと安定すると思う。だから…2人と一緒に、簡単なマニュアル作ってみたい。」

リリはそう言って、バッグから小さなノートを取り出した。

そこには、堅香子での接客メモ、ナナとの会話、ミユの指導法──いろんな気づきが書かれていた。

「…なんか、すごいね。リリちゃん、めっちゃがんばってるじゃん。」

なこが少し驚いたように笑い、るるが嬉しそうに続けた。

「じゃあ、作ってみよっか。“MePのトリセツ”!」

3人が笑ったその瞬間、リリはようやく、自分の居場所を見つけたような気がした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ