【 5話:審判】
ミユに呼ばれて事務所に来たサリとクズハは、少し緊張した面持ちでカノンとレナの前に座った。
カノンは冷静に二人を見つめ、レナも無言で二人を観察していた。
「今日は聞きたいことがあるんだ。」
カノンが静かに口を開く。
二人は少し驚き、互いに視線を交わす。
「ひとつだけ質問させて。店のためにならないことをしていない?」
カノンの言葉に、サリはすぐに答えた。
「してないです。」
クズハも続けた。
「してないです。」
二人は口を揃えて答えたが、カノンはしばらく黙って二人の目をじっと見つめた。
「嘘はダメだよ。信用で成り立ってるんだから。」
カノンが冷たく言った。
レナも静かにその言葉を補うように続けた。
「本当?」
「本当です。」
サリは少し動揺しながらも、必死に答えた。
「残念ね。」
カノンが一言、冷たく言うと、サリとクズハは顔を見合わせた。
「ミユから全部確認済みよ。あなたたちは今日で解雇。」
レナははっきりと告げた。
「なんで?」
クズハがすぐに反応した。サリも驚いた顔をして、何も言えなくなった。
「自分でわかるでしょ。」
レナはため息をつきながら言った。
「新人キャストたちはミユに全て話してるよ。嘘はだめ。」
「なんでそんなことしたの?」
カノンが優しく問いかけると、クズハは不安げな表情でカノンを見つめた。
「最近、レナさんがヒナを評価してて、それが嫌だった。私たちだって頑張ってるのに、ヒナばかり褒められて…」
サリが少し震えた声で話し始めた。
「そうだったの。」
レナは淡々とした口調で言った。
「わたしにとっては結果が全て。店に貢献してくれる子は評価するの。」
「あなたたちも評価してないわけではない。」
カノンが続けた。
「ただ、結果としてヒナに及ばなかっただけ。だけど、今回の件は裏切りよ。許す選択肢はない。」
サリとクズハは顔を見合わせ、何も言えなくなった。レナが冷たく告げる。
「冷たいかもしれないけど、これが社長としての私の判断。」
「次の場所では頑張って。」
カノンがさらに続けた。
「転生の足を引っ張るようなことはしないから。いい経験をしたと思って、次に進んで。」
二人は何も言えず、ただ黙って座っていた。
レナは少し顔をしかめて告げた。
「信用は失ったら即終了よ。次はない。わたしたちの甘さで、みんなを危険にさらすわけにはいかないから。」
二人は立ち上がり、言葉を発することなく、静かに部屋を出ていった。
カノンとレナは、彼女たちが去った後も、しばらくその場に静かに座っていた。
レナは静かに言った。
「ああいう選択肢も、時には必要だよね。」
カノンはうなずきながらも、心の中で決意を新たにした。
店のためには、どんなに辛い決断でも下すべき時があるのだ。




