表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/42

【第18話:このままじゃ、ダメなのは自分】

「……何話せばいいんだろ。」


MePの店内、営業終了後のターコイズブルーに包まれたフロアで、リリは小さくため息をついた。


ナコとルル──2人の店舗責任者は、今日も仲良く片付けをしていた。

雰囲気はいい。笑顔もある。売上も上がってる。


「……でも、私、何にもしてない。」



---


実は“見に来てる”のではなかった。

“指導しに来てる”わけでもなかった。

ただ──何を言えばいいかわからず、なんとなく顔を出しているだけだった。



---


本当は、本店の方がうまくいっていてほしかった。

自分のいる場所が、一番であってほしかった。


でも、現実は逆だった。


MePは、FC1号店なのに好調。

雰囲気も、キャストの姿勢も、整ってきている。

本店では、まだ葛藤や温度差があちこちに残っているのに。



---


「りりちゃん、また来てくれたの〜?」


いつも通りの明るい声で、ルルが話しかけてくる。

その瞬間、リリはまた“何でもない顔”で笑う。


「うん、ちょっと見にきただけ〜」


本当は何も見れてないのに。

本当は、アドバイスひとつもできていないのに。



---


(私、ここで何の役にも立ってないかも)


その思いがよぎるたびに、引け目が膨らむ。

けれど、それでも“来る”ことをやめなかった。


理由はひとつだけ。


(ここが崩れたら、終わるから)



---


“好調な今”こそが、試されるとき。

“何もしないまま維持される店”なんて、存在しない。


リリはまだ迷っていた。

でも、少しだけ気づき始めていた。


自分が一歩を踏み出さなければ、

“ただ順調だった店”で終わってしまうことを。



---


「このままじゃ、ダメなのは、たぶん私なんだよね……」


そのつぶやきが、ようやくリリ自身を前に進ませ始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ