【第16話:未来をつなぐ1号店】
一宮駅前の「MeP」は、ターコイズカラーを基調にした爽やかな内装に、
新規と常連が入り混じる、にぎやかな空気が流れていた。
FC店舗としての1号店。
現在は安定した売上と評判を維持しており、本部から見ても“成功例”だった。
けれどレナは、それだけでは安心していなかった。
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「MePが今、好調なのはいいこと。
でも──この状態を“保てるかどうか”が、次を決める。」
週明けの本部ミーティング。
その場にいた幹部たちに向けて、レナはそう静かに告げた。
「次の出店希望者が現れるかどうかは、
この店が“ちゃんと回り続ける”ことが前提だから。」
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その言葉に、カノンも深くうなずく。
「たしかに……今は本部が見てるから持ってる部分、ありますよね。」
「うん。でもそれ、もう限界なんだよね。」
レナが視線を向けたのは、リリだった。
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「MePの担当、リリでいいよね。」
リリは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに真顔で頷いた。
「はい。もう行き来してるし、現地のふたりとも話しやすいです。」
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MePには現在、2名の店舗責任者がいる。
本部キャストから抜けた存在ではない。
だからこそ、“幹部が育てる”というスタンスが必要だった。
「教えるだけじゃダメ。
現地の子たちに、“自分がこの店を作ってる”って自覚を持たせる。
リリが、そこまで持っていってほしい。」
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それは、“かわいがる”でも“仕切る”でもない。
育てるという、初めての経験。
リリの表情は少し緊張気味だったが、
その奥には“誰かのために動ける”彼女らしい優しさが見えていた。
「……がんばってみます。」
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この店が崩れれば、夢は広がらない。
でも、この店が残れば、“未来”が動き出す。
MePは、ただのFC1号店じゃない。
これからの組織全体にとっての、“未来の種”だから。




