10-2 もう一人のパティシエ?
『オルト様。エクレアはいつ作られるんですか?』テレビモニタ―越しにイータル ヴェンティで年上のリートレが聞くので、ショウが代わりに伝えると「この状態が落ち着いてからになるだろうな」
『エーッ! 遅い! すぐ作って!』エミアたちの抗議が速攻で行われるが、オルトには聞こえないので、沈黙が続いているように思われ「待たせてしまうけど、必ず作るから……」
『オルト。ダメ出しが速攻で出てるぞ』隣でエミアの不満が爆発しているので、ファルークが困った顔をすると『エミア様。スイーツはないですが、フルーツサンドならありますよ。食べてみませんか?』「水の貴族」トップのジェシーが声を掛ける。
『フルーツサンド?』興味を持つエミアの声の大きさが普通に戻る。『それってサンドイッチの種類なの?』
『そうですよ。論より証拠。持ってくるので見てください』立ち上がると、冷蔵庫の中からきれいな色の果物が入ったサンドイッチをいくつか取りだし、持ってくる。
『きれいね。食べられるの?』嬉しそうなエミア。
『もちろんですよ』クスクス笑うジェシー。
『早く視力を戻さないと、見えないことが辛いぞ』エミアの隣で悔しそうな顔をする「風の貴族」トップのファルーク。
『俺も食べていいか? 作れるか味わってみたい』オルトも興味を持ち『こんなサンドイッチ、いつから出てきたんだ? うまそうだな』
『興味を持つと思って、多めに買ってきました』
エミアはイチゴサンド。ファルークはバナナサンド。オルトはピーチサンドと、三名とも違うフルーツサンドを食べはじめる。
『フフフッ、おいしい……』感無量の「風の精霊」の女王エミア。
『生クリームに、なにかクランチのような粒が入ってるね』笑顔のファルーク。
『うまいね。早速いろんなアイディアが浮かんできたから、今度作ってみよう』味を記憶するオルト。
一方、テレビモニター越しに見ているショウ側は。
「こっちはプリン系だ」同じように冷蔵庫から取りだしてくるショウが「みかん入りミルクプリンはリートレ。卵多めの大きなプリンはマリス。そして、生クリーム付きのマンゴープリンはラル。俺は白玉ぜんざい抹茶アイス付き」
それぞれ受け取ると「いただきます」スプーンを握りしめて食べはじめる。
『ショウ、それはなに?』目ざとく見つけるエミア。『見たことないけど、おいしいの?』
「プリン系よりカロリー抑え目だけど、サッパリした甘さでうまいよ」
『それも例のパティシエが作ったの?』
「いや。スーパーの隣の店で売ってるものだよ。これは結構人気があって、いつも売り切れてるから、今日は朝一で行って手に入れたんだ」
『……そう』
「あまり日持ちがしないから、前もって来ることを教えてくれれば、頑張って並ぶよ」
『今度行く』
『……エミア……』苦笑する「風の貴族」トップのファルークが『俺を置いていくのか?』と呟く。




