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シルバーフェニックス戦記 ~護るべきものは~  作者: 夏八木 瀬莉乃
第九章 大陸の秘密
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10-1 もう一人のパティシエ?

 

 飲み物を用意している「水の貴族」サードのジュリアスはティーポットを二つ用意し、コーヒーと紅茶を作ると、キャビネットからカップを取りだしてテーブルに置く。


『寄せ集めのカップですが、お好きな飲み物を入れてください』


『よく数が揃ったね』テーブルのところへ来る「土の貴族」サードのタンデルチェスト子爵が、『フライシュは紅茶でいいですか?』椅子に座っている「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵に聞くと『ああ。砂糖は一杯で頼むよ』おいしそうに野菜サラダが挟んであるバターロールを食べている。『トマトがおいしいね』


『ファルークもコーヒーでいいのよね?』「風の精霊」の女王エミアが、オルトと一緒にカップ三つにコーヒーを入れて戻ると、ファルークとエミアはキノコとカボチャの上にクリームソースが掛かった総菜パンを、オルトはとろけるチーズと角切りのハムが乗ったパンを食べはじめる。


「水の貴族」トップのジェシーとセカンドのジュリアスも、焼きそばや野菜カレーが入った総菜パンを取ると、テレビモニターに映っているショウたちも、用意してある昼食を食べはじめる。


『こんなに食べ物の味を楽しむ余裕がある食事は、久しぶりだね』お替わりの総菜パンを取りにいく「風の貴族」セカンドのホッフマイスタ―侯爵。『お陰で、いつもより量を食べられるよ』


「このパンうまいな」あっという間に食べ終わったオルトも、「水の貴族」トップのジェシーたちが座っているテーブルへ、総菜パンを取りにいく。「やっぱ、誰かが作ってくれたものはうまく感じるな」


『オルトだって、なかなかの料理の腕を持ってるぞ』「風の貴族」トップのファルークがフォローすると『まあ、普通より少し上でしょうか』相変わらず憎まれ口をたたく「水の貴族」サードのジュリアスに「俺が作ったエクレアを、満面の笑みで食ってたのは誰だよ」オルトが反論すると『ああ! あれはおいしかったですよ』


『エクレア?』エミアが反応する。


 そして、テレビモニター越しにいるイータル ヴェンティ(風の精)で年上のアウラ リートレと年下のアウラ マリス、さらにラルも一緒にオルトを見る。


「な、なんか、すごい見られてる気がする……」キョロキョロと辺りを見回すと、彼に見えるのはラルだけだが、エミアたちの視線を感じるらしい。「メッチャ見られてる気がするぞ」


『オルト。君に見える女性はラルだけだと思うけど、ここにはほかに三名いることを忘れるなよ』注意する「風の貴族」トップのファルーク。『さっき、エミアは甘いものに目がないと言ったじゃないか』


 そう言われてファルークの隣を見ると、エミアが肩から掛けているタオルの向きが、どう見ても自分を見ている角度で宙に浮いている。


『しかも、テレビモニター越しにいるリートレとマリスはお菓子を持ってるようだから、余計エミアにはきついんだよ』


「そっか。じゃあ今度、材料買ってくるから作ってあげますよ」


『本当!』エミアが嬉しそうに飛び上がるので、肩に掛けてあるタオルが躍っているように見え「……やっぱ、この光景、慣れないわ」と苦笑するオルト。


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