9-5 組織の計画
「だって、見てらんないよ。最初にラルさんを見たとき、体調が悪いんだなってわかるくらい痩せててさ。エミア様の話を聞いて、人間てなんて酷いことすんだろうって、改めて思った。俺も人間だからさ、ここに座ってんのがいたたまれなくて、このまま居ていいのかって思うくらい辛くなったよ」
『オルトが罪悪感を感じることはない』「風の貴族」トップのファルークがすぐに言い返し『責められるべきは、罪悪感を感じなければならないのは、俺たちに非道な振る舞いをしてる愚かで恥知らずな人間だ!』
「そうだよ、オルト。低俗な奴らと自分を一緒に見ることはない。俺たちは欲の塊じゃないからな。だからこそ、人間だから、シルバーフェニックスだからではなく、悪しき者か、そうじゃないかで分けるんだ」とショウが続ける。
「……そうだな。そうだよな。俺たちはファルークたちの仲間を拘束なんかしない。幽閉するようなことはしない。ともに同じ場所で生活してる仲間なんだから」
「そうだ。けど、ファルークたち側の気持ちを考えなければならない。俺たちは、二種族の間を取り持つことができる数少ない人間だから、注意しつつ、意思の疎通を担う役目をこなさないといけないんだ」
「……わかった」ショウの言葉に自分の立場を理解するオルト。
『ラル?』声を掛ける「風の貴族」トップのファルーク。『ごめんな。大丈夫か?』
「……うん、大丈夫。ごめんね」
『ラルが謝ることない。俺の言い方が悪かったんだ。でも、これからはもっと、自分を大事にしてくれないか?』
「……うん、気を付ける」ショウが持つタオルで涙をふく。
「ゴシゴシ擦るな」小声で注意するショウ。
「アッ」フキフキと、力を抜いて再度涙をふく。
『ラフェリア。任務のことは気にしなくていいから、十分に休養しなさい』ラルのノートパソコンから声を掛けるグループのボスのキルシュ。
「叔父様、でも……」
『いいから言うことを聞きなさい。私が許可を出すまで、任務は一切やらなくていい』
「……はい」
『ショウ君。面倒を掛けるが、姪のことを頼むよ』
「もちろんです」
騒動が収まってホッとすると、「水の貴族」サードのジュリアスが、『お茶でも入れましょうか』と言って立ち上がり、キッチンでお湯を沸かすためにポットに水を入れる。
『そういえば、お昼を過ぎてるんですよね』「水の貴族」トップのジェシーが壁に掛けてある時計を見ると、午後二時近くになっていた。
『泊まってたホテルの一階にあるカフェで手作りの総菜パンを売ってたので、出発前に買っておいたものがあります』
部屋に戻ってバッグに入れておいた総菜パンを持ってくると『お好きなパンを取ってください』袋を広げて、後ろの席に座っているホッフマイスター侯爵から声を掛ける。




