9-3 組織の計画
『オルト、俺が一緒に行くから、視力が戻るまで待ってくれないか?』「風の貴族」トップのファルークが声を掛けると、ショウに向かって『館に戻る前に聞きたいんだが、館に持ち込まれた例の鏡は現在、どうなってるんだ?』
「それは組織のメンバーがすでに館から持ちだして、この大陸の向かいにある支局へ運ぶ手配になってる。今ごろ近くの港へ運ばれて、運搬船に積み込まれてるんじゃないか?」
『処分しないのか?』ファルークの表情が険しくなるので「実は、例の鏡がどこかで製造されはじめたらしいんだ。新しい鏡には額縁に刻印が入ってるため、過去に掘り出されたものか、工場で製造されたものかを分けるためにPFSの研究所に持ち込んで、調べてるんだ」
『なんだと!』ファルークは身を乗りだし『それは本当なのか!』
『確かなのかね?』冷静に聞く「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵。
『残念ですが本当です。僕もその情報を確認してますから』「水の貴族」トップのジェシーが補足する。『そのため、狩りに発展した今回の事件に僕たちの誰かが加わってるんじゃないかと、疑惑が濃くなったんです』
『……そう、なのか……』肩を落とす「風の貴族」トップのファルーク。
『我々が数年、監禁されている間に、そのようなことが始まっていたとは……』頭を抱える「土の貴族」サードのタンデルチェスト子爵。
『それで、鏡の製造工場の場所は、突き止められているのかね?』肝心なことを聞く「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵。『場所がわかっていれば、工場の所有者から辿っていけるからね』
「現在、PFS(シルバーフェニックス保護団体)とグループの調査チームが動いてますが、まだわかっていません」
『キルシュ、どうなんだね?』ホッフマイスター侯爵がグループのボスに聞くと『情報収集は行ってるが、我々は迂闊に近寄ることができないので、PFSの調査チームに情報を流して、動いてもらってる状態だ』ラルが持つノートパソコンに映っているキルシュが答える。
『確かに、この部分はどうしても我々が対応できる問題ではないね』小さく頷く。
しばらく沈黙が続くと『どうして例の組織と組めと言わないんだ?』「風の貴族」トップのファルークがショウに聞く。『こういう問題を解決するためにも、人間の組織と組んだほうが被害が少なく、解決が早くなるだろうとか言わないのか?』
「俺が言うことじゃないから」
『なんだと?』
「確かに君の言うとおり、組織と組んだほうがいいと思う。けど、それを決めるのは俺じゃない。君たちが決めることだ。だからといって、君たちを見捨てるつもりはない。人間とは組めないと判断したのであれば、俺は今までどおり、例の組織と一緒に君たちの仲間を救出して、この状況を終わらせるために動くだけだ」




