9-1 組織の計画
「これが俺からの話になります。どうするか考えてもらえますか?」ショウが声を掛けると『その問いに答える前に、俺に質問に答えてもらえるか?』「風の貴族」トップのファルークが聞く。
「もちろん」
『ティスたちはまだ領主の館内にいると言ったが、当然、侵略してきた両隣の領主たちも同じ館内に留まってるんだろう?』
「そうだ」
『先ほど、闇のジルタニスはこれからどうしようとしてるのか聞いたとき、君は、先に自分の話を聞いてほしいと言って答えなかった。なので、今、その返事を聞かせてもらいたい』
「ああ、そうだった。答えず申し訳ない」ショウは謝罪すると「両隣の領主たちは、今ごろ、それぞれの国へ大慌てで戻ってると思う」
『それはどういう意味だね?』眉間にしわを寄せて聞く「風の貴族」セカンドのホッフマイスター侯爵。『なぜ慌てて帰らないといけないんだね?』
すると、「風の貴族」トップのファルークが首を傾げながら考え、なにかを思いついたように数回小さく頷くと『例の組織の連中が、それぞれの国で問題を起こしたんだな。それも、領主が急いで戻らなければならないような事件を起こしたんだ』と言うので、ショウが驚いた顔をする。
そのことをエミアが伝えるとファルークは小さく頷き、『なるほど。この国の領主の館を襲撃することは、前から計画されていたことなのか。そのこととジェシーたちが領主の館を訪れることが、偶然重なったわけだ』
「ラルの言うとおり、君は本当にすごいな。アディたちと話したら、ぜひブレーンで迎えたいと懇願するだろう。しかし、今回のことは偶然じゃないんだ」
『では、ジェシーたちが罠に填ることを知ってたというのか?』
「アディが、館で誰かを罠に掛けるつもりだろうと予測したんだ。元々領主の館には組織の調査員が潜り込んでて情報を取ってたんだが、どうしても領主が姿を現さない。
その期間があまりにも長かったことと、誰も姿を見ていないなどの情報から、現領主は存在していないと判断したそうだ。
しかし、今回、イベントの優勝者を領主が館でもてなすという情報を聞いて、誰かを誘き寄せるためのフェイクではと推測し、元々計画してたことを急きょ、前倒して実行したらしい」
『君も最初からその計画に参加してたんじゃないのか?』
「俺たちは別の任務で本部から出てたし、休暇を取ってたから今回の計画は知らされてなかったんだ」
『では、いつこの計画を聞いたんだ?』
「ジェシーたちが館に出向いた日の夜。そう、例の事件が起きたあとだよ」
『しかし……そうか。君が俺たちと繋がってることにアディという責任者が気付き、俺たちと接触する機会が作れると思ったから、計画実行後、連絡をもらった後で君に連絡をしてきたのか』
「……マジかよ。君は敵に回したくないな」




