第43話 地の文ばっかりの回もたまにはいいよね?
大会当日。
俺は今もなお、加藤と話せていない。部活の練習にもその後、病院に行ったりしていたため、あまり出れていなかったことと、加藤と距離ができてしまったことが原因だと思う。いや、これもいいわけか。俺が加藤を怒らせる原因を作ってしまったのだから。何が怒らせるきっかけとなってしまったのか今もわからない。そんな俺に加藤は嫌気がさしたのかもしれない。
大会の会場につくと、俺は部員たちと混じっていたが、出場できるわけではないから、マネージャーたちと同じように飲み物を部員に配ったりするくらいしかやることがない。まあ、片手しか使えないからあまり役には立てていないが。
「良太、行ってくるよ」
池はそう言って、ウォーミングアップに向かった。昨日は、『良太の分も走ってくる』とか言っていたっけ?意外と友情に厚いのかもしれない。普段は冷静なのに、試合の空気にあてられてなのか、熱血タイプみたいに盛り上がっている。そんな池もなかなかにイケているのがむかつくけど。
大会自体はかなりスムーズに進んでいるようだった。普段の練習の成果を出せばいいだけだから、あまり硬くなり過ぎず、むしろ力を抜いてレースに臨めているようだった。レギュラーを勝ち取った選手たちは、選ばれし者としてこの大会に出ている。だから、その分の重みを背負っているはずなのに、そんな風には見えない。俺はそんな姿を見て、
「俺も出たかったな………」
そう呟くのだった。
◇
大会当日。寝坊することなくまずは起きられたことにほっとした。朝があまり強くないから、それだけが心配だった。起きてすぐに忘れ物がないかどうか10回目のチェックをする。忘れ物をしてしまうとやっぱりみんなの迷惑になるから。
「雪女、日焼け止め塗った?今日、すごく暑くなるみたいだから、水分もちゃんと取るのよ?」
お母さんがそう言って、私のリュックの中に日焼け止めやら飲み物やらを入れている。荷物が増えると、大会の会場に行くのに重いなーと思いながら、行かなければならなくなる。
大会の会場についたら、マネージャーとしての仕事がスタートする。飲み物の用意、汗を拭くためのタオルの用意などなどやることは意外と多い。
マネージャーの中でも、選手に対して〝推し〟というものがあるのを最近知った。あわよくば付き合いたい選手として相手のことを見ているみたい。私の推しはそうなると誰だろう?良太?……まさかね。あわよくばなんて思ったこともない。
『釣り合う、釣り合わないなんて考えること自体が相手に失礼だよ。だって、相手のことを自分でレベル付けしてるってことだから』
諏訪さんに言われたことを思い出した。私が勝手に良太の価値を決めていいわけがない。そんなことをしたら、良太と血のつながっているアイツらと同じになってしまう。
●両者、それぞれの思いを秘めたまま、大会は無事終了した!
◇
大会が終わり、県大会に無事出場が決まった人も、予選会で落ちてしまった人もいたけど、それでもやれることはやったという達成感でいっぱいになっている人が多いみたいだった。俺は、これからやろうとしていることに少し緊張していたが、きっと大丈夫だと自分に言いきかせた。
俺は加藤に近寄り、
「加藤」
「良太」
「「話があるんだけど」」
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