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俺と雪女  作者: みずけんいち
第三章
40/44

第40話 空気を読むことはすごく大事

第三章完結まで連日投稿する予定です。

第三章完結まで残り4話!

遠藤先輩からその後、俺がけがをして病院に行っていた間の話を聞いた。ハンマーたけしこと、厚森たけしは陸上部を退部することになったという。これまでにも問題行動が多く、問題児扱いをされていたのだが、今回の騒動を受けて、陸上部の顧問と遠藤先輩が退部するように厚森に対して言い、厚森はこれを受け入れたという。大会が近づいているこの時期に、この騒動が起こってしまったこともあり、陸上部内の空気はこのときかなり悪かったという。大会に向けて頑張ろうぜ!という空気感が破壊され、お通夜の空気になっていたのだとか。


俺自身のけがは大したことがなく、骨折をしてはいるが、数か月もあれば治るものでしかない。大騒ぎになっていたようだが、申し訳ない気持ちが湧き上がってきた。


「大橋くんはただの被害者で、たけしは加害者。だから、大橋くんが謝る必要はないよ。ただ、大橋くんには申し訳ないのだけれど……」

「リレーですよね。辞退しますよ。この状態で出れるとは思っていません」

「……ほんとにごめんなさい」

「いいですよ。リレーのメンバーにせっかく選んでもらえたのに大会前にけがをして出れないというのは残念ですけど……。それでも、次の大会でもリレーメンバーに選ばれるように今から頑張ります!」

「……ありがとう。大橋くんは、かっこいいね」

「……っ!マジですか!」

「マジだよ、マジ。きっと女の子も放っておかないだろうね」


聞いたか?今の遠藤先輩の言葉。俺、かっこいいって!かっこいいって言ったぞ!今度こそ、勘違いじゃない。モテ期が到来したんだ!


加藤はそんな俺の顔をジト目で見て、


「良太、気持ち悪いよ」

「なっ!失礼な、俺の顔は気持ち悪くなんかない」

「気持ち悪かったよ。デレデレしちゃって」

「………」

「加藤さん、そこまで言わなくてもいいんじゃない。もうちょっとオブラートに包んであげないと」

「………」


それって、つまり俺の顔が気持ち悪かったってことっすよね?オブラートに包めとか言っているけど、遠藤先輩の方が攻撃力が高いっすよ。


俺のモテ期はどうもすぐに終わりを迎えたようだ。モテ期は次いつ来るのだろう。もう来ないのだろうか。


「練習に戻らないといけないから、この辺でいいかな?」

「……はい」

「ふふっ、元気出して大橋くん。かっこいい顔が台無しだよ」

「……っ!そうですよね。今の遠藤先輩の声で元気になりました!」

「それはよかったよ。それじゃあ、私は行くね」


遠藤先輩はそう言って、手を振った後、走って陸上部の部員たちのところへ向かった。


「いい先輩だな」

「……良太はああいう女の人がタイプなの?」

「うーん、そうだな。ワンチャン付き合えないかなーとは思ってる」

「……絶対、遠藤先輩は良太みたいな考えの人とは付き合わないと思う」

「……絶対とか言うなよ。もしかしたらあるかもしれないだろ……」

「もしかしたらとか言っている時点で、もう負け」

「……あの、もしかしなくても加藤さん。怒ってます?」

「良太なんかもう知らない」

「ちょっと、加藤さん。何でそんなに怒ってるの?俺が悪かったから許して」

「絶対に許さない」


加藤はそう言うとフンスフンスと鼻息荒く、俺のもとを離れていく。何をしてしまったんだ、俺は!

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