40話 赤竜 登山開始
サウスマリン領 火山-ボルケーノ 麓の街【マグナリア】
馬の移動を終えた私たちは、追加分の食料や水、その他必要な物を手分けして買いだし中である。
私の担当分の買い出しは終わったので、先に宿に戻り、買ったものをアイテムボックスに整理しながら収納していた。そこに、オラクルが帰って来た。
「オラクル、お帰り。買ったものを私に渡してくれる。整理してしまっておくから」
「サンキュー。アイテムボックス持ちは楽でいいよな。手持ちが減るし、限界まで入れても、使用者の動きに影響ないしよ!それに、ミキのアイテムボックス、限界を知らないと来た。ホント、いくら入るんだろうな。俺が知ってる他のアイテムボックス持ちはせいぜい100㎏までが限界だったのによ。」
「そうですね・・・・まだまだ入りそうですが、現状の総重量は500㎏弱ですね。感覚なのですが、たぶん後1000倍は入りそうですね。つまり、500tといったとこでしょうか!?」
「・・・・・・・何入れるんだよ、そんなに」
「狩った大型の魔物を解体せず、とりあえずぶち込めるんじゃないでしょうかねw今回のレッドドラゴンとかw」
「そいつは頼もしい限りで」
笑顔を見せるオラクルの顔が若干引きつっていたのを見逃さない私。やはり規格外なのだろうが、そんなことは知らん。入るものは仕方がない。存分に活用させてもらうだけだ。
順々にみんなが買い出しを終えて帰ってくる。それを全部預かり、整理して収納が終わったころ、ちょうど日も暮れたので、その日はカツ丼をみんなに振舞って、就寝となった。
翌日―――――
時刻 午前07:00
空は快晴。気温も相変わらず。絶好の登山日和。
いざ行かん。目指せ、レッドドラゴン。登山開始!
メンバー全員に【水神の加護】を付与する。前回より強めに魔力も込めたので、-20度くらいにしておいた。街の気温は30度で一定なのだが、火山はさすがにそうはいかない。まず地面からして熱い。真夏の東京のアスファルト並みに熱い。体感温度で45度超えているんじゃないだろうか。私の付与のおかげで楽にはなるが、他の冒険者はどうやっているのだろうか。今度ギルドの受付の人に聞いてみよう。
登山開始から5時間が経過しただろうか、合間あいまに休憩を挟みながら現在の標高は1500mといった所。
「この辺りで昼食にしようか!」
私の号令に登山で少し疲れてきていたみんなの顔が一気に輝きを取り戻したように見えた。
『そんなにご飯が楽しみか、君たちよ』と心の中でほほ笑みながら、早朝に調理してマジックボックスに収納しておいた〈冷やし中華〉を渡した。火山地帯、暑い、冷たいものが良いよねという単純発想で決まった献立であるが、私が作ったんだから味はうまいに決まってるじゃないか(キリッw
「さて、食べながら聞いてくれる。この後登山を再開して1時間くらいで標高2000mに到達する。必然的にグリフォンの生息域に入るので戦闘になる可能性が高い。襲ってくる数にもよるけど、1体なら全員で、2体なら3人2組で、それ以上の時は私一人と、ヴァイスさん、オラクル組、セナ、ハイネ、メルル組の3組に分かれるようにして。メルルは全体のHP管理お願いしたいけど、厳しいときは私も回復役手伝うから。以上です。」
「分かりました、お姉さま!」
「承った」
「任せとけ」
「了解です」
「頑張る」
―――――――――
その頃、火山-ボルケーノ付近の上空12000mに白い物体が飛翔していた。
『久々にこんな所まで遠出をしてしまった。いつもは春の大陸の上空を気ままに飛びながら地上の営みを見ているのが日課だけど・・・なんでだろう?ふと、南の大陸に行きたくなったのは。ん~~・・・・まぁ、来てしまったから考えても仕方ない。1200年ぶりに焔龍様にでも会いに行こうかな。あの方の事だから、お元気でしょうけど』
思考でそんなことを考えていた白い物体、水平に保たれていた身体を反転させ、軌道を真下に向けた。
急降下までは行かないが、翼で速度を落とし、ゆっくりと高度を下げていった。
――――――――――
バサ、バサ
羽音が聞こえる
鷲の翼と上半身、ライオンの下半身を持った生き物がそこにいる。こちらに気づいたグリフォンが今まさに、巣から飛翔している。数はざっと7体。各々が武器を抜き、構え、相手との距離を測る。
「こちらから行かせてもらうよ。さぁ、舞の時間です」




