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だいごじゅうろくしゅ しんしんと つもるりっかは ゆめとちり ねゆきはしらず はるひのぬくもり
第五十六首
しんしんと 積もる六花は 夢と散り 根雪は知らず 春日の温もり
しんしん。
しんしん。
しんしん。
しんしん。
雪の花が降り積もる。
この季節を冬という。
雪が世界を覆い、あたかも、布団のように敷かれて、命を春が来るまで寝かし付ける。
けれど。
その眠りの深さとは違って。
六花はたやすく、風に吹かれて散っていく。
時すらも凍らせるのに。
儚く失われていく。
この穏やかな冬を染めてくれる雪は、たとえ、風に吹かれても微動だにしない根雪であっても。
知らないの。
これから来る春の暖かさを。
冬とはまた違った穏やかな季節を。
ゆっくりと響きを重ねる生命の鼓動を。
そう、雪は、知らないの。
きっと、夢にも見ていないのね。
しんしんと つもるりっかは ゆめとちり ねゆきはしらず はるひのぬくもり




