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一人百首  作者: 奈月遥
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だいごじゅうしちしゅ くれぬれど ともさざりたる えらふそく さいをしるには ひをうくるべし

第五十七首

暮れぬれど 灯さざりたる 絵蝋燭 彩を知るには 火を得くるべし


 会津の伝統工芸品の一つ、絵蝋燭。

 気になる方は、是非調べてみてください。

 雪のようになめらかな白の蝋燭に、鮮やかに絵付けされた花の麗しさは、一目で惚れ込んでしまいます。

 蝋燭として灯明のご供養をするだけでなく、植物の実から作られ花が描かれた絵蝋燭はお花のご供養にもなります。

 雪深い会津の冬は、咲く花もない時期が長く、その代わりを勤めたのです。

 この絵蝋燭の特筆すべきところと言ったら、やはり絵付けです。

 四季折々のお花を揃えて、一組としたもの。

 南天と福寿草を描いて、演技を担いだもの。

 ひとつひとつ丁寧に、職人の技が光る一品ばかり。

 ですが、絵蝋燭の真の美しさは、太陽の下や蛍光灯の明かりでは引き出しきれません。

 暗い夜に、ひっそりを火を灯し、絵蝋燭自身が照らして浮かび上がった絵付けの、なんとも奥ゆかしく、心惹かれること。

 また、先に灯った火を、また別の芯へ渡していく。

 暗い世の中では、人の才もまた、真の価値を見出されないもの。

 それが引き出されるのは、先に火を灯した才能が、新たな才能を見付けて火を渡す時でしょう。


くれぬれど ともさざりたる えらふそく さいをしるには ひをうくるべし


 わたしも、誰かに火を与え、導くだけの人物となりたいものです。


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