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23,結婚式準備


 自称ヒロインがしょっ引かれてから数日。学園は冬休みに入った。冬は春〜秋に比べて社交を控える人が多い。郊外に屋敷を持つ貴族なんかは王都のタウンハウスから領地に籠ったりもする。



 ということで、私もエルシーを連れて辺境伯邸に帰る。エイ兄さまは伯爵家があるので一瞬顔を見せただけで後は山のように届く釣書の処理をしているとのこと。リスト殿下も実家に手紙でグランドル王国に婿入りをして繋がりを作るのだという尤もらしい理由をつけてサリバンの勢力争いから逃げた。



 ついでに「王位継承権も捨ててきました」と笑っていた。このまま騎士として生きるのか婿入り先の貴族家を継ぐのかはわからないがどちらにせよ自国で洗脳され続けて道を踏み外すよりはマシだろう。


 リスト殿下の目的としては、グランドル王国について学園卒業まで学ぶことだったがそこに嫁探しというものが加わったため、こちらも釣書が途絶えないそう。中位から高位貴族の一人娘で特別捻くれていないような令嬢とは見合いをしているとのことだ。





 辺境の景色は夏とは一変、うっすらと雪が積もっていた。ガーナメント領は南ではあり、夏は温暖な気候だが冬は雪が降るくらいには冷える。海に面していることもあって潮風もある。


 筋トレがてら自家製塩を作るために海水を汲んでいるがこれが中々にキツい。風で水は溢れて半分以下になるなんてこともザラだし寒さで手が真っ赤になるなんて最早日常。


 北の辺境伯領は雪が新潟レベルで積もるので冬籠りをするがここは南。積もっても2、3cm。籠もらずとも生きていける。それが余計に指を苦しめる。日々滝修行の辛さを実感し、宗教って凄いんだなと改めて思った。



 塩を作るために大釜の中に汲んできた海水を入れる。ここに火を焚いて海水を蒸発させて塩を作るのだ。そしての塩はマリンがよく食べる。流石海獣。流石イルカ。淡水じゃ物足りないと。

 残念ながら水魔法で海水は出せないからなあ。頑張って数日おきくらいに筋トレしている。


 水を入れたら次は剣。朝食の前にそれらを済ませて朝食後は昼食まで勉強。昼食後は夕食まで魔法の練習。夕食、入浴後はピアノの練習という中々にハードな日々を送っている。

 あと4ヵ月でシルス様とアンナ様の結婚式が挙げられる。今まで以上に時間をかけて練習した。


 相変わらず号泣するヒスイと泣き顔を誤魔化すヒイロ、目をキラキラさせるマリン。反応は多種多様だが「絶対喜んでくれるよ」と言ってくれるので毎日自信を貰っている。




 ガラスペンの方も何度か工房に足を運んで何本かの試作の中からシルス様とアンナ様のイメージにピッタリはまる物をオーダーした。後は出来上がったもののラッピングとサプライズプレゼントだけだ。


 そして王族の結婚ではその身内にもお祝いを贈らなければならないと暗黙のルールとして決まっているらしい。

 これにはびっくり。もう少し早く言ってほしかった。


 ガラスペンでも良いのだがそれだと主役の特別感がないのでこの国で最も縁起が良い竜の刺繍が入ったお守りを作ることにした。結局最後はハンドメイド。


 マリー様やエルシーほどの腕前は一切ないが刺繍はそれなりにできるのでギリギリ贈り物にして良い出来にはなるはず。



 袋を作ってその中に守り石というものを入れて装飾をする。竜の加護がありますように、と願い、大切な人に贈るというのが建国当初からの文化だそうだ。

 

 それなら主役の2人にも贈りたいと急遽作成をした。その間の勉強や魔法の予定の一部はすっぽかしてしまったので後でツケが回ってくるが未来の自分に喝を入れ、今の自分を甘やかす。








 「できた!」

 ラッピングまで終わったのは冬休みも開けてイリア様達が卒業する3月。卒業式の後はすぐに王族の結婚準備ということで間髪入れずに春休み。

 2人の結婚式ということで、忙しいのは貴族だけではない。平民も忙しい。



 この時期は色々な商品が爆売れするので商売をやっている家は平民の中でも特に忙しくなる。クッキーやチョコレートなどのちょっとしたお菓子でも売り上げが倍以上に伸びたりもするそうだ。


 そして一番売れるのはやっぱり花。王族は結婚式の後着替えてから王都を回ってお披露目をする。その時にその時に撒く花がよく売れていた。

 自分からしたら一瞬のために大量の花を消費するなんて勿体無いと思うのだが伝統に口を出すのも違うと思うのでやめておく。


 誰も幸せにならない伝統、例えば生物を生贄にして神に加護を与えてもらおうとする、みたいなものは排除しても良いだろうけどこれは誰も不幸にならない。


 したいならすれば良いし、嫌ならしなければ良い。因みに私はする。でもやっぱり本物を使うのは少し気が引けるので緑の魔法で花を散らすことにした。




 ただ、同じ緑の魔力を持っているエイ兄さまとエルシーは買ったものを使うそう。何故か聞くと、貴族がお金を使うことで国の経済が回るし、高位貴族が買ったという箔が付けば店はこの先安泰だからという理由だった。


 確かにエルシーは王位継承権は無いものの、王族だ。エイ兄さまは振興ではあるが大量のコネクションがある伯爵。箔が付くこと間違いなしだ。





 とりあえず私は既に辺境伯領で箔をべちゃべちゃに付けまくっているので今回は自分で準備しても良いと言われた。普段の自分に感謝。


今回の登場人物


・エリーゼ・ガーナメント(12歳)

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